日本の中小企業が直面する“後継者不足”問題とは?
2025年1月31日に放送された「東海 ドまんなか!」では、今や社会問題となっている中小企業の後継者不足に焦点を当てた特集が放送されました。経営が黒字であるにもかかわらず、後継者がいないために廃業を余儀なくされる企業が増えている現状や、それによる地域経済への影響、さらには解決に向けた新たな取り組みについて詳しく紹介されました。
現在、日本では経営者の高齢化が深刻な問題となっています。2025年には経営者の6割が70歳以上となる見込みですが、そのうちの半数以上は後継者がいないとされています。このままでは、多くの中小企業が廃業を余儀なくされ、地域経済の衰退を引き起こす可能性があるのです。
番組では、静岡県浜松市の中小企業の事例や、三重県での成功事例、さらに地域活性化につながる新たな取り組みが紹介されました。この記事では、番組内容を詳しく振り返りながら、中小企業が抱える課題と解決策について解説していきます。
“大廃業時代”後継者不足に悩む中小企業の実態
日本の中小企業は、現在約350万社以上あるとされています。その中で、黒字経営を続けているにも関わらず後継者が見つからずに廃業を選択する企業が増加しています。
番組では、静岡県浜松市で精密機器工場を経営する山内社長のケースが紹介されました。
- 黒字経営を続けているが、後継者がいないため、将来が不透明
- 従業員の多くが高齢者や外国人であり、技術継承が困難な状況
- 他社と資本提携を行うことで事業存続を決断し、従業員の雇用を守る
後継者不足の背景には、いくつかの要因があります。
- 少子化による後継者不足 … 経営者の子どもが減少し、後継ぎが見つからない
- 事業の将来性に対する不安 … 事業の安定性や収益性に不安を感じる若者が多い
- 経営者の引退時期が遅れる … 70代や80代になっても引退を決断できず、後継者育成が遅れる
このような要因が絡み合い、事業承継が円滑に進まないケースが増えているのです。
事業承継成功のカギ〜三重県の事例〜
番組では、三重県での事業承継成功事例が紹介されました。三重県では、後継者不足を解決するために事業承継ネットワークを立ち上げ、県内の企業の実態を把握するために事業承継診断シートを活用しました。
- 県内の中小企業の約半数から診断シートを回収し、コーディネーターが分析
- 後継者候補とのマッチングを実施し、事業継承をスムーズに進める
具体的な成功事例も紹介されました。
- 商店を営む田岡正廣さん(南伊勢崎町)
- 家族経営の商店を存続させるため、息子が事業を継承
- 地元の人々に愛される店を守るため、次世代へのバトンタッチに成功
- 養鶏業を営む伊藤さん(いなべ市)
- 後継者不在のまま廃業の危機に
- 自動車部品会社が運営するモノづくり体験施設が事業を引き継ぐ形となり、従業員の雇用も確保
このように、異業種間での事業承継や、地域を巻き込んだ取り組みにより、事業を存続させる方法が模索されています。
地域活性化のヒント〜北九州市の取り組み〜
中小企業の事業承継がうまくいけば、地域の経済活性化にもつながります。番組では、北九州市のユニークな取り組みが紹介されました。
北九州市では、「後世に残したい店」の情報を市民から募集し、
- アンケート結果を基に後継者探しを支援
- 事業承継を円滑に進めるためのコンサルティングを提供
こうした活動により、地域の魅力的な店舗や老舗企業を未来へ残す取り組みが進んでいます。
また、事業承継を支援することで、若者の地元離れを防ぐ効果も期待されています。
- 継ぐべき企業があることで地元での就職先が確保される
- 地域産業が衰退せず、観光業や地域ブランドの維持にもつながる
このように、事業承継は単なる経営者の問題ではなく、地域全体の未来を左右する重要な課題なのです。
まとめ
今回の放送では、日本の中小企業が直面する後継者不足問題が、経済や地域社会に与える影響について詳しく紹介されました。
- 2025年には経営者の6割が70歳以上になり、半数以上が後継者不在という厳しい状況
- 後継者不足の主な要因 … 少子化、経営者の引退時期の遅れ、事業の将来性への不安
- 三重県では、事業承継ネットワークを活用し、後継者マッチングを推進
- 北九州市では「残したい店」の情報を市民から募集し、事業承継を支援
これらの取り組みは、今後全国的に広がる可能性があるため、他の地域でも積極的に導入されることが期待されます。事業承継がスムーズに行われることで、中小企業の存続だけでなく、地域全体の活性化にもつながるのです。
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