きょうだい児のリアルな声に寄り添う番組
2025年2月15日放送のNHK【さぬきドキっ!】では、「きょうだい児」の抱える想いに焦点を当てた特集が放送されました。
「きょうだい児」とは、病気や障害のある兄弟姉妹を持つ子どもたちのことを指します。彼らは幼少期から、障害のある兄弟姉妹が優先される環境で育つことが多く、家族の中で自分の気持ちを後回しにしてしまいがちです。
番組では、10代から40代のきょうだい児が集まり、それぞれがこれまでに抱えてきた想いや経験を語りました。自己肯定感の低下や、自分の気持ちを表現することが苦手になってしまう問題について、当事者の視点から深く掘り下げていきます。
また、専門家の解説を交えながら、きょうだい児たちがより生きやすい社会にするために、周囲の人々がどのように向き合っていけばいいのかを考えます。
きょうだい児とは?知られざる悩みと課題
「きょうだい児」という言葉は、一般的にはあまり知られていませんが、実際には多くの家庭に存在しています。
・障害のある兄弟姉妹がいるため、親の関心がどうしてもそちらに向きがちになる。
・「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから我慢しなさい」と言われることが多く、自分の気持ちを押し殺す習慣がついてしまう。
・障害のある兄弟を守れなかったと感じ、自己嫌悪に陥ることがある。
・家族の事情を理解しているため、進学や就職の際も自分の夢より家族を優先することが多い。
・相談できる相手が少なく、孤独を感じることが多い。
幼い頃から「家族を助ける立場」として育つことが多いため、自分の気持ちよりも、周囲の状況を優先する癖がついてしまうことが、きょうだい児の大きな特徴です。
きょうだい児たちのリアルな声
番組では、実際にきょうだい児として育った人々が集まり、自身の経験を語り合いました。
・「小さいころから、親の関心はいつも弟に向いていて、自分のことを話す機会がなかった。」
・「進学や就職の際も、家族のことを考えると、どうしても自由に選択するのが難しかった。」
・「自分の気持ちを周りに話しても、あまり理解されず、相談するのを諦めるようになった。」
・「大人になって振り返ると、自分の気持ちをもっと大事にしてもよかったんじゃないかと思う。」
このように、きょうだい児は幼い頃から「周囲を優先することが当たり前」と思って育つため、自分の本当の気持ちを表に出すのが苦手になりやすいのです。
また、番組では「きょうだい児のあるある」として、以下のような状況が紹介されました。
・親から「あなたは大丈夫だから」と言われることが多く、心の中では「私は大丈夫じゃないのに」と思っていた。
・周囲の人に「○○ちゃん(障害のある兄弟)の面倒を見て偉いね」と言われるが、本当はそんなことを言われるのがつらい。
・障害のある兄弟姉妹が将来どうなるのか不安を抱えつつも、誰にも相談できずに一人で考え込んでしまう。
こうした経験談を通じて、きょうだい児がいかに周囲に気を遣いながら生きてきたのかが浮き彫りになりました。
どうすればきょうだい児が生きやすい社会になるのか
番組では、成蹊大学特別研究員の滝島真優さんが登場し、きょうだい児が抱える問題について解説しました。
・家族や周囲の人が「きょうだい児の気持ち」に気づくことが何よりも大切。
・「大変なのは障害のある兄弟姉妹だけではなく、きょうだい児も同じ」という視点を持つことが必要。
・「自分の気持ちを我慢するのではなく、言葉にして伝えていいんだよ」という環境を作ることが重要。
・きょうだい児同士がつながる場があることで、共感し合える仲間を見つけられる。
また、番組では、家族や周囲のちょっとした言葉がきょうだい児にとって大きな支えになることも紹介されました。
・「あなたも大事な家族の一員だよ」と言われたことで安心できた。
・「いつも頑張っているね」と声をかけてもらえたことで、気持ちが軽くなった。
・「あなたのこともちゃんと見ているよ」と言われるだけで、自己肯定感が上がる。
このように、きょうだい児にとって、周囲の理解とちょっとした一言が大きな力になることが分かります。
まとめ
今回の【さぬきドキっ!】では、きょうだい児のリアルな声に耳を傾け、社会としてどのように向き合っていくべきかを考えました。
・きょうだい児は、家族の中で「自分は後回し」と感じることが多く、自己肯定感が低くなりやすい。
・親や周囲が、「きょうだい児の気持ちに気づき、理解しようとすること」が大切。
・「きょうだい児同士がつながる場」を作ることで、共感し合える仲間を見つけられる。
・ちょっとした一言が、きょうだい児にとって大きな支えになる。
この番組を通じて、きょうだい児の存在をより多くの人が知り、支え合える社会を作るきっかけになることが期待されます。
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