「堺雅人が巡る古代エジプト」ピラミッド透視とツタンカーメンの謎
2025年8月19日に放送されたNHKスペシャル「堺雅人が巡る古代エジプト!ピラミッド透視とツタンカーメンの謎」は、古代文明の神秘に科学の力で迫る特集でした。クフ王とカフラー王のピラミッドの透視調査、さらにツタンカーメン王墓をめぐる新たな仮説が紹介され、歴史ファンだけでなく一般の視聴者も引き込まれる内容となりました。この記事では放送の流れを整理しつつ、注目ポイントを分かりやすくまとめています。
クフ王のピラミッド 驚きの透視結果
番組の前半ではクフ王のピラミッドに焦点が当てられました。高さ147メートル、石の数は約230万個とされる巨大建造物は、建造当時は白く輝いていたといいます。内部の「王の間」は地上43メートルに位置し、太陽に近づこうとしたクフ王の信仰を象徴していました。
しかし棺にはミイラはなく、別の空間に葬られた可能性が指摘されています。日本の名古屋大学と高エネルギー加速器研究機構の研究チームは、宇宙線ミューオンを使った透視で内部を調査。すると40メートル以上の巨大空間が新たに見つかり、水平な構造の可能性が高いことが明らかになりました。ピラミッドは完成途中で設計を変更した形跡もあり、建造技術や思想の複雑さが浮き彫りになりました。
カフラー王のピラミッド 地下へと続く構造
次に取り上げられたのは、父クフ王に続いてピラミッドを建造したカフラー王です。クフ王が「天の太陽」を意識していたのに対し、カフラー王は「地下の冥界」を意識したといいます。内部は地下通路が中心で、棺も地下に置かれています。棺からはミイラは見つかっていませんが、ピラミッド前には有名なスフィンクスを建立し、権力を誇示しました。
日本の科学者たちはカフラー王のピラミッドにもミューオン透視を実施。3年近い観測の結果、クフ王のような大規模な空間は確認されませんでした。当時の技術では地上部分に複雑な構造を築くことは危険であり、信仰の違いから地下に死後の世界を求めたと考えられます。
親子ピラミッドが描く太陽の物語
父と子のピラミッドは位置関係も緻密に計算されていました。夏至の頃、二つのピラミッドの間に太陽が沈んでいく光景が見られます。古代エジプト人はこれをアケトと呼び、地平線の彼方にある冥界と再生の思想を結びつけました。ピラミッドは単なる墓ではなく、太陽神と冥界神オシリスを信じる信仰を形にした建築物だったことがわかります。
ツタンカーメン王墓に残る謎
番組後半ではツタンカーメン王墓の新たな仮説に迫りました。王家の谷にある墓からは黄金の玉座や宝飾品5000点が出土しましたが、その墓自体はツタンカーメンのために造られたものではないと考える学説が紹介されました。
エジプトのダマティ博士は、墓が本来は女王ネフェルティティのものだったと主張。壁画にはツタンカーメンがネフェルティティのために儀式を行う場面が描かれており、さらに墓の規模は他のファラオに比べて小さいことからも「急ごしらえであった」可能性が高いといいます。
父アクエンアテンの改革と王国の危機
ツタンカーメンの父であるアクエンアテン王は、従来の多神教から一神教へと宗教改革を行いました。アテン神のみを崇拝させ、神官たちの力を弱めようとしましたが、この政策は国の信仰基盤を揺るがし、人々の不満を招きました。やがて皆既日食を契機にアクエンアテンは急死し、王国は混乱に陥ります。
幼くして王位に就いたツタンカーメンは、母代わりのネフェルティティに支えられ、再び多神教を復活させることでエジプトの秩序を取り戻しました。しかしわずか20歳前後で急死。立派な王墓を用意する時間がなく、ネフェルティティの墓を転用したのではないかと考えられています。
古代エジプトが残した教訓
今回の特集で明らかになったのは、ピラミッドや王墓は単なる遺跡ではなく、太陽・冥界・復活という古代エジプト人の思想そのものだという点です。科学技術による透視で構造の秘密が解き明かされつつありますが、同時に人々の信仰や歴史の流れが今に伝わっていることが強調されました。
まとめ
NHKスペシャル「堺雅人が巡る古代エジプト」は、クフ王とカフラー王のピラミッド透視、そしてツタンカーメン王墓に関する新説を通して、古代文明の奥深さを改めて感じさせる内容でした。科学の力と歴史学の知見が合わさり、数千年の謎に光を当てています。壮大なスケールで描かれるファラオたちの物語は、これからも人々を魅了し続けるでしょう。
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この記事では、ピラミッド透視調査の最新結果とツタンカーメンの墓の謎を紹介しました。古代エジプトの神秘に興味のある方にとって、新たな発見と気づきを与える内容となっています。
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