バウムクーヘン|2025年3月17日放送
結婚式の引き出物といえばバウムクーヘン。層が年輪のように重なった美しい焼き菓子は、日本では「長寿」「繁栄」の象徴としてお祝いごとに欠かせない存在です。しかし、このバウムクーヘン、本場ドイツではあまり売られていないことをご存じでしょうか?もともとドイツで生まれたこのお菓子は、日本で独自に進化し、定番スイーツとして愛されるようになりました。今回の「グレーテルのかまど」では、バウムクーヘンの歴史やドイツと日本の違い、さらに家庭で作れる「バウムクーヘントルテ」について紹介されました。
バウムクーヘンとは?ドイツでの特別な存在
バウムクーヘンは、ドイツ語で「木のケーキ」という意味を持ち、その名の通り、年輪のような層を重ねながら焼き上げるのが特徴です。生地を何層にも塗っては焼くことで、しっとりとした食感と独特の風味が生まれます。もともとはドイツの東部地域、特にザクセン州のドレスデンやザルツヴェーデルといった地域で伝統的に作られていました。
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特別なオーブンと熟練の技術が必要
バウムクーヘン作りには、専用の回転式オーブンが欠かせません。オーブンの中で棒状の軸を回転させながら生地を塗り、焼き上げていく独特の製法が用いられます。このため、各層を均等に焼くには職人の高い技術と経験が必要とされます。 -
ドイツでは高級菓子として扱われる
ドイツでは、バウムクーヘンの製造方法が法律で細かく決められており、本格的なものを作れる職人や店舗が限られています。そのため、日常的に食べるお菓子というより、クリスマスや特別な日に味わう高級菓子とされているのです。また、伝統的な製法を守れる職人が減少していることもあり、昔ながらのバウムクーヘンを販売する店はますます少なくなっています。
なぜ日本では定番スイーツになったのか?
一方、日本ではバウムクーヘンは結婚式の引き出物や贈り物として広く親しまれています。そのきっかけを作ったのが、ドイツの菓子職人カール・ユーハイムでした。
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1919年、広島での物産展が始まり
カール・ユーハイムが初めて日本でバウムクーヘンを焼いたのは、1919年に広島で開催された物産展でした。この時に焼かれたバウムクーヘンが評判を呼び、日本での普及の第一歩となりました。 -
神戸で定着し、日本独自の進化を遂げる
ユーハイムはその後、横浜で菓子店を開業しましたが、関東大震災の影響で神戸に移転。神戸は外国文化を受け入れやすい土地柄だったこともあり、バウムクーヘンは日本人の口に合うよう改良されながら広がっていきました。 -
日本人の嗜好に合わせたアレンジ
ドイツのバウムクーヘンはどっしりとした食感が特徴ですが、日本ではより柔らかく、しっとりしたものが好まれるため、改良が進みました。現在では、プレーン以外にもチョコや抹茶、フルーツフレーバーなど、さまざまな種類のバウムクーヘンが登場し、老若男女に親しまれています。 -
長寿や繁栄の象徴として定着
バウムクーヘンの層が木の年輪に似ていることから、「長寿」「繁栄」を象徴する縁起の良いお菓子とされ、結婚式やお祝いの贈り物として定着しました。日本では祝い事に意味のあるお菓子を贈る文化が根強いため、バウムクーヘンは引き出物の定番となったのです。
バウムクーヘントルテの作り方
2025年3月17日放送のNHK【グレーテルのかまど】では、瀬戸康史さんが「バウムクーヘントルテ」のレシピを紹介しました。オーブンで作れるこのバウムクーヘントルテは、スパイスを効かせたマジパン入りのしっとりとした生地に、アプリコットジャムと濃厚なチョコレートをコーティングした贅沢な仕上がりです。まるでお店のような本格的な味わいを自宅で再現できるこのレシピ、詳しく見ていきましょう。
材料(直径18cm×高さ4cmの丸タルト型1台分)
【バウムクーヘン生地】
- 無塩バター:100g
- 生マジパン:50g
- 卵黄:50g(Mサイズ2.5個分)
- グラニュー糖:50g
- 卵白:75g(Mサイズ2.5個分)
- グラニュー糖(メレンゲ用):50g
- 塩:1g
- 薄力粉:60g
- 浮き粉(小麦デンプン)またはコーンスターチ:50g
- ベーキングパウダー:2g
- メースパウダー:0.3g
- オールスパイスパウダー:0.2g
【仕上げ用バタークリーム】
- グラニュー糖:60g
- 水:20ml
- 卵白:40g(Mサイズ約1.5個分)
- グラニュー糖(メレンゲ用):7g
- 無塩バター:150g
【仕上げ】
- アプリコットジャム:100g
- 水:40ml
- マジパン:150g
- コーティング用チョコレート:200g
- コイン状チョコレート:8枚
作り方
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バウムクーヘン生地の準備
型の内側にバター(分量外)を塗り、底に丸く切ったベーキングシートを敷く。薄力粉、浮き粉、ベーキングパウダーをふるっておく。バターは室温(25~27℃)に戻し、オーブンを210℃に予熱する。 -
生地を作る
バターと生マジパンをへらでダマがなくなるまでよくすり混ぜる。グラニュー糖、卵黄を順に加え、混ぜ合わせたら香辛料も加える。別のボウルに卵白と塩を入れて泡立て、途中でグラニュー糖を数回に分けて加えながら角が曲がる程度まで泡立てる。メレンゲの半量を生地に加えてさっくり混ぜ、ふるった粉類の半量を加える。残りのメレンゲ、残りの粉類も同様に混ぜる。 -
焼く
型に生地150gを入れて平らにならし、210℃のオーブンで6~7分焼く。焼けたらぬれ布巾の上で冷ます。2層目と3層目は100gの生地を使って同様に焼く。最後の4層目は残りの生地を流し入れて焼く。焼き上がったら型から外し、冷ます。 -
バタークリームを作る
ボウルに卵白40gとグラニュー糖7gを入れて泡立てる。鍋にグラニュー糖60gと水20mlを入れて117℃まで煮詰め、泡立てた卵白に少しずつ加えながら混ぜる。冷めるまで泡立てたら、やわらかくしたバターを加えて混ぜる。途中でバターがかたくなった場合は湯せんで温める。 -
仕上げ
バウムクーヘンを逆さまにして網の上に置く。鍋にアプリコットジャムと水を入れて煮詰め、バウムクーヘンに塗って全面をコーティングする。粉砂糖をまぶしながらマジパンを薄くのばし、バウムクーヘンにかぶせる。余分な部分は包丁で切り取る。溶かしたチョコレートを表面にかけ、冷蔵庫で冷やす。星形の口金でバタークリームを絞り、コイン状チョコレートをトッピング。最後に温めた包丁でカットする。
食べごろと保存方法
このバウムクーヘントルテは、作った翌日がもっとも食べごろ。一晩寝かせることで、ジャムやチョコレートが生地になじみ、しっとりとした口当たりになります。
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常温保存が基本
冷蔵庫で保存するとバタークリームが固くなり、食感が変わるため、**常温で保存するのがベスト。**涼しい場所に置いておき、翌日までに食べきるのがおすすめです。 -
冷蔵保存する場合のポイント
気温が高い場合や、翌日以降も食べたいときは冷蔵庫に入れます。乾燥を防ぐためにラップで包み、食べる前に常温に戻してからいただくとおいしく食べられます。固くなった場合は、電子レンジで5秒ほど温めると少しやわらかくなります。 -
冷凍も可能
長期間保存したい場合は冷凍もできます。- 1カットずつラップで包み、ジッパー付き保存袋に入れる
- 冷凍庫で最大2週間保存可能
- 食べる前日に冷蔵庫に移して解凍し、常温で30分ほど置くと風味が戻る
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しっとり感をキープするコツ
- バタークリームやジャムの水分を生地にしっかりなじませることで、翌日もしっとり感が続く
- 冷蔵庫に入れる場合は、乾燥しないようしっかり密閉する
- チョコレートが固くなりすぎないよう、食べる直前に常温に戻す
本格的な味わいながら、オーブンで手軽に作れるバウムクーヘントルテ。手間はかかりますが、焼き上げる楽しさや、仕上げの美しさも魅力のひとつです。翌日にしっとりとした食感を楽しめるよう、作ったらすぐに食べるのではなく、一晩寝かせるのがおすすめです。特別な日のスイーツとして、ぜひ作ってみてください。
まとめ
バウムクーヘンはドイツで生まれた焼き菓子ですが、日本で独自に進化し、今ではお祝いの場に欠かせないスイーツになりました。その背景には、カール・ユーハイムの貢献や、日本人の嗜好に合わせたアレンジ、そして「長寿」「繁栄」の象徴としての意味が深く関わっています。一方、ドイツでは伝統的な製法を守る職人が減少し、特別な日にしか食べられない高級菓子という位置づけが続いています。
今回の「グレーテルのかまど」では、バウムクーヘンの歴史を知るとともに、家庭でも作れる「バウムクーヘントルテ」が紹介されました。バウムクーヘンに興味がある方は、本場のものを味わうだけでなく、自宅でアレンジを楽しんでみるのもおすすめです。
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