第1回 筆づかいで激変!広がる空と海
2025年4月27日(日)にNHK総合で放送された「3か月でマスターする絵を描く」第1回では、「筆づかいで激変!広がる空と海」というテーマで、筆の使い方によって絵の印象が大きく変わることが丁寧に紹介されました。このシリーズは、3か月で絵を学びたい人向けの全6回構成。第1回の今回は、アクリルガッシュという絵の具を使って、基本の塗り方と風景画の初歩を学びます。講師は50年以上のキャリアを誇る画家柴崎春通(しばさきはるみち)さん。そして一緒に絵を描くのは、女優・タレントの山之内すずさんです。柴崎さんのアトリエを舞台に、絵を描く楽しさと基礎が学べる構成となっていました。
柴崎春通さんの紹介とアトリエの雰囲気
番組は、静かで温かみのある柴崎さんのアトリエから始まりました。壁には完成した風景画が飾られ、筆や絵の具が整理整頓された棚が並ぶ空間。ここから3か月間の絵の旅がスタートします。柴崎さんは、長年絵画講師として活動し、今ではYouTubeでも人気を集めている現役の画家。特に初心者向けのレッスン動画が好評で、多くの視聴者が「絵が楽しくなった」とコメントを寄せているそうです。今回は、そんな柴崎さんがテレビでわかりやすく指導してくれる貴重な機会となりました。
まず紹介されたのは、柴崎さんが日頃から使っている画材「アクリルガッシュ」。これはアクリル絵の具の一種でありながら、乾きが早く、塗り直しや重ね塗りがしやすいのが特徴です。水彩のような使い方もできる一方で、不透明性も高く、発色もきれいなので初心者でも扱いやすい画材として注目されています。
基本の筆づかいと練習パート
本格的な絵に入る前に、柴崎さんはまず「筆の動かし方」「塗り方の基本」をレクチャーします。ここで重要となるのが以下の3つの塗り方です。
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平塗り:均一な色で、ムラなく塗る技法。空や海のような広い面に適しています。
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重ね塗り:一度塗った上に別の色を乗せて、質感や光を表現する方法。複数の色が重なることで、深みや温かみが生まれます。
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グラデーション:色を少しずつ変化させて、自然なつながりを表現。夕焼けや空の微妙な色合いに効果的です。
柴崎さんは水の量、筆の動かし方、色の置き方なども丁寧に説明しながら、一つ一つ実演。たとえば、グラデーションでは、筆に含ませる水の加減をコントロールすることが重要で、少しずつ筆を動かして色の濃さを調整するのがコツです。
山之内すずさんも、実際に筆を手に取り、柴崎さんの指導通りにグラデーションを練習。最初は色が急に変わってしまう場面もありましたが、徐々に柔らかくつながる色の変化をつかみはじめ、見事な仕上がりを見せていました。
筆の角度や圧のかけ方ひとつで、画面に与える印象が全く変わることがわかり、筆づかいの大切さを実感できる内容でした。
実践!海に沈む夕日を描く
基本の練習を終えたところで、実践パートに進みました。今回の題材は「海に沈む夕日」。構図の説明から始まり、空・雲・夕日・海・岩・灯台など、すべてを一つの絵に描いていきます。
柴崎さんはまず、下絵を鉛筆で軽く描くように説明。ここでは「何をどこに描くか」「バランスがどうか」が大事だと強調していました。
そしていよいよ色づけに入ります。
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空は、上から下へ向かって、濃い青からオレンジへと変化させるグラデーションで夕方の空を表現
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太陽周りは白を残して明るく、周囲をオレンジ・赤・黄で囲むように色をつける
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雲は、影になる部分に灰色や紫を加え、立体感を演出
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海は空と同じ色を映すように塗りながら、水平線に向かって色を薄くする
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岩は複数の色を重ね塗りし、光が当たる面と影の部分の違いを強調
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想像の岬や灯台も、遠くにあるように色を薄く、輪郭も柔らかく描く
柴崎さんは「重ね塗りの幅を調整することで、岩に光が反射しているような表現が可能になる」と解説。絵の具を厚く塗ることで力強さを出し、薄く塗ればやわらかい雰囲気が演出できるなど、質感を出すための工夫が数多く取り入れられていました。
山之内すずさんも、柴崎さんのアドバイスを参考にしながら、自分なりの工夫を加えて仕上げていきました。特に、夕日のまわりのグラデーションは丁寧に塗り分けられ、空の広がりと海の穏やかさがしっかり表現されていたのが印象的でした。
最後には、柴崎さんと山之内さんの2枚の完成作品が並べて紹介されました。どちらの作品も同じ題材でありながら、筆づかいや色の選び方でまったく違った印象を与えており、視聴者にも「自分らしい絵を描いていいんだ」と伝わる構成でした。
まとめと次回への期待
第1回放送は、「筆づかい」が絵の完成度を大きく左右することを実感できる内容でした。初心者にも扱いやすいアクリルガッシュを使い、まずは基本の塗り方を学び、実践では「海に沈む夕日」を通して、自然の風景をどのように描けばよいかが具体的に紹介されました。
絵は難しいと思っている人も、今回のように一つずつ技法を学び、実際に手を動かしていけば、確実に上達していけるというメッセージが伝わる構成でした。次回以降も、より応用的な風景や構図に挑戦していくとのことで、今後の放送も見逃せません。
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