不登校の子どもたちを支援するオンライン学習の広がり
2025年2月5日放送のNHK総合【午後LIVE ニュースーン】では、不登校の子どもたちを支援する新たな学びの場として「オンライン学習」が広がっている現状について特集されました。
昨年度、不登校の小中学生は34万人を超え、過去最多を更新し、11年連続で増加しています。その背景には、子どもたちが学校に適応できない環境や、家庭の事情、精神的な負担などさまざまな要因があります。
そんな中、新たな学びの場としてオンライン学習を活用した支援が全国で広がりを見せています。今回の放送では、自治体が主導するオンライン学習支援「のべおかつながるオンライン」や、バーチャル空間を活用したオンラインフリースクールの取り組みが紹介されました。
宮崎県延岡市の「のべおかつながるオンライン」とは?
宮崎県延岡市では、市の教育委員会が主導する「のべおかつながるオンライン」が開始されました。現在、31名の小中学生がこのオンライン学習支援を利用しており、通常の学校と同じように毎日授業が配信されています。
【「のべおかつながるオンライン」の特徴】
- 自治体が運営するオンライン学習支援
- 民間のフリースクールとは異なり、公的な支援として提供
- 在籍している学校と連携し、学習状況を記録
- 学習ペースの調整が可能
- 通常の授業よりゆっくりしたペースで進行
- 子どもたちの理解度に応じた柔軟なカリキュラム
- 学びやすい環境を提供
- カメラやマイクの使用は自由(オン・オフは本人の意思で決定)
- 発言が苦手な子どもも、チャットや絵文字でリアクションが可能
- ふるさと学習に力を入れる
- 地域の話題や歴史、文化を取り入れた学習内容
- 興味を持ちやすく、学ぶ楽しさを実感しやすい
この授業を担当するのは、長年小学校の教師を務めた経験豊富な支援員たちです。その中の一人、大崎陽子さんは教師歴40年で、昨年までは小学校の校長を務めていました。かつては不登校の子どもたちに対し、家庭訪問を行いながら学校に通えるようにサポートしていましたが、現在はオンラインを活用しながら、一人ひとりの個性を尊重した指導を行っています。
オンライン学習支援を受ける子どもたちの現状
のべおかつながるオンラインに参加している子どもたちは、地域の学校に在籍しながらオンラインで学習を受けているという点が特徴です。
また、在籍する学校長の判断によっては、オンラインでの学習状況を評価し、「出席扱い」になるケースもあります。このように、オンライン学習を通じて学び続けることができる環境が整備されつつあります。
さらに、のべおかつながるオンラインでは、毎日子どもたちにアンケートを実施し、体調や心の状態を確認。授業の理解度や感じたことを記録することで、子どもたちのメンタル面のサポートも行っています。
新たな学びの場・バーチャル空間のフリースクール
不登校の子どもたちを支援する手段の一つとして、オンラインフリースクールも注目されています。番組では、東京都品川区にあるバーチャル空間を活用したフリースクールが紹介されました。
このフリースクールでは、全国の小中学生約600人がオンラインで学んでおり、インターネット上の仮想空間で学習を進めています。
【バーチャルフリースクールの特徴】
- バーチャル空間に「学校」を再現
- 子どもたちはアバターを使い、仮想校内を自由に移動
- 「友達と話せるスペース」や「自習室」など、リアルな学校生活を模倣
- 自習形式の学習
- 市販のドリルや学習ソフトを使用し、自分のペースで学ぶ
- 運営スタッフが学習やメンタル面のサポートを担当
- 「探究型学習」を導入
- 午後の時間は、自分の興味のある分野を深掘り
- 例:歴史好きの子どもが「未来の大河ドラマの主人公」を予想しプレゼン
オンライン学習を選ぶ理由とは?
このフリースクールには、学校外の活動と学習を両立したい子どもたちも多く在籍しています。例えば、ピアニスト兼作曲家を目指す生徒は、午前はオンラインで勉強し、午後はピアノの練習や地元のイベントに参加。
「不登校=勉強をしない」わけではなく、自分に合った学び方を選びたいという理由でオンラインを活用するケースも増えていることがわかります。
オンライン学習の今後の課題
番組では、オンライン学習のメリットだけでなく、今後の課題についても触れられました。
- リアルな社会との接点を持つことも重要
- オンライン学習が広がる一方で、「バーチャルの世界に留まらず、現実の社会とつながる機会も大切」との指摘もありました。
- 「不登校=勉強していない」ではないことを理解する
- 「不登校の子どもが増えている」という数字だけではなく、「学校以外の場で学んでいる子どもがいる」という視点も重要。
まとめ
今回の放送では、不登校の子どもたちに対する「オンライン学習の可能性」について詳しく紹介されました。
- 自治体主導の「のべおかつながるオンライン」
- 公的な支援として運営され、毎日オンライン授業が配信されている
- 出席扱いとなる場合もあり、安心して学習を継続できる
- バーチャル空間のフリースクール
- 全国から600人以上が参加し、自由な学びの場を提供
- 好奇心を大切にし、探究型の学習が行われている
- オンライン学習のメリットと課題
- 学校以外の選択肢として有効だが、リアルな社会とのつながりも重要
オンライン学習は、不登校の子どもたちに新たな可能性をもたらす選択肢の一つとなっています。今後、さらに支援の仕組みが充実することが期待されます。
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