放っておかないで!更年期の手の不調
更年期に差し掛かると、手や指に痛みやしびれを感じる人が増えてきます。「年齢のせいだから仕方ない」と思っていませんか?実は、手の不調は更年期によるエストロゲンの減少が大きく関係しており、適切な対策をすれば改善できる可能性があります。特に40代から60代の女性は、手の不調に気をつける必要があります。放送では、最新の医学的知見をもとに、手の痛み・変形・しびれを予防するための方法が詳しく紹介されました。この記事では、その内容をさらに詳しく解説します。
更年期の手の不調はなぜ起こるのか?
40代以降、多くの女性が手の痛みやこわばり、指の変形に悩まされることがあります。これは単なる加齢によるものではなく、エストロゲン(女性ホルモン)の急激な低下が深く関係しています。
エストロゲンは、骨や関節、筋肉、神経の健康を維持する重要なホルモンであり、これが減少すると以下のような変化が起こります。
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関節の滑膜が腫れ、炎症を起こしやすくなる
- 滑膜は関節を覆う膜で、関節の動きを滑らかにする役割があります。
- エストロゲンが減少すると、この滑膜が炎症を起こし、痛みやこわばりが発生します。
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関節軟骨がすり減りやすくなる
- エストロゲンは軟骨の健康を保つ働きをしますが、減少すると軟骨が弱くなり、骨同士が直接ぶつかることで痛みが生じます。
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骨密度が低下し、関節がもろくなる
- エストロゲンの低下により骨密度が減少し、関節の変形が進みやすくなります。
これらの変化が進むと、次のような具体的な症状が現れます。
代表的な更年期の手の不調
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ヘバーデン結節
- 指の第一関節が変形し、痛みや腫れを伴う。
- 進行すると、関節が曲がったままになり、指の動きが制限される。
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CM関節症(母指CM関節症)
- 親指の付け根(母指CM関節)が痛くなり、物をつかむ動作が困難になる。
- 進行すると、親指の付け根が出っ張って変形し、力を入れづらくなる。
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メノポハンド(更年期手症候群)
- 更年期に発症しやすい手の不調を総称する言葉。
- しびれや痛みが続き、手のこわばりが強くなることがある。
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ばね指(腱鞘炎の一種)
- 指の付け根の腱が炎症を起こし、指を曲げ伸ばしする際に引っかかる感じがする。
- ひどくなると、指が固まって動かなくなることもある。
これらの症状は、「年齢のせいだから仕方ない」と放置すると悪化することがあります。しかし、エストロゲンの働きを補う食事や生活習慣の見直し、適切な運動を取り入れることで予防・改善が可能です。
早めに気づいて対策を始めることで、痛みを和らげたり、進行を防ぐことができます。
早めの対策が重要!更年期の手の不調を改善する方法
更年期の手の不調を予防・改善するためには、毎日のケアが大切です。エストロゲンの機能を補う食生活、手のエクササイズ、負担をかけない動作の工夫、便利グッズの活用など、日常生活に取り入れやすい方法を紹介します。
エストロゲンの機能を補う食生活
更年期の手の痛みや変形を防ぐためには、エストロゲンと似た働きを持つ「エクオール」を摂取することが有効です。しかし、日本人女性の約半数は腸内でエクオールを作る力がないため、食品やサプリメントでの補給が重要になります。
- エクオールを含む食品
- 豆腐:3分の2丁(約200g)
- 豆乳:200cc(コップ1杯)
- 納豆:市販のもの2パック
- 味噌・おから・きな粉などの大豆製品
これらの食品を毎日バランスよく食べることで、エクオールの生成を助けることができます。ただし、腸内環境によってエクオールを作れない人もいるため、食べても効果を感じにくい場合があります。その場合はエクオール配合のサプリメントを活用すると良いでしょう。
- エクオールを含むサプリメント
- 1日10mg以上のエクオールを含むものを選ぶ
- 継続して3か月以上摂取することが推奨されている
- サプリメントはドラッグストアや通販で購入可能
更年期の女性580人を対象とした調査では、3か月間エクオールを摂取した結果、約6割の人が症状の改善を実感したというデータもあります。手の痛みやこわばりが気になる場合は、早めに試してみるのがおすすめです。
毎日の手のエクササイズ
手の痛みやこわばりを防ぐには、血流を良くし、関節の可動域を保つためのエクササイズが効果的です。専門医のリハビリでは、次のようなエクササイズが推奨されています。
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手のひらストレッチ
- 肘を伸ばし、手のひらを上に向ける
- もう片方の手で指先を軽く引っ張りながら伸ばす(10秒キープ)
- 反対の手も同じように行う
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指先合わせエクササイズ
- 親指を人差し指・中指・薬指・小指に順番につけ、3秒間キープ
- すべての指で1セット、1日数回行う
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関節プッシュエクササイズ
- 平らな台に手をつける
- 反対の手の指で、人差し指・中指・薬指・小指の第一関節を3秒間押す
これらのエクササイズを1か月間続けた結果、参加者全員が痛みの回数が減ったという報告がありました。手の血流が良くなることで、痛みやこわばりの軽減につながると考えられています。
手に負担をかけない動作を意識する
日常生活の中で、何気なく行っている動作が手や指の負担になっていることがあります。痛みを悪化させないために、以下の動作を意識しましょう。
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タオルの絞り方
- 指先ではなく、手のひら全体で絞る
- 肩・肘・手首など、大きな関節を使う
- 数回に分けてゆっくり絞る
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台拭きの拭き方
- 指先ではなく、手のひら全体を使う
- 腕全体を動かしながら拭く
- 力を入れすぎず、円を描くように動かす
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ペットボトルの開け方
- 親指だけでなく、両手で支えながら開ける
- ゴム製のオープナーを使って負担を軽減する
これらの動作を工夫することで、関節への負担を減らし、手の痛みを和らげることができます。
便利グッズを活用する
手の痛みを軽減し、日常生活を快適にするための便利グッズも役立ちます。特に、更年期の手の不調に悩む方には以下のアイテムがおすすめです。
- シャンプーブラシ:指に負担をかけずに洗髪できる
- ブックスタンド:本を持たずに読めるため、指の負担を軽減できる
- ペットボトルオープナー:硬いフタを簡単に開けられるため、親指の負担を軽くする
- 筆記用具用スポンジ:鉛筆やペンに装着すると、握る力を軽減できる
ペットボトルの開け方ひとつでも、道具を使うことで指の負担を減らすことができます。また、シャンプーブラシを使うと、握力が弱くなっても髪をしっかり洗うことができるので便利です。
日常生活のちょっとした工夫と便利グッズの活用で、手の不調を軽減し、快適に過ごすことができます。早めに対策を取り、手を守る習慣をつけましょう。
まとめ
更年期の手の不調は、「年齢のせい」と諦めるのではなく、エストロゲンの低下が原因で起こる医学的な症状です。正しい知識を持ち、適切なケアを行うことで、手の痛みや変形の進行を防ぐことができます。
- エストロゲンを補うため、エクオールを摂取する
- 毎日手のエクササイズを行い、血流を改善する
- 日常生活の動作を工夫し、指に負担をかけない
- 便利グッズを活用して、手の負担を軽減する
「仕方ない」と思わず、できることから少しずつ始めましょう。
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