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NHK【ドキュメント72時間】東京・植物園 わたしだけの冬に|小石川植物園の冬の見どころと立ち枯れの美しさ、心を整える理由|2026年2月28日

ドキュメント72時間
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冬の東京の真ん中で、人が集まる不思議な植物園

番組の舞台は、東京の文京区にある 小石川植物園 です。
東京ドームの近く、ビルや住宅に囲まれたエリアにありながら、園内に足を踏み入れると、急に時間の流れがゆっくりになるような、不思議な静けさに包まれます。

この 小石川植物園 は、東京大学大学院理学系研究科の附属植物園で、日本最古の植物園のひとつとも言われています。江戸時代には「小石川御薬園」として薬用植物を育てる場所でもあり、現在は絶滅危惧種の保護や植物学の研究の場としても大切に守られています。

そんな由緒ある植物園を、あえて「花が少ない冬」に訪れる人たちを、番組 『ドキュメント72時間』 は三日間にわたって見つめます。花や葉が枯れ、色彩が少ない時期だからこそ、木々の形や枝ぶり、空気の冷たさ、人の表情が、いつもよりくっきりと浮かび上がってくるのです。

花が少ない季節にあえて訪れる人たちの理由

「冬の植物園なんて、見るものあるの?」
そう思う人も多いかもしれません。番組でも、最初はそう感じていた視聴者に向けて、少しずつ“冬にしか見えないもの”を映し出していきます。

葉が落ちた木々は、枝の一本一本までよく見えます。園路を歩く人たちは、しゃべりすぎることもなく、静かに足を進めていきます。
色とりどりの花が咲く春や初夏と違い、冬は「派手さ」がありません。その代わり、来る人の目的は、もっと個人的で、もっと深いものになります。

誰かは、仕事や勉強でいっぱいになった頭を休めるために。
誰かは、心の中でまだ整理できない出来事に向き合うために。
誰かは、ただ静かに、自分のペースで歩ける場所を求めて。

番組が追いかけるのは、そうした“理由のある散歩”をしている人たちの姿です。

人生の転機に梅の花を選んだ女性の物語

番組の中で印象的なのが、人生の転機 にこの場所を訪れた女性です。

彼女が目当てにしているのは、華やかなバラ園でも、にぎやかなイベントでもなく、冬の終わりに静かに咲く 梅の花
梅は、春の一歩手前、まだ寒さが残る季節に香りを放ちます。雪や霜に耐えながら咲く姿から、日本では昔から「忍耐」「気高さ」の象徴としても愛されてきました。

大きな決断を前に、彼女は「誰かに背中を押してほしい」というよりも、梅の花の前で、自分自身と向き合いたいように見えます。
白や淡いピンクの花をじっと見つめるまなざしには、不安と期待が入り混じった、複雑な感情がにじんでいます。

植物園の梅林は、派手なライトアップもありません。
静かな空気の中で、花が風に揺れる音だけが聞こえてくるような時間。
そこで一人立ち止まること自体が、人生の節目を受け止めるための「儀式」のように感じられます。

年間パスポートで通う親子の“外遊びの居場所”

園内には、ベビーカーを押すお母さんと小さな子どもの姿もあります。
この親子は、年間パスポート を使って、ほぼ毎日のように植物園に通っていると紹介されます。

東京のような大都市では、安全に走り回れる場所、自動車を気にせずに遊べる場所を見つけるのは、思った以上に大変です。
この 小石川植物園 は、車が入ってこない広い園路や芝生があり、子どもが自由に歩き回っても安心できる環境として、子育て世代にとって貴重な「外遊びのフィールド」になっています。

お母さんは、冬でもここに来る理由を語ります。
葉が落ちた木々や落ち葉の山、冬の冷たい土の感触も、子どもにとっては季節を感じる大事な体験です。
砂場や遊具ではない、ありのままの自然の中で遊ぶことで、五感をフルに使って育ってほしい――そんな願いがにじんでいます。

植物園というと「学術施設」というイメージが強いですが、実際には、こうした日常の子育ての場としても機能していることが分かります。

立ち枯れた草木に美しさを見る常連さんのまなざし

冬の園内を歩いていると、背の高い草が茶色く立ち枯れたまま残っている場所があります。
ある来園者は、その光景を前に「この姿こそ風情がある」と笑顔で語ります。

多くの人にとって、枯れた植物は「終わったもの」「片づける対象」に見えるかもしれません。
でも、植物の世界では、枯れた茎や穂も、種を風に運んだり、土に戻る準備をしていたりと、次の季節につながる大事な役割を持っています。

その人は、枝の影が地面に落ちる様子や、逆光に透ける枯れ穂を、うれしそうに眺めています。
まるで、「きれいな花が咲いているときだけが主役じゃない」と、冬の景色全体を肯定しているようです。

こうした視点に触れることで、視聴者も「冬の地味な景色」を少し違う目で見られるようになります。
番組は、派手さのない風景の中に潜む、静かな美しさを丁寧に映し出していきます。

ベンチに座って木々を見上げる人が探しているもの

園内のあちこちには、木陰のベンチが点在しています。
冬の平日、そこに一人で座り、じっと木々を見上げている人の姿も、番組は逃さずカメラに収めます。

本を開くわけでもなく、スマートフォンをいじるわけでもなく、ただ、じっと枝と空を見ているだけ。
何かを考えているのか、何も考えない時間を味わっているのか、端からは分かりません。

でも、都会で暮らしていると、「何もしない時間」を意識的に作ることは、とても難しくなりがちです。
荘子や禅の考え方の中には、「無為の時間」が心を整えるという考え方がありますが、ベンチに座るその人の後ろ姿には、それに通じるような静けさがあります。

ベンチに座る人たちは、それぞれに違う人生の事情を抱えながらも、ここでなら、少しだけ肩の力を抜けるのかもしれません。

海外から来た留学生が感じた冬の日本と植物

番組には、法科大学院で学ぶ 留学生 の姿も登場します。
彼は、梅の木のそばに立ち、静かに枝ぶりやつぼみを眺めながら、日本語とは違う母語のアクセントで思いを語ります。

外国から見た日本の冬は、きっと私たちの感覚とは少し違うはずです。
常緑樹と落葉樹が混ざり合う日本の植生は、冬でも完全な「枯れ野」にはならず、ところどころに緑が残ります。
そこに、梅や早咲きの花が少しずつ色を加えていく様子は、海外の都市にはあまりない、独特の季節感です。

彼にとって、この植物園は「勉強の合間に頭をリセットする場所」であり、日本という国の自然観に触れる教室でもあります。
冬の静かな園内で、異国の若者が、自分の将来や故郷のことを考えている――そんな構図も、この回の大事な一場面です。

心を立て直すために冬の植物園に来た人たち

中には、恋愛や仕事で傷ついた心を立て直すために、この植物園に足を運ぶ人もいます。

「人がたくさんいるカフェや繁華街には行きたくない。
でも、家の中だけにいると、気持ちが沈んでしまう。」

そんなとき、静かな冬の植物園は、“ほどよい距離感”をくれる場所です。
人はいるけれど、誰もこちらに干渉してこない。
木々は何も言わないけれど、そこに立ち続けてくれている。

心理学の研究でも、自然の中で過ごす時間がストレスを和らげ、注意力や気分を回復させる効果があると報告されています。
番組に登場する人たちの言葉は専門用語こそ使いませんが、その表情や話し方からは、「ここに来ると、少しだけ前を向ける」という実感が伝わってきます。

カメラ片手に季節を追いかける人の楽しみ方

園内では、カメラを手に、植物や風景を撮り歩く男性の姿も映し出されます。
彼は、季節ごとに変わる木々や草花を記録するのが楽しみで、冬の植物園にも欠かさず足を運んでいると話します。

冬は、余計な葉が落ちているぶん、幹の模様や枝の線、光の入り方がよく見えます。
写真を撮る人にとっては、むしろ「構図を組みやすい季節」でもあります。

最近は、スマートフォンでも簡単に写真を撮って、SNSに投稿できる時代です。
でも彼が大事にしているのは、「いいね」の数ではなく、毎年同じ場所で同じ木を撮り続けていくことで見えてくる変化や、季節のリズムそのものです。

こうした「自分だけの楽しみ方」が許される余白の広さも、ドキュメント72時間 の魅力といえます。

経済学者・関志雄さんが歩く、静かな冬の散歩道

番組の中では、ふとしたきっかけで、経済学者の 関志雄 さんが来園している場面も紹介されます。

関さんは、中国経済を専門とする研究者で、『チャイナ・アズ・ナンバーワン』という著書でも知られています。
世界経済や日本の将来について考え続けてきた人物が、静かな冬の植物園を歩きながら、経済学の本質や、人が豊かに暮らすとはどういうことかを語るシーンは、とても印象的です。

経済も、植物の成長も、一気に結果が出るものではありません。
冬のあいだ、地中の見えないところで根を伸ばし、春に備えている植物の姿は、「目に見えない部分こそ大事」というメッセージにも重なって見えます。

知識と静けさが同じ画面の中に存在することで、番組はただの「お散歩番組」ではなく、「人生や社会について考えたくなる時間」へと広がっていきます。

木々を描き続ける画家の男性が見ている世界

終盤には、美術大学を卒業した 画家の男性 も登場します。
彼は、日々別の仕事をしながら、週に数回この植物園に通い、園内の木々をひとつひとつキャンバスに描いていると語ります。

一本の木を書くのに、何日もかかることもあります。
冬の間、葉を落とした木は、枝の一本一本が“線”としてはっきり見えるため、画家にとっては構造をとらえる絶好のモデルです。

「大きく売れなくても、描き続けることが大事」
そう語る彼の背中には、地味だけれどしぶとい、木そのもののような生き方が重なります。

日本画や風景画の世界では、春の満開の桜だけでなく、冬の枝ぶりや、芽吹き前の静かな風景も、よく描かれてきました。
この画家の男性も、そんな長い絵画の歴史の延長線上で、自分だけの木との対話を続けているように見えます。

東京大学の附属施設・小石川植物園という“特別な場所”

番組の舞台である 小石川植物園 は、単なる公園ではありません。
東京大学の研究教育施設として、国内外の植物を数多く集め、絶滅危惧種の保全や、植物多様性の研究にも取り組んでいる、いわば「生きた博物館」です。

江戸時代には 小石川御薬園 として、薬用植物を育て、人々の健康を支える役割を果たしていました。
明治以降は植物学の研究拠点となり、現在は国の史跡・名勝にも指定されています。

そんな歴史を持つ場所で、今もなお、近所の人が散歩をし、子どもたちが走り回り、留学生や研究者が思索にふけり、心を休めたい人がベンチに座る。
「研究」と「生活」がゆるやかにつながっている点も、この植物園ならではの魅力です。

番組は、園の詳しい歴史を教科書のように説明するわけではありませんが、映像の背景に写る建物や、広い園路、古い木々から、その重なり合った時間の厚みが自然と伝わってきます。

冬の植物園が教えてくれる「わたしだけの時間」とは

『ドキュメント72時間』 の「東京・植物園 わたしだけの冬に」は、冬の植物園という一見地味な舞台を通して、「人はどんな場所で、どんな時間に、心を整えているのか」をそっと見せてくれる回です。

花が満開の季節ではなく、あえて“何もなさそうに見える冬”を三日間見つめるからこそ、そこで過ごす人たちの理由や、表情の奥にある人生が際立ちます。

・人生の岐路に立つ人
・子どもを連れて何度も通う親
・海外から来た留学生
・心を立て直したい人
・写真や絵で風景を残そうとする人
・経済学者や研究者

それぞれが、自分だけのペースで歩き、自分だけのものの見方で、冬の植物園 を受け止めています。

画面の向こうでその姿を眺めている私たちも、
「もし自分がここを歩くなら、どの景色の前で立ち止まるだろう?」
そんなことを、ふと考えたくなるはずです。

冬の 小石川植物園 は、派手な観光地ではありません。
でも、静かに自分の気持ちを確かめたいとき、「わたしだけの冬」を過ごす場所として、とても豊かな意味を持っていることが、この一回の放送から、じんわりと伝わってきます。

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