宮古島の奇跡!サンゴと断層が生んだ絶景と宮古馬の物語
2025年5月17日放送の『ブラタモリ』では、沖縄県の宮古島が舞台となり、タモリさんと佐藤茉那アナウンサーが“絶景バスツアー”に出発しました。テーマは「魅惑のリゾート宮古島~サンゴのシマの秘密とは?~」。サンゴ礁に囲まれた美しい自然と、知られざる地形のヒミツ、さらには宮古島で暮らす人々の知恵に迫りました。案内役は、地元に詳しい久貝弥嗣さん。二階建てバスに乗って島を巡りながら、タモリさんらしい独自の視点で宮古島を掘り下げていきます。
【ブラタモリ宮古島 第2部】地下ダム×マンゴー×宮古上布!サンゴの島の暮らしの秘密とは
サンゴが作る絶景!“宮古ブルー”の青の正体
宮古島の海は、見る人の心を奪うほど鮮やかな青色をしています。この美しい青は「宮古ブルー」と呼ばれ、島の魅力の象徴となっています。海の色がこれほどまでに鮮やかに見えるのには、自然のしくみが深く関係しています。
まず、宮古ブルーを生み出しているのは海底を覆う白い砂です。この砂は、長い年月をかけて波に砕かれたサンゴや貝殻が細かくなったもので、海の底に広がっています。この白い砂が太陽の光を反射し、透き通った海水を通して青く見えることで、他にはない独特の海の色が生まれているのです。
また、宮古島の地面や崖に見られる岩の正体は、琉球石灰岩です。これは、サンゴや貝などの生き物の死骸が堆積してできた岩で、長い年月をかけて島の地盤となりました。この石灰岩は白っぽい色をしており、地面に太陽の光が当たることで周囲が明るく見え、空の青さや海の青さがより一層引き立つ効果もあります。
さらに、宮古島の海の透明度もその美しさを支えています。
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サンゴが生きている海域は、濁りが少なく透明度が高い
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海底の白い砂が青色の光を強く反射する
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空の色や太陽の角度によって海の色合いが変化する
こうした自然の条件が重なり、「宮古ブルー」は季節や時間帯によっても微妙に表情を変えます。たとえば、朝は淡い青、昼は深く澄んだ青、夕方には少し紫がかった青になることもあります。ただ青いだけでなく、刻一刻と変化するその色合いこそが、多くの人を魅了してやまない理由です。
宮古ブルーは偶然ではなく、サンゴ、貝、石灰岩、太陽光、透明な海水という自然の要素がぴったりと噛み合って生まれた“奇跡の色”なのです。観光地として知られるこの島の景観は、こうした目に見えない自然の歴史や働きによって支えられていることがわかります。
島の成り立ちを知るカギは“断層”
宮古島の特徴的な地形には、断層が深く関わっています。番組では、タモリさんたちが池間島、下地島、来間島、伊良部島、大神島といった周辺の島々も含めて、宮古島市全体の地形に注目しました。なかでも向かったのは東平安名崎。この細長い岬は、島の地形の秘密を知る上でとても大切な場所として紹介されました。
地図を広げてみると、宮古島の地形にはある特徴があります。それは、同じ方向に平行して走る断層がいくつもあるということです。これらの断層が、島の高低差をつくり出していることがわかりました。
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地面を横から見ると、段差がいくつもある
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この段差は自然にできたのではなく、地層が動いた結果
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地層が動くことで断層が生まれ、地形に凹凸ができた
この現象の背景には、フィリピン海プレートが沈み込むことで沖縄トラフが引き裂かれ、広がっているという地殻変動があります。その結果、宮古島の地下には外へ引っ張られるような力がかかっており、断層が次々と発生したのです。
この断層が生まれる力によって、島全体が引き伸ばされるように変化し、現在のような複雑な地形が形成されました。崖や海岸線、地面の傾斜など、島のいたるところで断層の痕跡を見ることができます。
番組では、実際にタモリさんたちが乗ってきたバスの通った道の途中で、地層の断面を観察しました。そこには段差がいくつも連なっており、地層がまるでシマシマ模様のように折れ曲がっている様子がはっきりと見てとれました。これが、地形の高低差が断層によって生まれた証拠であると解説されていました。
このように、宮古島の成り立ちはただのサンゴの堆積ではなく、地球の大きな力が作り出した断層によってかたちづくられているということがわかります。普段何気なく見ている景色の中にも、何万年という時間をかけた地殻の動きが隠れているという事実は、とても興味深いものです。
人気の岬“東平安名崎”は断層の上にできた奇跡の絶景
バスツアーの最後に訪れた東平安名崎は、まさに今回の旅のハイライトといえる場所でした。この細長く伸びた岬は、断層が生み出した独特の地形により形成されており、サンゴ礁からなる白い大地とともに、宮古島を象徴する絶景スポットとなっています。
この東平安名崎は、断層によって生まれた高低差や細長い地形が特徴で、ほかの岬とは一線を画す景観を作り出しています。
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海に突き出すような形の岬
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左右に広がる青い海と白い地面のコントラスト
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岬の両側に断層の影響による地層の段差が見られる
番組では、タモリさんたちがこの岬に立ち、これまで巡ってきた断層の知識をふまえて、地形の秘密がこの岬に凝縮されていることを実感していました。東平安名崎は、単なる観光地ではなく、サンゴの堆積と断層活動という自然の営みが合わさって誕生した“地球の作品”ともいえる場所です。
特に印象的だったのは、ここまでの旅のすべてが“断層”につながっていたという点です。バスで島を巡る中で何度も出てきた断層の話題が、この岬で一つの答えにたどり着いたような感覚を与えてくれました。サンゴが生み出した琉球石灰岩と、地殻変動による断層。この二つの自然現象がなければ、このような絶景は存在していなかったのです。
断層があったからこそ、サンゴの地質が引き立ち、唯一無二の景観が形づくられたということは、自然の力の偉大さを感じさせます。東平安名崎は、ただ美しいだけでなく、地球の歴史や構造を肌で感じられる特別な場所でした。
宮古島の暮らしと自然に寄り添う“宮古馬”
番組の後半では、宮古島の人々の暮らしと自然とのつながりに注目が集まりました。とくに紹介されたのが、宮古馬です。この馬は、宮古島で古くから飼育されてきた在来種の馬で、現在では沖縄県の天然記念物にも指定されています。
宮古馬の最大の特徴は、その小柄でがっしりとした体格です。そしてもうひとつの特長が、丈夫な蹄(ひづめ)。この蹄は非常に硬く引き締まっており、蹄鉄をつけずに歩くことができるため、整備されていない自然の地面でも軽快に移動することができます。
宮古島には断層が多く、島の地形は平らではなく、あちこちに段差や起伏があります。昔の生活では、物資を運んだり、移動する際にこうした地形が障害となっていました。そこで登場したのが宮古馬です。
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荷物運搬に使われた宮古馬
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崖や段差を越えるのに適した強い足腰
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砂や石灰岩の地面でも滑らず歩ける適応性
このように、宮古馬は過酷な地形を乗り越えるために欠かせない存在だったのです。ただの動物としてではなく、暮らしのパートナーとして、人々に長く寄り添ってきました。
現在では、機械化の進展によりその役割は大きく変わりましたが、宮古馬は島の文化や歴史を象徴する存在として大切に守られています。観光や教育の場で活用されるだけでなく、地域のイベントでも登場し、多くの人々に親しまれています。
サンゴからなる地面をしっかり踏みしめて歩く宮古馬の姿は、まさに自然と共に生きる知恵と誇りの象徴です。地形や気候に適応しながら育まれてきたこの在来馬は、今も宮古島の風景の一部として静かに息づいています。
サンゴと断層が織りなす宮古島の奇跡
今回の『ブラタモリ』は、美しい海と風景の背後にある“地形の物語”を深く掘り下げた内容でした。リゾート地としての宮古島だけでなく、サンゴや断層が生み出した奇跡の地形、そしてその環境で暮らす人々の知恵や歴史が丁寧に紹介され、島の魅力を新たな視点から知ることができました。
自然と人との関わりを見つめ直すきっかけとなる、まさに“学びと感動の30分”でした。今後の旅先候補として、宮古島の絶景を自分の目で確かめてみたくなった方も多いのではないでしょうか。
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