ネクスト・パンデミックにどう備える
新型コロナウイルスが世界を襲ってから、まもなく5年が経ちます。あのとき私たちは、マスクやワクチン、ロックダウンといった新しい日常に直面し、命を守るために行動してきました。しかし、感染症の脅威は終わっていません。今、新たなウイルスによる「ネクスト・パンデミック」がいつ起きてもおかしくないと専門家たちは強く警告しています。2025年5月21日放送予定のNHK『クローズアップ現代』では、この見えない脅威にどう備えるべきかを多角的に考えます。放送時間は19時30分から19時57分までの27分間、NHK総合で放送されます。
放送後、詳しい内容が分かり次第、記事を更新する予定です。
ベトナム奥地で行われるコウモリ調査の現場
新たなパンデミックの原因として注目されているのが、野生動物が保有する未知のウイルスです。中でもコウモリは多くのウイルスを持ち、人への感染源になる可能性が高い宿主とされています。今回の番組では、ベトナムの奥地で進められているコウモリの調査にも密着します。
・長崎大学熱帯医学研究所は、ベトナム全土で長年にわたりコウモリの捕獲と病原体の解析を実施
・北部の洞窟や南部の寺院などから採取されたコウモリからは、ニパウイルスに近いウイルスや新種のヘルペスウイルスが見つかっています
・東京大学などの研究チームも参加し、SARSと似たコロナウイルス(SL-CoV)の多様性や感染の可能性を調査
こうした地道な調査により、ウイルスがどのようにコウモリの体内で生きているのか、また人間に感染する可能性があるのかを分析し、感染拡大の予兆を早期にキャッチすることが目指されています。
国際保健の要・WHOが直面する重大な危機
世界の感染症対策をけん引してきたのがWHO(世界保健機関)です。しかし今、この組織が大きな岐路に立たされています。アメリカがWHOからの脱退を表明したことによって、国際的な感染症対策の基盤が揺らぎ始めているのです。
・アメリカはWHOの最大出資国であり、全体予算の約18%を拠出
・脱退によってWHOは、今後2年間で17億ドル以上の資金不足が生じる見込み
・この資金の欠如により、発展途上国へのワクチン供給や感染症対応が著しく遅れるおそれが指摘されています
さらに、WHOが各国と協力して進めている「パンデミック協定」も、アメリカの不参加によって実効性が問われる状況になっています。感染症は国境を越えて広がるため、一国の対応では限界があり、世界が連携する必要があります。今こそ、国際社会が一丸となってWHOの活動を支える体制を構築することが求められています。
日本の感染症対策は本当に十分か?
日本では、コロナ禍の経験を生かし、感染症に対する備えを強化する動きが進んでいます。しかし番組では「その取り組みがまだ十分に現場に根付いていない」という課題も浮き彫りになる予定です。
・2025年4月、感染症対策の司令塔となる「国立健康危機管理研究機構(JIHS)」が設立
・これは国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合した機関で、情報の分析から治療薬の開発、人材育成まで一貫して担います
・内閣感染症危機管理統括庁の設置も進められており、政府の迅速な意思決定と情報発信が可能になると期待されています
しかし、地方自治体や医療現場では「人手不足や連携体制の不備」など、現実とのギャップが生じています。国と地域、行政と医療機関がどのように連携し、迅速に対応できる体制を築けるかが、今後の大きな課題です。
人・動物・環境の健康を守る「ワンヘルス」という考え方
パンデミックの多くは、人間と動物の接触から始まります。「ワンヘルス(One Health)」とは、人・動物・環境を一つの健康としてとらえ、バランスのとれた対策を進めるという考え方です。
・野生動物の保護、生息地の維持
・森林破壊や違法な動物取引の防止
・農村や発展途上地域の衛生環境改善
これらの取り組みが、動物から人へウイルスがうつるリスクを減らすための土台となります。感染症対策は、医療だけでなく、環境保全や教育、経済政策とも連動して考える必要があります。
一人ひとりが今できること
感染症対策は、政府や医療機関だけのものではありません。私たち一人ひとりの行動が、次のパンデミックを防ぐ第一歩になります。
・手洗い、マスク、換気などの基本的な対策の継続
・正確な情報を見極め、SNSなどの誤情報に惑わされない
・インフルエンザや肺炎球菌など、予防接種を受けておく
・家庭内で感染症が発生した場合の対応や備蓄の見直し
また、学校や職場、地域での情報共有や、弱い立場の人への配慮も忘れてはいけません。感染症に強い社会とは、思いやりと準備が行き届いた社会でもあります。
おわりに
『クローズアップ現代』は、科学と社会の最前線をわかりやすく伝える番組として、多くの視聴者に信頼されています。今回の「ネクスト・パンデミック」に関する放送も、国内外の動向とともに、日本が進むべき道を具体的に照らしてくれる内容になると考えられます。
放送後、さらに詳しい情報が判明し次第、この記事を更新予定です。未来の感染症に備えるために、まずはこの27分の番組を見て、知ることから始めてみませんか。
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