サンゴの島の暮らしを支える“謎の洞窟と地下ダム”の秘密に迫る!
宮古島といえば、美しいビーチと南国の楽園として知られていますが、実はその地下には“見えないインフラ”が存在しています。2025年5月24日(土)放送の『ブラタモリ』では、そんな宮古島の意外な一面――「地下に広がる驚きの世界」と「島に根ざす伝統文化」が紹介されます。住宅街の真ん中にある謎の洞窟や、世界初の農業用地下ダム、高級織物・宮古上布、そして地下ダムが育てた絶品マンゴーなど、観光地の裏に隠された“暮らしの秘密”をタモリさんがひもときます。
放送後、詳しい内容が分かり次第、最新の情報を更新します。
【ブラタモリ】奇跡の岬と宮古馬に感動!サンゴが作った宮古島を地質探訪|2025年5月17日
住宅街にぽっかり現れた“謎の洞窟”とは?
(※イメージ)
今回の『ブラタモリ』の旅のスタート地点は、宮古島のごく普通の住宅街。その中に突然現れるのが、まるで地面が口を開けたような不思議な洞窟です。周囲はコンクリートの塀や駐車場、現代的な家屋が並ぶ一角ですが、そのど真ん中にぽっかりと口を開ける大きな穴が存在します。
この洞窟は、宮古島特有の琉球石灰岩が長い年月をかけて浸食されてできた天然の空間です。島全体がサンゴでできた土地のため、地下に雨水が染み込みやすく、やがて地中の岩を溶かして空洞を作り出すという現象が各地で起こっています。この地形条件によって、こうした洞窟が人の住む場所にも表れているのです。
この洞窟には、かつて島の人々が暮らしの中で利用していた記録があります。
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洞窟内は外気と遮断されており、真夏でもひんやりと涼しいため、食材の保存場所として使われていた
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水が湧き出る場所では、井戸のように生活用水を得る手段として活用されていた
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台風時には避難所としても利用されるなど、自然と共に生きる知恵が詰まっていた
洞窟の入り口付近には、今でも苔や湿気を帯びた岩肌が見られ、内部に入ると静かでしっとりとした空気が漂っています。番組ではタモリさんがその場所に実際に足を踏み入れ、島の人々がどのようにこの洞窟と関わってきたのかを探っていく様子が描かれる予定です。
また、洞窟の地形は周辺の土地の起伏にも影響しており、見た目以上に深く入り組んだ構造になっている場所もあるとのこと。こうした自然の造形は、現代の住宅地の下にも残っており、人の暮らしと自然の地形が交差していることを実感できる場所でもあります。
このように、住宅地のど真ん中にありながら、自然の力で生まれた洞窟は、宮古島の暮らしと地形がどれだけ密接に結びついているかを教えてくれる貴重な存在です。今後もこうしたスポットを通じて、土地の歴史や自然の成り立ちを知ることができそうです。
島の断層を利用した“世界初”の地下ダム
宮古島は、地上に川がほとんどなく、長年にわたって慢性的な水不足に悩まされてきました。島全体が水を通しやすいサンゴ由来の琉球石灰岩でできているため、雨が降っても水はすぐに地中深くまで浸透してしまい、地表に水をためることができなかったのです。
そんな環境の中で、島の人々がたどり着いた解決策が、地下に水をためる「地下ダム」の発想でした。これは、従来のダムのように川の上にせき止めるのではなく、地中にコンクリートなどで止水壁を築き、地下を流れる水をせき止めて貯める技術です。特に宮古島では、地下に広がる断層や地層のすき間を利用し、その中に地下水を効率よく蓄える方法が取られました。
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止水壁は断層をまたぐ形で設置され、断層が自然の障壁のような役割を果たす
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琉球石灰岩の層は水を通しやすく、水はけのよい性質が逆に“貯水槽”として機能する仕組み
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地表には施設や建物をそのまま利用できるため、土地を有効活用できる
この仕組みにより、島では農業用水を安定的に確保できるようになり、乾期にも作物を育てられる環境が整いました。それまでの“雨頼み”の農業から脱却し、まさに「水無し農業」から「水あり農業」へと大きく転換されたのです。
現在では、宮古島には福里地下ダムや砂川地下ダムなど複数の地下ダムが整備されており、島の農業に欠かせない基盤となっています。番組ではタモリさんがこの地下ダムのシステムに注目し、断層の真上にある巨大な貯水槽を訪問。そのスケールの大きさや地下に広がる水の貯蔵システムに、強い関心を示す様子が紹介される予定です。
宮古島が誇る伝統の織物「宮古上布」
番組中盤で紹介されるのは、宮古島の伝統的な高級織物「宮古上布(みやこじょうふ)」です。この織物は、苧麻(ちょま)と呼ばれる植物から取れる繊維を一本一本丁寧に手で績み、琉球藍で染め上げるという、非常に手間のかかる工程を経て作られます。すべての工程が人の手による熟練の技であり、完成までには数カ月以上かかることもあるほどです。
宮古上布の最大の特徴は、以下のような点にあります。
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極細の糸で織り上げられた、軽やかで風通しの良い質感
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精密な絣(かすり)模様が生み出す上品なデザイン
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砧打ち(きぬたうち)による艶やかな光沢が着物全体に広がる
こうした特徴から、宮古上布は夏用の高級着物として非常に人気があり、その質の高さは国内外で高く評価されています。
この織物の歴史をたどると、16世紀末に始まったとされる起源には、宮古島の女性たちの技術と献身が深く関わっています。特に、琉球王国時代には、宮古上布は王府への献上品として扱われており、後に人頭税として女性が納める対象にもなったという記録があります。そのため、島の女性たちにとっては「技術を磨くことが暮らしを支える」という誇りと責任がともなっていたのです。
制作工程では、苧麻の繊維を取り出して細かく裂き、撚りをかけて糸にする「績み(うみ)」の作業が行われます。その後、絣の模様に合わせて糸を括り、藍で何度も染めて模様を浮かび上がらせる「絣括り」と「染色」の工程に進みます。最後に織りの工程へ入り、完成した反物に対しては、砧で丁寧に叩いて柔らかくしながら光沢を出す仕上げが施されます。
番組では、これらの細やかな作業が実際に紹介され、工房で黙々と作業を続ける職人の姿や、織り上げられたばかりの反物が広げられる様子が映し出される可能性があります。その丁寧さ、繊細さに、タモリさんも感心する場面が期待されます。
現在、宮古上布は国の重要無形文化財にも指定されており、宮古島を代表する伝統工芸として守られ続けています。機械生産では決して生み出せない“人の手の温かみ”が込められた一反は、着る人の心を豊かにし、世代を超えてその魅力が受け継がれています。
宮古島の風土と歴史、そして女性たちの努力が結晶したこの織物は、まさに島の文化と誇りそのものです。番組を通じて、その奥深さを知ることで、宮古上布への理解と関心がさらに広がることでしょう。
地下ダムが育てた“奇跡のフルーツ”マンゴー
番組のフィナーレを彩るのは、宮古島の自然と人の知恵が育てた「奇跡の果実」マンゴーです。地下に張り巡らされたダムによって貯えられた地下水が、宮古島の豊かな農業を支え、今では日本全国に誇れる名産品が生まれるようになりました。その代表格が、高糖度で濃厚な味わいが特徴の宮古島産マンゴーです。
宮古島の土地はサンゴでできており、雨が降ってもすぐに地下に浸透してしまう性質を持っています。そのため、水を地表で確保するのが困難な環境でした。しかし、地下ダムの整備によって、常に安定した水源が根元からマンゴーの木々を潤すことができるようになったのです。
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地下ダムが水を蓄えることで乾期にも潅水が可能
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適切な水管理でマンゴーの糖度が上がりやすい
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収穫時期を調整しやすく、品質も安定する
これらの条件がそろうことで、“糖度15度以上”の完熟マンゴーを安定して出荷できる体制が整い、宮古島産マンゴーは高級フルーツとして百貨店やギフト市場でも注目を集めるようになりました。
番組では、広がるサトウキビ畑の中にぽつんと立つマンゴー農園を訪れ、タモリさんが完熟マンゴーをその場で味わう様子が描かれる予定です。見た目も美しい鮮やかなオレンジ色の果肉をナイフで切り分けると、果汁があふれ出し、甘い香りが広がるシーンは、視聴者の食欲をそそることでしょう。
また、マンゴー農園では、地下ダムの恩恵を受けながらも、農家の方々が毎日の手入れや温度・湿度の管理に心を配っていることも紹介されるかもしれません。自然の力だけでなく、人の努力が結集していることがよくわかります。
このように、宮古島の地下に広がる見えないインフラと、地上に広がる農園の努力がひとつになって生まれるのが、宮古島マンゴーという奇跡のフルーツです。番組の締めくくりとしてふさわしいシーンとなるでしょう。
地下ダムが支える自然の恵みと人の技術の融合。それが、宮古島の未来を照らす甘くて鮮やかなマンゴーの物語です。
このように、今回の『ブラタモリ』宮古島編では、美しい観光地のイメージだけでは見えてこない「地形」「技術」「文化」が織りなす島の真の姿に迫ります。サンゴが生んだ地形と、それを活かした暮らしの工夫に触れることで、宮古島の新たな魅力を知ることができる放送となるでしょう。
放送後、詳しい内容が分かり次第、最新の情報を更新します。
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