縁側の魅力がいま再注目されています
2025年7月4日(金)の夜8時から、NHK Eテレで【おとな時間研究所】「縁側再発見」が放送されます。家の中と外をつなぐ「縁側」は、昔はどこにでもありましたが、今では珍しくなりました。しかし、今その存在価値が見直されています。縁側は、ただの通路ではなく、憩いの場、人と人をつなぐ場所として大切にされています。今回の番組では、古民家の縁側暮らしや、カフェや旅館での縁側の活用、さらに多世代がつながる新しい使い方まで、幅広く紹介されます。出演者は、ゲストの成瀬夏実さん、山田奈美さん、司会は常盤貴子さん、杉浦友紀さんです。
昔から続く縁側文化
縁側の歴史は平安時代までさかのぼります。当時、貴族の大きな邸宅には「ひさしの間(庇付きの廊下)」という場所がありました。このひさしの間は、屋内と庭の間をつなぐ空間で、雨や日差しをしのぎながら外の景色を楽しめる場所として使われていました。このスタイルが、時代とともに庶民の暮らしにも取り入れられ、やがて縁側として定着していきます。
縁側はただの通路ではなく、家と庭、屋内と屋外を緩やかにつなぐ役割を持っています。
・夏は、屋根やひさしが直射日光を遮ってくれます
・冬は、縁側に差し込む太陽の光が室内を暖かくします
こうした暮らしの知恵が詰まった縁側は、季節の移り変わりを感じながら、快適に過ごせる工夫が施されています。特に日本の気候風土に合った構造で、昔から多くの人に親しまれてきました。
江戸時代には、庶民の家にも縁側が広がり、縁側で過ごす風景は浮世絵や絵巻物にもよく描かれています。例えば、縁側で団扇を持ちながら夕涼みをする人や、縁側で子どもたちが遊ぶ姿など、当時の生活の一部として描かれているのが特徴です。
また、縁側は近所の人との交流の場にもなっていました。縁側に座ってお茶を飲んだり、畑でとれた野菜を縁側に並べて乾かしたり、自然と人とのつながりが生まれる場所としても活躍していたのです。
明治時代になると、日本の住宅にガラス戸や雨戸が加わりました。これにより、縁側はさらに進化し、雨や風を防ぎながらも光や風を室内に取り込める構造となりました。特に「広縁」と呼ばれるタイプは、通常の縁側よりも奥行きが広く、屋内の一部としても使われるようになります。
・広縁では、家族が集まって食事をしたり
・座布団を並べて、お客様をもてなしたり
・天気の良い日は布団を干したり
このように、縁側は単なる通路を超えて、暮らしの中で重要な役割を果たしてきました。
現代の住宅でも、縁側の工夫は受け継がれています。和風の家だけでなく、洋風住宅でも庭と室内をつなぐスペースとして縁側風のデザインを取り入れる例が増えています。家と庭、自然と暮らしがつながる場所として、今も縁側は多くの人に愛されているのです。
古民家での縁側生活
縁側は古民家ならではの大きな魅力のひとつです。昔ながらの家には、木のぬくもりが感じられる長い縁側があり、そこに座るだけでゆったりとした時間が流れていきます。特に自然に囲まれた長野県の古民家では、四季ごとの美しい景色を楽しみながら縁側で過ごす暮らしが今も大切にされています。
春には咲き誇る桜や新緑を眺め、夏は涼しい風を感じながら夕涼み、秋は紅葉を楽しみ、冬は雪景色に包まれる。そうした季節ごとの変化を身近に感じられるのが縁側の魅力です。
・縁側でお茶を飲みながら庭を眺める
・家族や友人が縁側に集まって語らう
・子どもたちが縁側で遊ぶ
こうした風景は、築90年以上の古民家では今も当たり前に見られます。縁側は、家族や地域の人たちが自然とつながり、交流が生まれる場所です。
最近では、古民家の良さを生かしながら、暮らしやすくするためのリノベーションも広がっています。昔ながらの雰囲気は残しつつ、現代の生活スタイルに合わせた快適な縁側が作られています。
また、DIYで濡れ縁やウッドデッキを増設し、家と庭のつながりをもっと広げる工夫も人気です。
・縁側を広くしてベンチ代わりに使う
・ウッドデッキを足して外ごはんや読書スペースにする
・庭と縁側の段差をなくして移動しやすくする
こうした工夫で、縁側はさらに身近で便利な場所として活用されています。昔の良さを大切にしながら、今の暮らしに合わせて進化する縁側。古民家ならではの縁側生活は、自然を感じ、人とつながり、心が落ち着く大切な時間を生み出してくれます。
カフェや旅館で広がる縁側の魅力
縁側の魅力は、古民家だけにとどまりません。今ではカフェや旅館など、さまざまな場所で縁側を活用する取り組みが広がっています。特に東京都足立区にある「昭和の家」では、昔ながらの縁側を生かしたカフェが人気を集めています。そこでは、縁側に座りながら庭の緑を眺め、コーヒーや手作りケーキを楽しむことができます。木のぬくもりと自然の景色に包まれた時間は、日々の忙しさを忘れさせてくれる特別なひとときです。
また、全国各地の旅館でも縁側のある宿泊施設が増えています。旅館の縁側では、季節ごとに変わる自然の風景を楽しめるのが大きな魅力です。
・春には咲き誇る花々を眺めて過ごす
・夏には涼しい風に吹かれながら夕涼みをする
・秋には色づく紅葉を楽しみ
・冬には雪景色を静かに見つめる
こうした風景を楽しみながら、お茶を飲んだり、地域の人や宿泊者同士で会話が自然に生まれるのも縁側ならではの光景です。
さらに、縁側を活用することで地域の魅力を発信する場としての役割も果たしています。
・古民家を改修したカフェで地元の食材を使ったスイーツを提供
・旅館の縁側から地域の伝統行事や景色を紹介
・観光客が縁側を通じて地域の暮らしを体験
このような取り組みが、地域の文化や歴史を知るきっかけにもなっています。
縁側は、ただ座る場所ではなく、自然とつながり、人とつながり、心を癒やしてくれる特別な空間です。都会の真ん中でも、地方の観光地でも、縁側があるだけで、そこに流れる時間がゆっくりと優しくなります。そんな縁側の魅力は、これからももっと多くの場所で広がっていくことでしょう。
多世代をつなぐ新しい縁側の使い方
今、縁側が新しい形で注目されています。昔から家族や近所の人が集まる場所だった縁側が、今は多世代が交流する場として生まれ変わっています。
神奈川県藤沢市では、「地域の縁側」と呼ばれるスペースが公民館や子育てサロン、高齢者施設に整備されています。ここでは、子どもから高齢者まで、誰でも気軽に集まれる場所が用意されています。
・小さな子どもとお年寄りが自然と話をする
・地域の人がふらっと立ち寄ってお茶を飲む
・子育て中の親が気軽に相談できる
このように、ゆるやかにつながる場所として、縁側が役立っています。
東京都三鷹市の「えんがわ家」では、古民家をリノベーションし、若者から高齢者までが集まる場所がつくられています。昔の雰囲気を残した縁側が、地域の人たちが集まりやすい空間になり、自然と会話や交流が生まれています。
岡山県の「つくぼ片山家」でも、縁側を活かしてさまざまなイベントが行われています。
・地域の伝統行事をみんなで楽しむ
・コンサートや文化体験を開催する
・外国人も参加し、文化を共有する
縁側があることで、地域の人と外から来た人が自然につながり、文化や思いを共有できる場となっています。
また、愛知県東浦町ではNPOが運営する「縁側」があり、子どもの宿題支援や手芸教室が開かれています。高校生や大学生のボランティアも参加し、年齢や立場をこえた交流が広がっています。
・子どもが勉強を教えてもらう
・お年寄りが手芸を楽しむ
・学生が地域の人と話す機会が増える
こうした場所は、孤立しがちな人がつながるきっかけにもなり、地域の安心感や絆を育てる大切な役割を果たしています。
縁側は、誰でも気軽に立ち寄れる居場所として、昔も今も大切にされています。今の時代の縁側は、単に座る場所ではなく、世代をこえて人と人をつなぐ場所として進化しています。地域の課題を解決し、支え合う関係を広げる縁側の取り組みは、これからも全国に広がっていくでしょう。
まとめ
縁側は、ただの通路や昔の建物の一部ではなく、家族や地域の人々をつなぐ大切な場所です。昔ながらの縁側文化を大切にしつつ、現代の暮らしや地域に合わせた新しい使い方が広がっています。今回の【おとな時間研究所】では、縁側の魅力をあらためて見つめ直し、暮らしの中での楽しみ方を紹介してくれます。家と外をつなぐ縁側の素晴らしさを知りたい方は、ぜひ番組をチェックしてみてください。
【参考・出典】
wafujyutaku.jp
homes.co.jp
nippon.com
tamura-kensetsu.net
yamahiro.org
note.com
stayjapan.com
wanokoto.jp
shouwanoie.jp
timeout.jp
homes.co.jp
city.fujisawa.kanagawa.jp
okumura.seikatsusha.me
note.com
tasukeai-kizuna.jp
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