新宿駅前の“みらいおん”が見つめる街の善意
東京・新宿駅といえば、世界屈指の利用者数を誇る巨大ターミナル駅です。その東口広場に立つ金色のライオン像を見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。実はこのライオン像、単なるモニュメントではなく、募金箱として25年以上街の人々の善意を集め続けている存在です。今回の「ドキュメント72時間」では、この“みらいおん”の前で72時間張り込み、通りすがる人々の姿と募金に込められた思いを見つめていきます。
知られざるライオン像の歴史と役割
新宿駅前の東口広場にある金色のライオン像は、東京新宿ライオンズクラブが結成40周年を記念して2000年4月25日に設置されました。この像は「みらいおん」という名前がつけられています。未来をイメージしたデザインで、ピラミッド型の台座の上から今にも飛び出しそうなポーズをとっており、そこには「寄付によって明るい未来を応援したい」という願いが込められています。
この像の特徴は、ただのモニュメントではなく、口の部分が募金箱の投入口になっていることです。通りすがりの人がお金を入れると、ライオンが「ガオー」と吠え、その後「ありがとうございます」という音声が流れます。こうした音と動きの仕掛けが、思わず人の目を引き、自然に募金のきっかけを作っています。
さらに、像の設置からこれまでの25年間で、集められた募金は多くの地域支援に活用されています。例えば、以下のような使い道があります。
・東日本大震災や熊本地震、北海道胆振東部地震などの被災地支援
・新宿区で開催される少年サッカー大会への支援
・子ども食堂の運営サポートや難病患者支援への寄付
こうした活動を通じて、みらいおんは街の善意を集め続けています。また、このライオン像が立つ場所は「心の絆・ライオンひろば」と呼ばれています。この広場は、新宿駅前のわかりやすい位置にあるため、待ち合わせスポットとしても多くの人に利用されています。
さらに、近年では「像の鼻をなでると恋愛が成就する」という都市伝説も広まり、特に若いカップルや観光客の間で人気の場所となっています。ライオンの鼻がピカピカに光っているのは、そうした多くの人が願いを込めてなでているからです。
このように、みらいおんはただのオブジェではなく、新宿の街の中で人々の優しさやつながりを生み出す大切な存在として愛されています。街の景色が変わっても、募金箱としての役割と、そこに込められる思いは変わらず続いています。
72時間の張り込みで見えた「街角の善意」
今回の番組では、72時間にわたり新宿駅東口のライオン像「みらいおん」の前にカメラを設置し、行き交う人たちの姿を見つめ続けます。新宿駅は世界でも有数の利用者数を誇る巨大ターミナルで、朝から夜遅くまで多くの人が慌ただしく通り過ぎていきます。その中で、ライオン像の前に立ち止まり、募金をする人たちの瞬間を記録するのがこの企画の目的です。
通りすがる人の中には、災害でつらい思いをした経験がある人もいるはずです。自分や身近な人が被災したことを思い出し、「誰かの役に立てたら」との気持ちで財布から小銭を取り出す人もいるでしょう。また、偶然このライオン像が募金箱だと知り、その場の思いつきでお金を入れる人も見かけることが予想されます。
外国から来た観光客の姿も多い新宿。日本語がわからなくても、像が募金箱であることに気づいたり、ライオンが吠える音に驚いて振り返る人がいるかもしれません。助け合いの気持ちは国境を超えるということが、こうした場面からも感じられます。
街の中で目立つように立つ金色のライオン像ですが、普段は見過ごされることも多い存在です。それでも、ふと立ち止まる人がいて、善意の輪が広がるのがこの場所の特徴です。募金をする理由は人それぞれで、
・被災地への応援の気持ち
・子どもたちの未来を支えたいという思い
・偶然の出会いをきっかけにした小さな行動
・恋愛成就の伝説を信じて願いを込める
こうしたいろいろな思いが、この場所には集まってきます。
忙しい都会の風景の中でも、人はふと優しさを形にすることができるのです。72時間の張り込みを通して、目に見えにくい「思いやり」や「つながり」が、確かにこの街角で続いていることが伝わるはずです。新宿駅の喧騒の中に、静かに流れる善意の時間があることを、この番組は映し出します。
街の変化とともに続く募金のかたち
新宿の街は、この25年間で大きく姿を変えてきました。駅周辺には高層ビルや新しい商業施設が次々と建ち並び、観光スポットとしての人気も高まり、外国人観光客も以前より多く見かけるようになりました。夜遅くまでネオンが輝き、忙しそうに行き交う人々の姿は、今の新宿を象徴する風景です。
そんな変わり続ける街の中で、“みらいおん”は変わらずその場所に立ち続けています。この金色のライオン像は、2000年に東京新宿ライオンズクラブが設置して以来、25年もの間、街の善意を集め続けています。
設置当初は、募金箱としての役割を知らずに素通りする人も多く、単なるモニュメントと捉えられることがほとんどでした。しかし、次第にSNSやインターネットを通じて“みらいおん”の存在が広まり、多くの人がその役割を知るようになりました。
特に2020年には名前の一般公募が行われ、親しみやすい「みらいおん」という名前が正式に決まったことで、像への関心がさらに高まりました。これをきっかけに、募金への参加も増え、善意が形になる機会が以前よりもずっと身近になっています。
また、集まった募金の金額や使い道が毎月公開されるようになり、寄付をする人たちにとっても安心して協力できる環境が整っています。募金が被災地支援や地域福祉、青少年育成など、さまざまな目的で有効に活用されていることが、数字や報告で見えるようになったのです。
まとめ
今でも、「ガオー」と吠える仕掛けは多くの人の足を止めるきっかけになっています。買い物帰りの人や観光で訪れた人、待ち合わせのついでに像の前を通る人など、ふとした瞬間に善意を形にできる場所として、新宿駅前に溶け込んでいます。
忙しく変化し続ける都市の片隅で、目立つわけではありませんが、“みらいおん”は確かに存在し続け、優しさや思いやりの輪を広げています。今回の番組では、そんな新宿駅前の姿と、そこに込められた人々の思いが丁寧に映し出されます。善意がどのように続いているのか、街の変化とともに見つめる時間になります。
【情報ソース】
https://www.nhk.jp/p/72hours/ts/W3W8WRN8M3/
https://kabukicho-culture-press.jp/all/spot/4499
https://maidonanews.jp/article/12283009
https://rocketnews24.com/2023/02/02/1758583
https://shinjuku.keizai.biz/headline/3180
https://daily.co.jp/society/life/2019/04/10/0012229682.shtml
https://4travel.jp/dm_shisetsu/11949647
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