「まんでうまい 能登の味」|郷土料理を味わう!揚げぶり大根・いかと里芋のいしる煮・めったかす汁|2025年2月24日
「まんでうまい」とは、石川県能登地方の方言で「とてもおいしい」という意味です。今回の放送では、能登の料理人・川嶋亨さんが、能登の食材を生かした家庭の味と豊かな食文化を紹介します。能登地方では、海の幸と山の幸をふんだんに使った郷土料理が数多くあり、その味は地域の風土とともに受け継がれてきました。
今回は、そんな能登の味を代表する3品が登場します。ぶり大根のアレンジ「揚げぶり大根」、能登の魚醤を使った「いかと里芋のいしる煮」、たっぷりの具材が入った味噌汁に酒かすを加えた「めったかす汁」。どれも能登ならではの味わいが楽しめる一品です。能登の郷土料理を知ることで、その土地の文化や暮らしの知恵にも触れられます。家庭でも作りやすいレシピなので、ぜひ挑戦してみてください。
揚げぶり大根|外はカリッと中はふんわり!みぞれあんでさっぱり仕上げる
ぶり大根は、ぶりと大根をじっくり煮込んで味をしみ込ませるのが一般的ですが、今回はぶりを揚げることで、香ばしさとふんわりした食感を楽しめるレシピになっています。揚げたぶりに、だしのうまみがたっぷり入ったみぞれあんをかけることで、さっぱりとしながらもコクのある味わいに仕上がります。ぶりの臭みを取る下処理や、揚げる際のコツをしっかり押さえることで、よりおいしく作れます。
材料(2人分)
- ぶり切り身 2~3切れ(300g)
- 大根おろし 1/3本分(400g)
- だし カップ1
- みりん 大さじ2
- うす口しょうゆ 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
- しょうが汁 小さじ1/2~1
- 塩 1つまみ
- 酒 少々
- ねぎ(白い部分) 1本分
- 片栗粉(ぶり用) 適量
- 揚げ油 適量
- ごま油(白) 少々
【A】(みぞれあんのとろみ用)
- 片栗粉 大さじ1
- 水 大さじ2
作り方
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ぶりは一口大に切り、バットに薄く塩をふる。その上にぶりを並べ、さらに上から塩を少々ふる。20~30分ほど置いて余分な水分と臭みを抜く。時間が経ったらサッと洗い、水気をしっかり拭き取る。
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大根おろしは軽く水気を切り、鍋に入れる。だし、みりん、うす口しょうゆ、砂糖、しょうが汁を加えて中火にかける。煮立ったら【A】の片栗粉と水を混ぜたものを加え、とろみをつける。
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ねぎは4~5cm長さに切る。フライパンにごま油を少々入れ、中火で加熱する。ねぎを加え、あまり動かさずにじっくりと焼き目をつける。
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ぶりに片栗粉を薄くまぶし、170~180℃に熱した揚げ油で1~2分ほど揚げる。カリッとしたら取り出し、油を切る。
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揚げたぶりを器に盛り、焼いたねぎを添える。最後に温めたみぞれあんをかけて完成。
いかと里芋のいしる煮|能登の伝統の味を楽しむ【きょうの料理】
祖母の味が忘れられず、試行錯誤してたどり着いた一品。能登の伝統調味料「いしる」を使うことで、いかと里芋の旨味が引き立ち、煮汁に深いコクが生まれます。煮込むことでいかの色が煮汁に溶け込み、味がよりまろやかに。冷めても美味しく、お弁当のおかずにもぴったりです。
【材料(つくりやすい分量)】
- 里芋…500g
- するめいか(大)…1ぱい
- だし(または水)…カップ2+1/2
(A)
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いしる…大さじ1+1/2~2(しょっつる・ナムプラーでも代用可)
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砂糖…大さじ2
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酒…大さじ2
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柚子の皮(せん切り)…適量
【作り方】
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下ごしらえ
- 里芋はよく洗い、皮ごと熱湯で10~15分ゆでる。
- 手で触れるくらいまで冷ましたら皮をむき、一口大に切る。
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いかの準備
- 胴と足を外し、ワタごと足をゆっくり引き抜く。
- 胴の軟骨を除き、さっと洗って1cm幅の輪切りにする。
- 足はワタ・目・口ばしを除き、先端を切り落とし、食べやすく切り分ける。
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煮る
- 鍋に里芋・だし・A(いしる・砂糖・酒)を入れ、強めの中火にかける。
- 煮立ったらいかを加え、弱火にする。
- 最初に出たアクを取り、落としぶたをして30分間コトコト煮る。
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仕上げ
- 里芋が柔らかくなったら落としぶたを外し、好みの加減まで煮詰める。
- 器に盛り、仕上げに柚子の皮をのせる。
【仕上げのポイント】
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落としぶたをすることで味をしっかりなじませる
- いしるの風味を均一に染み込ませるため、落としぶたをしてじっくり煮るのがポイント。
- 煮汁の蒸発を防ぎ、具材全体に味がよくなじみます。
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里芋は下ゆでしてぬめりを取る
- 皮ごとゆでることでぬめりが取れ、仕上がりがなめらかに。
- 下ゆでをすることで、煮崩れしにくくなります。
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いかは煮すぎないように最後に加える
- 火を通しすぎると硬くなるため、最後に加えてさっと火を通すのがポイント。
- 柔らかく仕上げたい場合は、一度さっと湯通ししてから加えるのもおすすめ。
【アレンジアイデア】
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いしるがない場合の代用
- しょっつる(秋田の魚醤)やナムプラー(タイの魚醤)で代用可。
- 和風の味付けにしたい場合は、しょうゆとみりんを少し加えると深みが出る。
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根菜を追加してボリュームアップ
- 里芋の代わりに大根やじゃがいもを加えても美味しい。
- ごぼうやれんこんを入れると、食感のアクセントになり食べ応えアップ。
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冷めてもおいしいので作り置きに最適
- 一晩置くことで、いしるの旨味がさらに染み込む。
- 温め直すときは、弱火でじっくり温めると風味を損なわず美味しく仕上がる。
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柚子の皮を加えて風味アップ
- いしるの濃厚な旨味に、柚子の香りを加えることで味のバランスがよくなる。
- 仕上げに刻んだ柚子の皮をのせると、香りが引き立ち上品な仕上がりに。
煮込む時間を調整して、好みの濃さや食感に仕上げてみてください。能登の伝統の味を自宅で楽しみましょう。
めったかす汁のレシピ|能登の郷土料理を酒かすでアレンジ
「めった汁」は、具だくさんで栄養満点な能登の郷土料理。「やたらめったら具が入っている」「やたらめったらうまい」などの由来があると言われています。今回の「めったかす汁」は、そこに酒かすを加えて風味とコクをアップさせた特製レシピ。たっぷりの野菜や豚肉の旨味が溶け込み、寒い季節にぴったりの一品です。
【材料(つくりやすい分量)】
- さつまいも…1本(200g)
- 大根…70g
- にんじん…50g
- 生しいたけ…4枚
- ねぎ…70g
- 里芋…2コ(150g)
- ごぼう…30g
- 油揚げ…1/2枚(25g)
- こんにゃく(下ゆでしたもの)…100g
- 豚バラ肉(薄切り)…80g
- だし…カップ4
- 酒かす(練りかす)…30g
- みそ…45g
- 一味とうがらし…適宜
- ごま油(白)…少々
【作り方】
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下ごしらえ
- さつまいもはよく洗って皮ごと1cm厚さの輪切りにし、水にさらして水けをきる。
- 大根とにんじんは4~5cm長さ、3mm厚さの短冊切り。
- しいたけは軸を除いて薄切り、ねぎは斜め薄切りにする。
- 里芋は皮をむいて6~8等分にし、サッと洗う。
- ごぼうはよく洗い、斜め薄切りにする。
- 油揚げは細切り、こんにゃくは厚みを半分にして2~3mm厚さに切る。
- 豚肉は一口大に切る。
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炒める
- 鍋にごま油を熱し、豚肉を炒める。
- 火の通りにくい野菜から順に加え、油揚げ・こんにゃくも加えて炒める。
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煮る
- だしを加えて強火にし、煮立ったら弱火にする。
- 里芋・さつまいもが柔らかくなるまで煮る。
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仕上げ
- みそと酒かすを少量の煮汁で溶いて加える。
- 煮立つ直前に火を止める。
- 器に盛り、好みで一味とうがらしをふる。
【アレンジ|ポタージュ仕立て】
この「めったかす汁」は、ミキサーで撹拌することでポタージュ風にアレンジできます。具だくさんの汁物から、なめらかでコクのあるスープへと変化し、また違った味わいを楽しめます。
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ポタージュにするメリット
- とろみが増し、さらに温まる
- 具材の旨味が全体に行き渡り、より濃厚な味わいに
- 小さな子どもや高齢の方でも食べやすい
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ポタージュにする方法
- 具材がしっかり柔らかくなったら、火を止める。
- みそと酒かすを加えたあと、ミキサーにかけてなめらかにする。
- 器に注ぎ、一味とうがらしや刻んだねぎを添える。
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アレンジアイデア
- 牛乳や豆乳を加えてまろやかに
- バターやオリーブオイルを少量加えてコクをプラス
- トッピングに炒めたベーコンやクルトンをのせて食感をプラス
通常の「めったかす汁」とポタージュの両方を試して、好みに合った食べ方を見つけてみてください。寒い日にほっと温まる一杯として、家族みんなで楽しめます。
まとめ
今回紹介された3品は、能登ならではの食材や調理法を活かした郷土料理です。ぶりを揚げて香ばしく仕上げた「揚げぶり大根」、能登の伝統調味料「いしる」を使った「いかと里芋のいしる煮」、具材たっぷりで酒かすのコクが感じられる「めったかす汁」。どれも家庭で作れるレシピなので、ぜひ挑戦してみてください。
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