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NHK【ドキュメント72時間】博多ラーメン「はかたや」|290円×24時間営業の理由とは(2024年5月9日)

ドキュメント72時間

博多の290円ラーメンに人が集う理由とは

2025年5月9日に放送されたNHK『ドキュメント72時間』の舞台は、福岡・博多にある24時間営業のラーメン店「博多ラーメン はかたや」。一杯290円という驚きの価格で、地域の人々に長年愛され続けてきたこの店に、カメラは3日間密着しました。朝、昼、夜、そして深夜──時を問わず人が訪れるこの店は、ラーメンを食べるだけでなく、人生のひとときを共有する場所でもあります。

舞台となるのは「博多ラーメン はかたや 川端店」

番組の取材先は、福岡市博多区の「博多ラーメン はかたや 川端店」。場所は地下鉄・中洲川端駅から徒歩3分という好立地で、24時間いつでも開いている安心感があるラーメン店です。お店は赤を基調としたカウンター形式で、昭和の雰囲気を残すレトロな空間。20席ほどのコンパクトな店内は、一人でも気軽に立ち寄れる空気に包まれています。地元の人はもちろん、観光客もふらっと立ち寄ることができ、まさに“街のよりどころ”として長く親しまれてきました。

・所在地:福岡県福岡市博多区上川端町9-151
・電話番号:092-291-3080
・営業時間:24時間営業
・定休日:年中無休
・アクセス:中洲川端駅5番出口から徒歩3分
・駐車場:専用はなし、近隣にコインパーキングあり

この立地と営業時間の柔軟さが、多様な人々を引き寄せる背景でもあります。

1杯290円という衝撃の価格とその味の奥深さ

「はかたや」の魅力はなんといってもその価格設定。基本のラーメンは290円という驚きの安さながら、味は決して手抜きではありません。あっさりめの豚骨スープに、極細のストレート麺。具材はネギとチャーシューのみと非常にシンプルですが、そこに凝縮された旨味と懐かしさがあります。価格とクオリティのバランスが絶妙で、「安いけどおいしい」を体現した一杯として地元で長年支持されています。

・ラーメン(基本)…290円
・大盛ラーメン…440円
・チャーシュー麺…490円
・ラーメン定食(ラーメン+小ライス+餃子)…580円
・その他:辛子高菜ラーメン、ネギラーメン、もやしラーメンなどもあり

また、サイドメニューとして餃子やごはん類も用意されており、昼食や夕食にもぴったりなボリュームとバリエーションがあります。

1日目・金曜日:仲間と語らう、仕事終わりのラーメン

3月21日金曜日の撮影初日。最初に登場したのはタクシー運転手の男性2人。仕事の合間に決まってここでラーメンを食べているそうです。カウンター席に並び、静かにラーメンをすすっていく姿から、日常のリズムにこの店が組み込まれていることが伝わります。

続いてやって来たのは建設業に携わる男性4人組。現場仕事を終えたばかりで、がっつり食べたいタイミング。「仕事終わりの一杯が最高」と語られてはいませんでしたが、皆の表情と体の動きから、この店が仕事の疲れを癒す場になっていることがよく分かります

その後も幼馴染の男性コンビや、バイク仲間3人などが次々と登場。年齢や仕事は違っても、共通していたのは「気軽に寄れる場所」としての信頼感。高くもなく、気取ってもいない。それでいて、味には妥協がない。そんな店だからこそ、人は安心して集まるのかもしれません。

2日目・土曜日:親子、仕事人、外国人…交差する思い

3月22日土曜日。朝7時にはすでに営業中。出勤前に立ち寄る男性が、カウンターでラーメンをすすっていました。「朝ラーメン」という言葉が使われることもありますが、この店では朝からラーメンが“ふつう”になっているということがよくわかります。

9時過ぎには、68歳の父親と娘の親子が登場。娘さんは保険会社に勤務しており、出勤前に父親とここで食事を取るのが習慣だそうです。仕事の前に家族との時間を持てる場所として、このラーメン店は機能しています。

昼には、母親と妊婦の娘という組み合わせも登場。子どもが生まれる前の「親子水入らず」の時間を過ごす場として選ばれていたことに、この店の居心地の良さがにじみ出ていました

さらに午後には、ネパール出身の男性が登場。日本語はまだ得意ではないものの、5年前からずっと通っているとのこと。言葉が通じなくても、290円のラーメンで心が通じていることが伝わってきました。

夜には、夫の退院祝いで訪れた夫婦も登場。医療費がかさんでも、ここなら安心して外食できる。そんな声が聞こえてきそうな場面でした。

3日目・日曜日:深夜1時の現場終わり、撮り鉄、留学生…

3月23日日曜日。深夜1時という時間にも関わらず、ラーメンを食べに来る人が絶えません。最初に現れたのは、夜間の商業施設改装を終えた男性。看板の取り付け作業を担当していたそうで、「大規模開発で仕事は増えているが、求人をしても人が来ない」という現場の声もありました。深夜に働く人々にとって、この店は疲れを癒す場所であり、エネルギーを補給する場所でもあります

次に登場したのは、全国各地を回って撮り鉄活動をしている男性3人組。博多駅周辺で新幹線や特急列車を撮影した帰りに、ここへ立ち寄ったとのこと。旅先で訪れた地元のラーメン屋が、彼らの旅を締めくくる場所になっているのです。

そして、29歳の中国人留学生。日本に来て5年、この店に通い始めてからも長い時間が経っているそうです。学業とアルバイトの両立で忙しい毎日の中、変わらぬ味と価格で迎えてくれるこの店は、彼にとって“日本の故郷”のような場所になっているのかもしれません。

最後に、餃子だけを注文する女性も登場。ラーメン店に来たのにラーメンを頼まず、餃子を選ぶ自由さが許されているのも、この店の懐の深さを物語っています。


3日間にわたる密着取材のなかで、「博多ラーメン はかたや」は、ただのラーメン店ではないことがはっきりと映し出されました。食事のための場所であり、休息のための場所であり、家族や友人との時間を共有する場所でもある。そして何より、多様な人が“自分の居場所”として自然に立ち寄れる貴重な空間です。

この店が提供しているのは、290円のラーメンだけではありません。誰もが受け入れられる安心感と、変わらない日常のぬくもり。それこそが、多くの人がここに集まる理由なのでしょう。

『ドキュメント72時間』が記録した3日間は、290円という数字以上に、人と社会と食をつなぐ深い意味を私たちに伝えてくれました。博多を訪れた際には、ぜひ一度立ち寄って、自分自身の物語をこの場所に刻んでみてください。

味ではなく“存在”が支える、博多の暮らし

「はかたや」が多くの人にとって特別な場所である理由は、単に安いからでも、スープが美味しいからでもありません。いつでもそこにあって、変わらず迎えてくれる安心感があるからです。店員さんとの挨拶、昔と変わらぬ味、馴染みのカウンター席──それらが暮らしの一部として根づいているのです。

こうした“変わらない場所”は、都市の中では少しずつ姿を消しつつありますが、「はかたや」にはそれが残っています。だからこそ、子どもの頃に親と来た記憶をたどって再訪する人や、深夜に心を落ち着けるためだけにラーメンをすする人がいるのです。

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