手芸で巡る世界旅 トルコの伝統織物「キリム」|2025年2月26日放送
2025年2月26日放送のNHK「すてきにハンドメイド」では、「手芸で巡る世界旅 トルコ キリム」と題し、トルコや中央アジアを中心に発展した伝統的な平織りの織物「キリム」が紹介されます。ゲストにはDXTEENの大久保波留さん、寺尾香信さんが登場し、スタジオでキリム織りに挑戦。講師は、トルコの伝統染織技法に詳しいKoyun由紀子さん。キリムに込められた歴史や文化、織り手の想いについても詳しく解説されます。
キリムは、遊牧民の暮らしに欠かせない必需品として長く受け継がれてきた織物です。羊毛を紡ぎ、染色し、手織りで仕上げるこの布には、それぞれの部族や家族のアイデンティティが刻まれています。番組では、そんなキリムの魅力を深掘りしながら、その制作の難しさや奥深さにも迫ります。
キリムとは?遊牧民の暮らしを支えた平織りの織物
キリムは、トルコや中央アジアで古くから作られてきた平織りの織物です。もともとは遊牧民の女性たちが家族のために織り、住居であるテントの敷物や壁掛け、収納袋として利用されてきました。
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素材と技法
・主に羊毛を使用し、綿やヤギの毛が織り交ぜられることもある。
・平織り(つづれ織り)技法を用い、毛足のない織物として仕上げられる。
・織り目の間に「スリット(隙間)」を作ることで、幾何学的な模様が際立つ。 -
用途
・敷物や壁掛け、クッションカバー、収納袋として使用。
・婚礼の持参品や、家族の繁栄を願う贈り物としても重要な意味を持つ。
・近年では、モダンなインテリアアイテムとしても人気が高まっている。
遊牧民にとって、キリムは単なる実用品ではなく、家族や部族の伝統を伝える大切な工芸品でもありました。
キリムのデザインに込められた意味
キリムの大きな特徴は、その美しい幾何学模様と鮮やかな配色です。これらのデザインには、織り手の願いや想いが込められており、各部族や家族ごとに異なる伝統が受け継がれています。
- ベレケット(豊穣)
・農作物の豊かさや家畜の繁栄を願う文様。 - 鳥(クシュ)
・幸せや喜び、良い知らせの象徴。 - 足かせ
・家族の絆や友情を表す。 - 櫛(タラク)
・命の誕生や幸せな結婚を守るお守りとしての意味を持つ。 - エリベリンデ(腰に手を置く女性)
・豊かな子孫繁栄や多産を象徴する文様。
また、赤・青・緑・黄などの色使いにも意味があり、部族ごとに好まれる配色が異なります。赤は生命力や情熱、青は平和や知恵を象徴する色とされ、それぞれのキリムに織り込まれることで、家族の幸せや部族の誇りが表現されてきました。
キリム制作の流れと技術の継承
番組では、Koyun由紀子さんが、キリムの制作過程について詳しく解説。キリム織りは一見シンプルに見えますが、織り目を揃えることや、模様を正確に出すためには熟練の技術が必要です。
- 糸の準備
・羊毛を紡ぎ、草木染めや鉱物染めで色をつける。 - 経糸のセット
・織り機に経糸を張り、模様のガイドとなる線を設定。 - 緯糸を通す
・デザインに沿って、手作業で糸を通しながら模様を織り込む。 - 仕上げ
・織り終わった後、余分な毛羽を取り、端を整える。
このような手間をかけながら、一つひとつ丁寧に織られるため、完成までに数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。
現代におけるキリムの活用方法
かつては遊牧民の生活必需品だったキリムですが、現在ではインテリアアイテムとしても人気があります。
- インテリアへの取り入れ方
・リビングや寝室のラグとして使用する。
・壁に飾ってアートとして楽しむ。
・ソファや椅子のクッションカバーとして活用する。
特に、モダンなインテリアとの相性も良く、ナチュラルな素材感が空間に温かみを加えるため、世界中で愛されています。
スタジオでのキリム織り体験
番組では、DXTEENの大久保波留さんと寺尾香信さんがキリム織りに挑戦。初めての作業に苦戦しながらも、織る楽しさを実感する様子が見どころです。
織り手の技術や想いが込められたキリムは、ただの敷物ではなく、長い歴史と文化を持つ工芸品です。番組を通じて、その魅力をさらに深く知ることができるでしょう。
まとめ
今回の「すてきにハンドメイド」では、トルコの伝統織物「キリム」の歴史や技法、デザインに込められた意味などを詳しく紹介します。
- キリムは、遊牧民の暮らしに密接に関わる伝統織物である。
- 幾何学模様や色彩には、部族ごとの願いや想いが込められている。
- 近年ではインテリアアイテムとしても人気があり、モダンな生活にも取り入れられている。
手作業で織り込まれるキリムの魅力を番組を通じて学び、自分の暮らしにも取り入れてみてはいかがでしょうか?
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