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【NHKスペシャル】歴代総理の妻たちが証言 “権力の目撃者” 激動の時代の記録とは|2025年8月3日放送

歴代総理の妻たちが証言 “権力の目撃者”

2025年8月3日に放送されたNHKスペシャルでは、「歴代総理の妻たちが証言 “権力の目撃者”」と題し、時代の大きな流れの中で“総理の妻”として過ごした女性たちの証言を紹介しました。石破茂、橋本龍太郎、岸田文雄、安倍晋三、羽田孜、鳩山由紀夫という6人の総理大臣の妻たちが登場し、それぞれの家庭で見つめた「政治」と「夫婦」の姿が明かされました。彼女たちはただの「家族」ではなく、時に内助の功として、時に外交の現場でも重要な役割を担っていた存在です。

石破茂総理の妻・佳子夫人が語る現在と過去

現在の総理大臣である石破茂さんの妻・佳子さんは、夫が学生時代に一目惚れして交際を申し込んだ相手です。結婚後は夫の選挙区である鳥取県に移り住み、政界を目指す夫を支え続けてきました。夫が4度にわたって自民党総裁選で敗れ、5度目を「最後の挑戦」として臨んだことにも寄り添ってきました。現在は総理公邸に住み、政治の中心に身を置きながら日々を過ごしています。選挙前の緊張感や日々の生活の変化も、家族にとっては特別な時間となっています。

橋本龍太郎元総理の妻・久美子夫人が語る外交と家庭

橋本久美子さんは、1990年代後半の総理大臣夫人として激動の時代を生きてきました。結婚は家同士の縁談で、仲人は当時の佐藤栄作総理。結婚当初は「自己顕示欲が強い人」と感じていた夫に対して、次第に尊敬と信頼を深めていったといいます。通商産業大臣時代には、夫がアメリカとの貿易摩擦交渉を担い、交渉相手のカンター氏とは親としての悩みを語り合える関係になりました。1997年のデンバーサミットではロシアの本格参加が話題となり、夫は神経をすり減らしながら日露交渉に臨んでいました。夫の引退後、1年も経たずにその死を迎えることになりますが、現在も都内のマンションでひとり暮らしを続け、息子・橋本岳の選挙活動にも関わっています。

岸田文雄前総理の妻・裕子夫人の外交活動

岸田裕子さんは、夫が広島で地元活動をしていたころから一緒に政治活動を支えてきました。総理就任後は公邸での生活に入り、SNSなどでも家庭の様子を発信しながら親しみやすい総理像をつくる役割を果たしてきました。外交の場でも、ファーストレディーとしての立場で各国の要人と交流するなど、多くの場面で活躍。アメリカでは夫人の活動を支える体制が整っているのに対し、日本ではまだ明文化されていない立場であることに悩みながらも、役割を模索してきた様子が語られました。取材日は退任の3日前。特別な3年間を終える心境と、公邸を離れる寂しさも率直に述べていました。

安倍晋三元総理の妻・昭恵夫人が明かす苦悩と誇り

安倍昭恵さんは、夫・安倍晋三氏の在任中からメディアで目立つ存在でしたが、その裏では大きなプレッシャーを感じていました。「足を引っ張ってはいけない」という思いから、自分の行動や発言に細心の注意を払っていたと語ります。第1次安倍政権時、夫の突然の退任により昭恵さん自身も精神的な落ち込みを経験。夫の退任後、テレビの単独インタビューに応じたのはこれが初めてであり、銃撃事件で握っていたマイクを今も大切に保管しているという事実が、彼女の思いの深さを物語っていました。

羽田孜元総理の妻・綏子夫人が語る短い政権ともしもの未来

羽田綏子さんの夫・羽田孜氏は、1994年に細川政権の後を引き継いで総理に就任。しかし社会党の離脱などが重なり、在任期間はわずか64日間に終わりました。夫は自民党を離れ、新たな政党を立ち上げるなど、政治改革に熱意を注いでいました。綏子さんは、政権が長く続いていれば日本の姿がもっと変わっていたかもしれないという思いを口にしています。短い期間ながらも、志を持って進んだ夫の姿を静かに語りました。

鳩山由紀夫元総理の妻・幸夫人が語る夢と別れ

宝塚歌劇団出身の鳩山幸さんは、夫・鳩山由紀夫氏とアメリカ留学中に出会いました。夫の祖父・鳩山一郎は自民党の創設者という政治一家に生まれた由紀夫氏を、妻として長年支えてきました。2009年の政権交代により民主党政権が誕生し、期待は高まりましたが、わずか8ヶ月での退陣。幸夫人は、夫が「悔しい」と言わないまでも、その胸中を想像しながら今も切ない気持ちを抱いていると語りました。舞台と政治、ふたつの世界を経験した彼女ならではの視点が印象的でした。

権力のそばで静かに記録してきた女性たちの姿

今回の特集を通して、「総理の妻」という立場が単なる家族ではなく、政治の現場を間近で見つめる“権力の目撃者”であることが伝わってきました。夫を支え、家庭を守りながら、国際舞台にも登場する彼女たちは、時に表には出ない葛藤や責任感と向き合ってきました。それぞれの証言は、政治の歴史を形作る一部であり、静かな力強さを持つ“記録者”としての役割を果たしていました。


番組を見て感じたこと

政治の最前線は、いつも表舞台の総理大臣国会議員といった政治家たちばかりが注目されがちです。しかし、この番組を見て、「総理の妻」という立場が持つ重みを改めて深く感じました。彼女たちは、笑顔で人前に立ち、社交の場外交行事で堂々と振る舞いながらも、裏側では孤独や葛藤と日々向き合っています。時には夫以上に冷静な視点で情勢を見つめ、その判断や姿勢が、家庭だけでなく、時に国の空気や方向性にも影響を与えてきたことが伝わってきました。

その静かな存在感は、まるで歴史を記すもう一つのペンのようです。華やかに映る首脳会談国際サミットの場面も、そこに至るまでには緊張感や覚悟が幾重にも積み重なっています。そして、その裏で支え続ける役割は、想像以上に大きく、責任の重いものでした。

今回のNHKスペシャルでは、石破茂総理の妻・佳子夫人や、橋本龍太郎元総理の妻・久美子夫人など、時代ごとの「権力の目撃者」たちが、それぞれの視点で語っていました。彼女たちの証言は、政治の歴史を形づくる「表の力」と、陰で支える「静かな力」の両方があって初めて成り立つものだと、強く実感させられるものでした。


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