造形作家と料理家の理想の暮らし
2025年7月22日(火)放送の「心おどるあの人の台所」では、造形作家のマスミツケンタロウさんと料理家のセトキョウコさんご夫婦が登場します。東京から山梨へと移住したおふたりが選んだのは、自然に囲まれた古民家での暮らし。中心にあるのは、毎日の料理と向き合う「台所」です。
都市の利便性を離れ、土地の恵みを生かした日々を送るおふたりにとって、台所は単なる料理の場ではなく、思いや工夫が詰まった“暮らしの核”となっています。この番組では、そんなふたりの暮らし方と台所のこだわりが紹介されます。
妻の理想を形にした「使いやすさの極み」のキッチン
造形作家のマスミツケンタロウさんが設計したキッチンは、料理家のセトキョウコさんの理想をそのまま形にしたような空間です。毎日の調理が快適になるように、見た目の美しさと実用性がひとつになった工夫が散りばめられています。
動きやすさを意識した道具の配置と導線
キッチンの中央には広めの作業台があり、調理中の移動が最小限で済むよう冷蔵庫、シンク、コンロの位置関係がしっかりと考えられています。作業を始めたら自然と手が伸びる位置に道具が揃っていて、流れるように料理ができる動線が設計されています。
調味料や器具の収納もセトさんの調理スタイルに合わせて配置され、棚の高さや引き出しの深さなども実際の使いやすさをもとに決められています。手を伸ばしたときに必要なものがそこにある、そんな快適さが毎日の料理を支えています。
料理家ならではの視点を生かした設計
シンクの高さや水はねの角度まで計算されていて、長時間の作業でも体に負担がかからないようになっています。まな板を置くスペースと隣接する水切り台は一体化されており、切った食材をそのまま洗える流れが生まれています。
また、使い終わった道具をすぐに片づけられるよう、背面にはコンパクトながら収納力の高いパントリーが設けられています。どの場所にも無駄がなく、料理家としてのセトさんの工夫と感覚が随所にちりばめられています。
見た目と手触りの心地よさ
素材にもこだわり、カウンターや引き出しの取っ手には木のぬくもりが感じられる無垢材を使用。道具や器も空間に溶け込むように並べられていて、調理中だけでなく眺めても心地よい空間です。食材だけでなく空間そのものにも手をかけることで、毎日の料理の時間がより豊かになります。
このキッチンは、暮らしの真ん中に料理があるおふたりにとって、ただの作業場ではなく“心地よい時間を過ごす場所”になっています。
庭にある「もうひとつの台所」石窯と小麦の物語
山梨の古民家の庭に設けられた石窯は、マスミツケンタロウさんとセトキョウコさんにとって、台所と並ぶもうひとつの大切な“食の場”です。自分たちで育てた小麦を収穫し、粉に挽いて、石窯で焼き上げる。そんな丁寧な暮らしが、ここには息づいています。
小麦を育て、食卓へつなげる日々の流れ
ふたりの暮らしでは、小麦を育てるところから始まります。春に種をまき、夏に刈り取り、天日で乾かしてから製粉する。そうしてできた小麦粉は、手ごねのパンやピザになり、石窯で焼き上げられます。焼きあがった香ばしいパンの香りが庭いっぱいに広がる時間は、家族にとって特別なひとときです。
この一連の流れが、ただの料理ではなく“生活のリズム”になっていて、自然のサイクルと調和した暮らしの大切さを感じさせてくれます。
石窯がつなぐ、人と食との新しい時間
石窯は、パンやピザを焼くだけでなく、人が集まり、会話が生まれる場所でもあります。家族や友人が集まり、みんなで生地をこねて、焼きたてをほおばる。そんな時間がふたりの暮らしに彩りを加えてくれています。
石と火の力を活かしたこの台所は、外の空気と光のなかで味わう食事の魅力を再発見させてくれる場所。東京での生活では考えもしなかったこのスタイルが、今ではすっかりふたりの暮らしに欠かせない一部となっています。
日常のなかにある豊かさとは何か。石窯のある暮らしは、その答えをやさしく教えてくれるようです。
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