多国籍の学生寮 青春の日々に
NHK「ドキュメント72時間」の今回の舞台は、大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学(APU)の学生寮。世界94の国と地域から集まった留学生たちが暮らす、多国籍な寮の3日間の様子が描かれました。寮で繰り広げられる日常には、それぞれの文化や個性が交差しながらも、青春の一瞬がしっかりと刻まれていました。番組では、そんな国際色豊かな学生たちの生活を丁寧に映し出していました。放送後には、SNSでも「学生たちのリアルな姿に胸を打たれた」「異文化に触れることの尊さを感じた」といった反響も見られました。
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大分県別府市の山あいに広がる国際寮
立命館アジア太平洋大学のキャンパスは、自然豊かな別府市の山あいにあります。そのすぐ近くに位置するのが、今回の舞台である学生寮「APハウス」です。この寮には約1,300人が生活しており、そのうちの約半分は留学生です。留学生は、基本的に1年目をこの寮で過ごすことが推奨されており、日本での生活に慣れるための大切な場所となっています。
学生寮の特徴は以下のようになっています。
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個室タイプとシェアタイプがあり、全体で1,571室
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各部屋にはベッド、机、冷蔵庫、エアコン、Wi-Fiなどを完備
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共有のキッチンやシャワールーム、洗濯機、ラウンジ、学習スペースも設置
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寮内にはレジデント・アシスタント(RA)と呼ばれる先輩学生や職員が常駐し、生活をサポート
このように、初めて日本で暮らす留学生が安心して生活を始められる環境が整っています。
学生たちのリアルな生活に密着した3日間
番組の撮影は2024年4月24日(木)から4月27日(日)までの4日間にわたり行われました。舞台となったのは、立命館アジア太平洋大学の学生寮で、校舎から徒歩5分ほどの場所にある建物です。この寮には世界94の国と地域から来た学生たちが暮らしており、その半数が留学生という多国籍な環境です。
初日にカメラが出会ったのは、卓球に熱中している2人の学生。言葉は違っても、ピンポン玉を打ち合うリズムで自然に会話が生まれているように見えました。その後、バングラデシュやベトナムから来た学生たちが登場し、自分の部屋を紹介してくれました。ベッドや机の配置、壁に貼られた国旗や写真などにはそれぞれの個性が表れており、母国への想いがにじんでいました。
● 寮内には女性専用フロアもあり、そこではマレーシア出身の女性が落ち着いた部屋で静かに過ごしていました。
● 部屋には観葉植物やアロマオイルが置かれ、リラックスできる空間を自分の手で作り上げている様子でした。
● 多様な価値観のなかで、誰もが自分の居場所を見つけようとしていることが伝わってきました。
2日目の4月25日(金)は朝の時間帯からスタートし、洗面所でジョージア出身の男性が登場。まだ目が覚めきっていない様子でしたが、洗顔や歯磨きといったルーティンが、異国の地でも変わらずに続いていることを実感させました。カメラはその後、大学へ通う学生たちの通学風景をとらえました。リュックを背負って歩く学生の列は、別府の穏やかな街並みに溶け込んでおり、大学生活の始まりを感じさせます。
● 夕方には、ベトナムにルーツを持つ学生が紹介されました。
● 両親がベトナム出身で、自分自身もその文化を受け継ぎながら、日本の大学で学ぶ意味を噛みしめている様子が印象的でした。
● 深夜、寮のキッチンにはバングラデシュの伝統料理を作る学生が登場し、香辛料の香りが漂う中、母国の味を丁寧に再現していました。
3日目の4月26日(土)は大学の授業が休みの日。いつもよりのんびりとした空気の中で、洗濯をしているトルコ出身の男性が映し出されました。洗濯物を干す手つきには慣れが感じられ、日本での生活に少しずつ馴染んでいることがわかります。衣類の並べ方や干し方の違いも文化のひとつであり、生活の細部にまで多様性がにじみ出ていました。
● 夜には、キムチ味噌鍋を囲む4人組の学生たちが登場。
● 味噌とキムチの組み合わせという新しいレシピは、複数の文化が自然に混ざり合ったものでした。
● 食卓を囲む姿には、国籍を超えた友情が育っていることが表れていました。
最終日の4月27日(日)には、フィリピンから母親が訪れた学生の様子が紹介されました。久しぶりの再会に照れくさそうな表情を浮かべつつも、母と並んで歩く姿は心に残る光景でした。彼は、「両親に喜んでもらえるように、もっと勉強を頑張りたい」と語り、家族への感謝と責任感をにじませていました。
● 寮の外で並んで写真を撮る様子や、手料理をふるまうシーンは紹介されませんでしたが、
● 言葉ではなく表情や動きから伝わる「母子の絆」が画面からあふれていました。
● 離れていても家族の存在が心の支えになっていることを実感する場面でした。
この4日間の映像からは、文化や言語の違いを超えて支え合う学生たちの姿が丁寧に描かれていました。それぞれが異なる背景を持ちながらも、共同生活を通じてお互いを理解し合い、かけがえのない青春の日々を重ねていることが伝わってきました。
世界がひとつ屋根の下に集まる場所
今回の「ドキュメント72時間」では、多国籍な学生寮という空間で過ごす若者たちの姿を通して、国境を越えた交流の素晴らしさが伝わってきました。言語や文化、宗教、生活習慣が違っていても、寮という場所がそれらを自然につなぎ、共に生きる場所となっていることがよくわかります。
学生たちは、それぞれが自分の夢を追いながら、時には迷い、時には支え合い、少しずつ成長していきます。そんな姿を見ていると、自分自身の学生時代を思い出した方も多かったのではないでしょうか。
異文化交流というと少し堅苦しく感じるかもしれませんが、実際には一緒に鍋を食べたり、料理を教え合ったりと、ごく自然な日常の中で交流が生まれているのです。国籍や背景が違っていても、同じ屋根の下で過ごす時間の中で、言葉以上のものが伝わっていく。そんな温かい関係性が、多くの視聴者の心を動かしました。
この学生寮での日々は、きっとそれぞれの人生の中で特別な記憶となっていくはずです。そして、こうした場があることが、未来に希望を持つきっかけになっていくと感じさせられる回でした。
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