肥満症治療で話題のGLP-1受容体作動薬を徹底解説|2025年2月22日放送
肥満症の治療薬として世界中で注目を集めているGLP-1受容体作動薬。2025年2月22日放送の『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』では、この薬の仕組みや開発秘話、正しい使い方とリスクについてわかりやすく解説されました。本記事では番組の内容をもとに、GLP-1受容体作動薬について詳しく紹介します。
GLP-1受容体作動薬とは?なぜ肥満症治療で注目されているのか
GLP-1受容体作動薬は、もともと2型糖尿病の治療薬として開発されました。GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンには、以下のような働きがあります。
- 食事をすると腸から分泌され、インスリンの分泌を促進し血糖値を下げる
- 胃の働きをゆっくりにして、満腹感を長持ちさせる
- 脳に作用し、食欲を抑える
このホルモンの働きを強めることで、食事量が自然と減り、体重を減少させる効果が期待できることから、肥満症治療にも応用されるようになりました。2023年に日本で承認されたセマグルチド(商品名ウゴービ)は、週1回の皮下注射で約10%の体重減少が期待できると報告されています。
GLP-1受容体作動薬の開発に関わった意外な動物とは?
GLP-1受容体作動薬の開発には、アメリカドクトカゲという意外な動物が関わっています。このトカゲは、アメリカ南西部やメキシコ北部に生息する毒を持つ生き物で、その毒液には「エキセンダイン-4」というペプチドが含まれています。この成分がGLP-1と似た働きを持つことが発見され、GLP-1受容体作動薬の開発につながりました。
- 人間の体内で分泌されるGLP-1はすぐに分解されるが、エキセンダイン-4は長時間体内にとどまるため、薬としての効果を発揮しやすい
- この特徴を応用し、より持続的に作用するGLP-1受容体作動薬が開発された
自然界の生物から得られた発見が、医療の進歩につながった興味深い事例です。
肥満症とは?肥満と何が違うのか
「肥満」と「肥満症」は別のものであり、混同してはいけません。
- 肥満:単に体脂肪が多く、体重が増加している状態
- 肥満症:肥満が原因で糖尿病、高血圧、脂質異常症などの病気を発症し、医学的に治療が必要な状態
つまり、見た目の「太っている」だけではなく、健康を害している状態が「肥満症」と診断されます。このため、GLP-1受容体作動薬は単なるダイエット薬ではなく、医学的に治療が必要な人が使用すべきものです。
GLP-1受容体作動薬の正しい使い方とリスク
この薬は、食欲を抑える効果があるため、ダイエット目的での使用を考える人もいるかもしれません。しかし、安易な使用は危険です。
使用する際のポイント
- 必ず医師の処方を受けること(自己判断で使用すると副作用のリスクが高まる)
- 生活習慣の改善と併用すること(薬だけに頼ると効果が持続しない)
- 長期的な視点で治療を続けること(途中でやめるとリバウンドの可能性あり)
副作用のリスク
- 消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛)
- 低血糖(特に糖尿病治療薬と併用するとリスク増大)
- 膵炎のリスク
また、長期間使用することで、体が薬に慣れてしまい、効果が減少する可能性もあります。そのため、医師の指導のもと、適切な治療計画を立てることが大切です。
まとめ
GLP-1受容体作動薬は、糖尿病治療から始まり、肥満症治療にも応用されるようになった画期的な薬です。しかし、その開発にはアメリカドクトカゲという意外な生き物の毒が関わっていたという驚きの事実もあります。
ただし、この薬は単なるダイエット薬ではなく、医師の指導のもとで使用することが絶対条件です。副作用のリスクもあるため、適切な使い方を理解し、生活習慣の改善と併せて治療を進めることが重要です。
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