メダルゲームに誘われて|埼玉・ふじみ野「バイヨン」に密着
2025年4月11日(金)22時からNHK総合で放送された『ドキュメント72時間』では、埼玉県ふじみ野市にあるゲームセンター「アミューズメントフィールド バイヨン」を舞台に、メダルゲームに集まる人々の姿を72時間にわたって記録しました。お金にも景品にもならないメダルゲーム。それでも心をつかまれるのはなぜか――さまざまな背景をもつ人々が訪れ、台の前で夢中になる3日間が描かれました。
舞台となるゲームセンター「バイヨン」について
「アミューズメントフィールド バイヨン」は、埼玉県ふじみ野市のショッピング施設「LCモールうれし野」の2階にある大型ゲームセンターです。特にメダルゲームのシングルマシンの台数が日本トップクラスに多く、マニアからは“聖地”と呼ばれるほどの存在感を持つ施設です。
店内は、テーマに分けて以下のように構成されています。
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メダルゲームエリア:一人で黙々と楽しめるシングルマシンがずらりと並び、昔ながらのメカニカルな台から、最新のデジタル台まで勢ぞろい
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オールドゲームエリア(MAエリア):昭和から平成初期にかけて流行したレトロ台が充実しており、当時を懐かしむ人にはたまらない空間
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ピンボールエリア:今では珍しいピンボールマシンが稼働中。独特の音や光の演出で、今の子どもから大人まで楽しめる雰囲気
このように、新旧のゲームが融合した独自の世界観が「バイヨン」最大の魅力です。
バイヨンの基本情報とアクセス
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施設名:アミューズメントフィールド バイヨン
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住所:埼玉県ふじみ野市うれし野2-16-1 LCモールうれし野 2F
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電話番号:049-265-1400
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営業時間:10:00〜24:00
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定休日:年中無休
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アクセス:東武東上線「ふじみ野駅」西口より徒歩約5分
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駐車場:LCモールの駐車場を利用可能(会員は2時間まで無料)
駅から徒歩圏内でアクセスがよく、駐車場も完備されているため、車でも電車でも行きやすい立地です。
メダルゲームに惹かれる理由とは
今回の『ドキュメント72時間』では、バイヨンに通うさまざまな人々の姿が紹介される予定です。
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仕事が憂うつで現実から少し離れたいという人
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幼い頃に父親と一緒に遊んだ記憶をたどる中年男性
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日課のようにゲームをプレイする高齢者
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ゲームの演出そのものに快感を覚える若者
こうした人たちが、景品もお金も手に入らないゲームに夢中になっている理由を、番組では丁寧に探っていく構成となっています。
メダルゲームには、当たりの瞬間に鳴る音やメダルが落ちる感触など、五感を刺激する“達成感”があり、現実とは異なる“非日常”の時間が流れる場所となっています。それが人々の心を癒やすのかもしれません。
バイヨンの利用者からの声と評判
ネット上の口コミやブログでは、次のような評価が目立ちます。
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「他ではもう見かけない機種が現役で稼働している」
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「機械の整備がしっかりしていて、状態がよく遊びやすい」
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「スタッフの対応が親切で、初心者でも安心して楽しめる」
さらに、店舗の公式X(旧Twitter)やYouTubeチャンネルでは、ゲーム台の紹介や遊び方の解説動画も配信されており、遠方のファンも情報をチェックして訪れることがあるほどの人気ぶりです。
メダルゲームという“無目的”の魅力
番組では、何かを勝ち取るためではなく、「ただ夢中になれる」という時間の価値を、さまざまな人の姿を通して描こうとしています。
そこには、以下のような背景があると考えられます。
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過去の思い出とつながる体験
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今の自分をリセットする時間
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静かに一人になれる場所
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日常にはない音や光に包まれる感覚
バイヨンに集まる人々は、それぞれの想いや事情を抱えつつも、ただ“ゲームに集中できる空間”を求めて訪れています。何かを得るためではなく、何かを手放すために来ているのかもしれません。
2月23日(日)懐かしさと今が交差するメダルコーナーの夕暮れ
最初の取材日となった日曜日。ふじみ野駅から徒歩5分ほどのLCモールうれし野にある「バイヨン」には、午後から多くの人が訪れていました。館内にはさまざまなアーケードゲームがありますが、その奥に広がるのがメダルゲームエリア。小さな手でメダルを入れて遊ぶ9歳の男の子の姿から密着は始まりました。
その後、店内には若いカップルやスーツ姿の会社員、トラックドライバー、IT関係の仕事をしている男性が登場。黙々とスロットに向き合う彼らには、遊びというより「自分だけの時間を過ごす場所」という空気が漂っていました。
閉店間際、両手でスロットを操作する中年男性の姿にスタッフが声をかけます。実はその男性はこの店で働く人。「働いている場所で、自分も遊ぶ」という関係性に、メダルゲームとの距離感の深さが感じられました。そして日付が変わる直前、静かに店のシャッターが閉まり、メダルの音がやむことで1日が終わりました。
2月24日(月・祝)家族や夫婦の関係が静かに浮かび上がる時間帯
翌日、月曜日は祝日。朝10時の開店と同時に現れたのは、国家公務員として働く男性でした。仕事が忙しくてなかなか来られない中で、「月に2回だけの楽しみ」として訪れたバイヨンは、彼にとって大切な“気分転換”の場でした。
昼には、近所に住む60代の母と30代の息子の親子が来店。息子がゲームに集中し、母がそれを見守るような姿に、言葉はなくとも深い関係が感じられました。さらに、息抜きに訪れた中年夫婦や、結婚して1年も経たない若い新婚夫婦の姿もカメラに映りました。誰もが日常の中で小さな余白を求めてここに集まり、それぞれの関係性を静かに再確認しているようにも見えました。
2月25日(火)遠くから来る者、日常に溶け込む者たちのリアル
3日目の火曜日、開店直後に現れた男性は、なんと愛知県から泊まりがけで訪れていたといいます。目的はこのゲームセンターにあるメダル獲得ランキング。バイヨンでは、ゲームの成績をランキング形式で掲示しており、彼はその上位常連プレイヤー。遠方からでも足を運ぶ理由には、単なる娯楽ではない“誇り”のようなものが垣間見えました。
続いてカメラに映ったのは、介護施設でドライバーとして働く女性。日々人と接する仕事の中で、ゲームの世界に没頭する時間が癒しになっているといいます。また、休憩時間を利用して訪れた新人タクシー運転手も登場。勤務の合間に短時間で立ち寄れる場所として、この店の存在が「拠点」となっていました。
2月26日(水)人生の節目と交差するメダルの音
最終日には、受験を目前に控えた高校生の2人組が店を訪れました。卒業を間近に控えた彼らは、子どもの頃から遊び慣れたこの場所で、「最後の思い出づくり」のようにメダルゲームを楽しんでいる姿がありました。将来の不安と期待が入り混じる中、いつものゲームに向き合う姿には、心を落ち着けるための小さな儀式のような印象もありました。
さらに、夜勤明けのコンビニ店員の男性が登場。深夜帯に働いたあと、家に帰る前に立ち寄るこの場所は、眠る前の“無”の時間を過ごす場所。頭を空っぽにできる空間として、メダルゲームの光と音が静かに寄り添っていました。
まとめ
今回の『ドキュメント72時間』では、埼玉県ふじみ野市の「バイヨン」に集まる人々の72時間を通じて、メダルゲームが単なる遊びではなく、日々の暮らしに必要な“心の隙間”を埋めるものになっている現実が描かれていました。勝ち負けや報酬がないからこそ、純粋に楽しむことができる。無目的であることの価値に、あらためて気づかされる回でした。
「アミューズメントフィールド バイヨン」は、懐かしさと現実逃避、そして静かなつながりを感じさせてくれる場所。大きな街の片隅にあるゲームセンターが、多くの人の心に深く根を張っていることを、この72時間が証明してくれました。
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