電動キックボード事故急増!利便性と安全性の両立は可能か?|2025年2月19日放送
2025年2月19日放送の「クローズアップ現代」では、電動キックボードの事故が急増している問題について特集されました。近年、手軽に乗れる電動キックボードが急速に普及し、観光客や通勤・通学の移動手段として利用する人が増えています。しかし、その一方で、交通違反や事故が多発し、安全対策の強化が求められています。
番組では、電動キックボードを取り巻く現状、安全対策の課題、日本と海外の取り組みについて詳しく紹介されました。本記事では、放送内容をわかりやすく解説します。
急増する電動キックボードの事故とその背景
電動キックボードは、小型でコンパクトな乗り物として注目され、都市部を中心にシェアサービスの普及が急拡大しています。国内最大手のシェアサービスでは、乗り場の数が1万1700か所に達し、利便性が向上しました。
しかし、その一方で事故や違反も急増しており、特にここ3年間で事故件数が10倍以上になっています。
- 公道で危険な運転をしている電動キックボードを見た人は38%
- 実際に接触された、またはされそうになった経験がある人は14%
- 2024年の交通違反の検挙件数は4万5536件
- 通行区分違反が58%を占め、ルールを守らずに走行するケースが目立つ
- 飲酒運転での事故割合は17.2%と高く、社会問題になっている
このように、電動キックボードの利用者が増えるにつれ、ルールを知らないまま公道を走行する人が増えたことが事故の大きな原因となっています。
ルール改正が影響?電動キックボードの交通法の変化
電動キックボードの利用ルールは、2023年の道路交通法改正によって大きく変わりました。以前は、電動キックボードは「原動機付自転車(原付)」に分類され、運転には免許が必要でした。しかし、新しい規定では「特定小型原動機付自転車」というカテゴリーが新設され、以下のようなルールになりました。
- 免許は不要(16歳以上であれば誰でも利用可能)
- ヘルメットの着用は努力義務(強制ではない)
- 歩道の走行は制限付きで許可(時速6km以下なら走行可能)
- 最高速度は時速20km(通常の道路での走行)
この改正により、利用のハードルは下がったものの、多くの利用者が新しいルールを理解しておらず、意図せず違反をしてしまうケースが増えています。特に、「歩道を普通の自転車のように走ってしまう」「ヘルメットを着用しないまま運転する」「飲酒運転をしてしまう」といった問題が発生し、事故につながるリスクが高まっています。
北九州市の取り組み 交通手段としての導入と安全対策
北九州市では、観光客の増加によりバスやタクシーの数が減少し、移動手段として電動キックボードの導入を進めています。市はシェアサービスの普及を支援し、交通の利便性を向上させる取り組みを行っています。
しかし、電動キックボードの利用が増えるにつれ、安全対策の強化が求められています。そのため、市では警察やシェアサービス事業者と連携し、ルールの周知を強化しています。
- 利用登録時に交通ルールテストを実施し、全問正解でないと登録できない
- アプリ内で飲酒運転に関する警告を表示し、違反者は利用停止処分
- 事業者側もさらなる安全対策の検討を進めている
こうした取り組みが進められているものの、依然としてルールを守らない利用者は多く、さらに厳しい規制が必要ではないかという議論もあります。
海外の事例:ベルギーではどんな安全対策をしているのか?
電動キックボードの普及が進んでいるのは日本だけではありません。ベルギーでは、電動キックボードの事故が増加したことを受け、行政と事業者が一体となって安全対策を強化しました。
- 電動キックボードは自転車と同じ道路を通行するルールに統一
- 歩道の走行は禁止し、違反者には罰則を設ける
- 新しい利用者には「初心者モード」を適用し、速度を自動的に制限
- 料金の仕組みを「距離制」に変更し、無理なスピードを出させないようにした
- 特定のエリアでは速度を自動で制限するシステムを導入
これらの対策により、電動キックボードの平均速度は10%減少し、安全性が向上しました。日本でもこうした仕組みを導入することで、事故のリスクを減らせる可能性があります。
日本で求められる今後の対策
日本では、電動キックボードの利用者が増えている一方で、安全対策が十分に整っていないのが現状です。今後、以下のような取り組みが求められます。
- 利用者へのルールの周知を徹底する(シェアサービス利用時にルールの学習を義務化するなど)
- 違反者への厳しいペナルティを設ける(違反歴がある人の利用を制限するなど)
- 初心者向けの速度制限モードを導入する(初回利用者は一定期間速度を制限するなど)
- 指定区域での速度自動制限システムを導入する(都市部の混雑エリアでは速度を制限するなど)
また、行政と事業者が協力して、安全なルートを案内する仕組みを作ることで、より安心して利用できる環境を整えることが重要です。
まとめ
電動キックボードは手軽で便利な移動手段ですが、安全対策が不十分なまま普及が進んでいるため、事故や違反が急増しています。特に、ルールを理解していないまま公道を走る人が多く、安全意識の向上が課題となっています。今後、日本でもベルギーのような厳格なルールを導入し、安全な利用環境を整えていくことが求められます。
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