長野・伊那谷の「産直市場グリーンファーム」で出会う人々の物語|2024年9月27日放送回まとめ
2024年9月27日にNHK総合で放送された「ドキュメント72時間」では、長野県伊那市にある「産直市場グリーンファーム」が舞台となりました。南アルプスと中央アルプスに囲まれた伊那谷の静かな町にあるこの市場は、地元の人たちにとって日常の一部であり、また、訪れる人にとってはどこか懐かしくあたたかな空間です。番組では、そんな市場での3日間を通して、買い物に訪れる人、生産者として商品を並べる人、そしてその場を支える地域の人々の姿が丁寧に描かれていました。
登場する人々の言葉や行動のひとつひとつが、伊那谷の豊かな自然とともに生きる暮らしを映し出していて、とても印象深い回でした。
では、4日間にわたって撮影された内容を順を追って紹介していきます。
1日目:地元の野菜と人の想いにあふれた1日(8月8日)
初日の8月8日、カメラは早朝の市場からスタートしました。ここ「グリーンファーム」は想像以上に広く、建物の中にはたくさんの農産物が所狭しと並んでいます。
この日訪れていた女性は、地元で採れた瓜をたくさん買って「粕漬け」を作る予定だと話していました。手作りの保存食が家庭で当たり前のように受け継がれている様子から、地域の食文化が垣間見えました。また、果物を買っていた別の女性は、「ここにはたまに掘り出し物がある」と目を輝かせていました。市場に足を運ぶのがちょっとした楽しみになっているようです。
市場の周辺に住む大学生カップルも登場。2人は近所で同棲しており、市場は生活に欠かせない存在のようです。さらに、専業農家の父と娘も登場し、親子で野菜作りに取り組む姿が印象的でした。
夕方には、生産者登録を済ませたばかりの女性が、自分の育てた野菜を出品しにやって来る様子も描かれました。自分の手で育てた野菜が、誰かの食卓に並ぶ喜び。市場は、こうした「小さな挑戦」や「暮らしの一歩」を支えている場所なのだと感じさせられました。
夜7時にはその日の営業が終了。1日を通して、多くの人々の暮らしが交差していたことがよく伝わるシーンでした。
2日目:子どもたちの好奇心と新しい農のかたち(8月9日)
8月9日、朝の開店と同時に生産者たちが次々と商品を運び入れます。トマト、ナス、とうもろこし、ズッキーニなど色とりどりの野菜が並び、活気に満ちた朝でした。
その中でも目を引いたのは、4人の男の子たちが「昆虫食」を買いに来ていたこと。なんと、イナゴやハチノコの佃煮を買うために、事前にお小遣いを貯めていたのです。食べ物としての興味と冒険心が詰まったその行動に、市場の持つ可能性を感じました。
昼前には、脱サラして農家になった男性が登場。都会の生活から離れて、今は野菜作りに没頭しているという話からは、人生の転機と向き合う真剣さが伝わってきました。また、すずむしを買いに来た男性もいて、市場が単なる食材の場だけではなく、生活に彩りを加える場所であることがわかります。
午後には、30年近く市場に通い続けている女性の話も紹介されました。日々の食材をここで仕入れ続けてきた彼女にとって、この市場は単なる買い物の場所ではなく、「生活の一部」として深く根づいていることがわかりました。
閉店間際には、仕事を終えた女性が、自分へのご褒美に梨を購入していた様子も印象的でした。地元の果物で癒やされる姿は、働く人にとっての「ほっとできる時間」を表していました。
3日目:90歳の出品者とお盆を前にしたにぎわい(8月10日)
8月10日は土曜日で、さらにお盆前ということもあり、市場には朝から多くの人が訪れていました。この日は、さまざまなカボチャを出品していた女性の話が紹介されました。彼女はなんと90歳近くになってから実家の近くに戻り、子どものころの記憶を頼りに畑を始めたと語っていました。その姿には、年齢に関係なく新しいことに挑む力強さがありました。
午後には、「盆ござ」を出品しようとする農家の男女の姿もあり、行事や風習に合わせた出品が見られました。地元の行事と市場が自然につながっていることが感じられるシーンでした。
4日目:日の出とともに始まる一日(8月11日)
最終日の8月11日は日曜日。朝の5時過ぎからカメラは動き出し、とうもろこしの収穫風景が映し出されました。まだ薄暗い中、手際よくとうもろこしを収穫していく姿からは、早朝から働く農家のリアルな日常が伝わってきました。
再び登場した脱サラ農家の男性も、自分の畑で収穫を行っていました。農業は簡単ではないけれど、育てたものが誰かのもとへ届くことが嬉しいと感じているようでした。
この日も市場には多くの家族連れや買い物客が訪れ、日曜日ならではの賑やかさと活気が感じられました。
「グリーンファーム」の基本情報と口コミから見る魅力
今回の舞台となった「グリーンファーム」は、長野県伊那市ますみヶ丘351-7にある大型の産直市場です。中央自動車道「小黒川スマートIC」から車で約3分、JR伊那市駅からも車で約10分とアクセスは良好です。
営業時間は、夏季(4月〜10月)は8:00〜19:00、冬季(11月〜3月)は8:00〜18:00で、元日を除いてほぼ年中無休です。
この市場では、野菜や果物だけでなく、ジビエ肉(イノシシ・シカ)や昆虫食、古道具や骨董品、動物とのふれあいコーナーなども楽しめます。
口コミでは、
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新鮮な農産物が安く手に入る
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昆虫食やすずむしなど珍しい商品が豊富
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ヤギやクジャクと触れ合えるので子どもも喜ぶ
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中古家具や火消し道具なども販売されていて、宝探し気分
といった声があり、地域密着型でありながらエンタメ性もある市場であることが分かります。一方で「場所が分かりにくい」「外観が市場っぽくない」という声もありましたが、それもまた地元の“穴場感”につながっているのかもしれません。
おわりに
「ドキュメント72時間」は、どこにでもあるような場所にカメラを置いて、そこにある人生の一部をそっと映し出す番組です。今回は「グリーンファーム」での72時間を通して、日常のなかにある温かさやつながり、そして挑戦や変化を見せてくれました。
地元の人が作ったものを地元の人が買うという、当たり前のようで大切な営み。そこには、それぞれの思いや歴史が詰まっていて、見ているこちらもほっとする時間となりました。
機会があれば、ぜひ一度グリーンファームに足を運び、自分の目でその豊かさと人の温かさを感じてみてください。
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