くまもとの風とは?
NHK熊本放送局が放送する「くまもとの風」は、熊本の文化や人々の暮らしに焦点を当てる番組です。今回は特別編として、NHK熊本放送局アナウンサーの稲塚貴一さんが台湾を訪れ、現地の食文化や伝統を深掘りしました。台湾のローカル市場から定番グルメ、新竹の伝統ビーフン、高雄での熊本との意外なつながりまで、食を通して台湾の魅力をたっぷりと紹介しました。
台湾は、観光地としても人気があり、日本と歴史的なつながりが深い国です。特に食文化は独特で、日本の料理とも共通点がありながら、現地ならではの調理法や味付けが特徴的です。今回の旅では、台北の活気ある市場、新竹の伝統的なビーフン、高雄の名産品などを巡り、台湾の食の奥深さを知ることができました。
台北のローカル市場を散策!活気あふれる虎林市場
稲塚さんが台湾に降り立ったのは、台湾桃園国際空港。ここから向かったのは、台北市にある「虎林市場」です。この市場は、地元の人々にとって欠かせない“市民の台所”と呼ばれる場所で、朝から多くの買い物客でにぎわっています。
市場には、さまざまな店が並んでおり、新鮮な野菜や果物を扱う八百屋、活きの良い魚を売る魚屋、お惣菜を販売する店などがずらりと軒を連ねていました。特にお惣菜屋では、カラフルなお餅が目を引きました。
この餅にはそれぞれ意味があり、赤い餅は神様へのお供え用、緑の餅はお墓参りの際に使うものとされています。台湾では、食文化が生活の一部として根付いており、こうした細かい習慣や意味を持つ食べ物が多いことが特徴的です。
市場では、こうした伝統的な食品だけでなく、最近の流行を取り入れた商品も多く並び、観光客にも人気のスポットとなっています。地元の人たちの買い物の様子を見ながら、市場の活気や台湾の食文化の奥深さを実感しました。
台北で味わう定番&ユニークなローカルフード
市場を巡った後、かつて熊本に住んでいたことがある台湾の方に案内してもらい、台北のローカルフードを堪能しました。
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魯肉飯(ルーローハン)
台湾の代表的なソウルフードとして知られる魯肉飯を提供する有名店を訪問しました。この店の魯肉飯は、醤油ベースの甘辛いタレでじっくりと煮込んだ豚肉に、トロトロの皮目と脂身のバランスが絶妙な一品です。魯肉飯は、豚を余すことなく食べるために生まれた庶民の料理として親しまれています。 -
ルーウェイ
次に訪れたのは、台湾の人気料理「ルーウェイ」が味わえるお店です。ルーウェイは、50種類以上の食材から好きなものを選び、八角やシナモンなどが入った醤油ベースのスープで煮込む料理です。台湾の人々は、好きな具材を自由に組み合わせて楽しんでおり、味がしっかり染み込んだ具材とスープの香りが特徴的です。ビールと一緒にいただくのが、地元の人々の定番スタイルとのことでした。
新竹で伝統のビーフン作りを体験
台北から車で1時間30分ほどの場所にある新竹に向かいました。新竹は、「台湾のシリコンバレー」とも呼ばれ、多くのハイテク企業が集まる都市です。中でも、半導体メーカーのTSMC(台湾積体電路製造)があり、熊本にも進出しています。
新竹の名物として知られるのが、「新竹ビーフン」です。新竹は季節風が強く吹くため、ビーフンの乾燥に適した気候であり、昔からビーフン作りが盛んな地域となっています。
訪れたのは、創業100年の老舗ビーフン専門店。ここでは、米だけを使う伝統的な製法を守り続けています。店を営むのは郭連進さん夫妻で、現在は息子の春賢さんがビーフン作りを受け継いでいました。
このビーフンを使った料理として、「炒米粉(チャーミーフェン)」を調理しました。
- にんじん、玉ねぎ、豚肉、しいたけの醤油煮、キャベツを炒める
- ラードを使用し、醤油とオイスターソースで味付け
- 豚骨と玉ねぎのだしを加え、塩と調味料で味を整える
- 最後にビーフンを加え、軽くかき混ぜて蒸らす
出来上がった炒米粉は、コシがありながらも歯切れが良く、味がしっかり染み込んでいるのが特徴です。
高雄で熊本の名産「晩白柚」との意外なつながり
新竹から台湾新幹線で1時間30分、高雄へ移動しました。高雄は熊本県と友好交流を結んでいる都市であり、食文化にも熊本とのつながりがあります。
市場を歩いていると、熊本八代の名産である「晩白柚」を発見しました。しかし、市場の人々に話を聞くと、それは「白柚(パイヨウ)」と呼ばれていました。
調べてみると、晩白柚のルーツは台湾にありました。1904年、農業技師の島田弥市が台湾に渡り、農業発展に尽力しました。1920年に東南アジアから台湾へ持ち込んだ苗木を育てたのが、晩白柚の始まりでした。その後、日本にも伝わり、熊本県八代市で栽培が広まったのです。
まとめ
今回は、台湾のさまざまな地域を巡り、ローカル市場の活気や伝統的なグルメ、新竹のビーフン作り、高雄での熊本とのつながりを探りました。台湾の食文化には、歴史や地域の特性が色濃く反映されており、どの料理にも深いストーリーがありました。
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