命を診る 心を診る 〜小児集中治療室の日々〜|2025年7月13日放送
2025年7月13日(日)の夜9時から、NHK総合で「NHKスペシャル 命を診る 心を診る 〜小児集中治療室の日々〜」が放送されます。この番組は、東京・世田谷にある国立成育医療研究センターの小児集中治療室(PICU)に半年間密着し、子どもたちとその家族、そして医療現場の様子を記録したドキュメンタリーです。
小児集中治療室(PICU)とは?
PICUは「Pediatric Intensive Care Unit」の略で、日本語では小児集中治療室と呼ばれています。ここは、重い病気や大けがを負った15歳くらいまでの子どもたちが、集中して治療と看護を受ける特別な場所です。子どもは大人よりも体が小さく、病気の進行が早かったり、体の仕組みが違ったりするため、一般の集中治療室とは別に、専門的な設備と体制が必要です。
この小児集中治療室では、次のような環境が整っています。
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24時間体制で医師と看護師が常駐
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人工呼吸器や点滴、心拍・呼吸のモニターを使い、体の状態を常に確認
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状態が悪化したときには、すぐに高度な処置ができる準備が整っている
さらに、心臓や肺がうまく働かなくなった場合には、次のような高度な医療機器が使われます。
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ECMO(エクモ):体外式膜型人工肺。血液を体の外で酸素に触れさせてから戻す装置
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CRRT(持続的腎代替療法):血液を浄化し、体の中のバランスを整える治療
これらの機器を使うことで、命の危機にある子どもたちをサポートしています。ただし、PICUで必要なのは、医療機器だけではありません。チームで協力し合う体制がとても大切です。
PICUでは次のような多職種が連携しています。
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小児集中治療の専門医
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看護師
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薬剤師
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臨床工学技士(医療機器の管理をする専門職)
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理学療法士(リハビリの専門家)
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心理ケアスタッフ(子どもや家族の心のケアを担当)
これらの専門職が一緒に働くことで、子どもたちの体と心の両方を支えることができます。特に、子どもは年齢や体重によって使える薬や医療機器が異なるため、一人ひとりに合った細やかなケアが求められています。
また、親や家族も大きな不安を抱えているため、心理ケアスタッフが家族とも話しながら、安心して過ごせるようにサポートしています。
PICUは、ただ病気を治すだけの場所ではなく、命を守り、心にも寄り添う場所です。そこには、毎日、医療スタッフの真剣なまなざしと、子どもや家族の強い願いが詰まっています。
命だけでなく「心」を支えるケア
PICUは、体の治療をするだけの場所ではありません。そこでは、心のケアもとても大切にされています。重い病気や大けがをした子どもたちは、痛みや苦しさだけでなく、強い不安や怖さも抱えています。さらに、親や家族も、子どもの様子を見て毎日心配が尽きません。
そんな中で、PICUでは次のような取り組みが行われています。
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心理ケアの専門家が医療チームに参加
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子どもや家族の気持ちに寄り添い、心のケアを行う
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不安や恐怖を和らげるためのサポート
たとえば、海外では「PICUダイアリー」と呼ばれる取り組みもあります。これは、医療スタッフと家族が、子どもの治療の様子や励ましの言葉を書き残すノートのようなものです。このダイアリーを通じて、子どもが後で自分の頑張った記録を見返したり、家族と医療スタッフのつながりを強めるきっかけになります。
また、PICUでは、家族が子どものそばにいられるような環境づくりにも力を入れています。知らない場所で、慣れない医療機器に囲まれるだけでも、家族の不安は大きくなります。そのため、次のような配慮がされています。
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家族にわかりやすく病状や治療の説明をする
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繰り返し説明し、わからない部分は丁寧に答える
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家族の不安や疑問を少しでも減らせるよう工夫する
子どもの回復のためには、家族の心の安定も欠かせないからです。医療チームは、子どもだけでなく、その家族一人ひとりにも寄り添い、安心して治療に向き合えるように支え続けています。
PICUは、命を救うだけでなく、子どもと家族の心を守る場所でもあります。そこでは毎日、小さな勇気や思いやりが積み重ねられています。
医師たちの葛藤と模索
PICUでは、毎日たくさんの子どもたちの命と向き合う中で、医師たちも悩みや葛藤を抱えています。とくに、命の危機が迫っている子どもの場合、治療をどこまで続けるべきか、延命措置をするのか、それとも違う道を選ぶのか、とても難しい判断が必要になります。
医師たちは、ただ医学的な知識だけで判断するわけではありません。そこには、子ども本人の状態だけでなく、家族の想いや希望も深く関わってきます。だからこそ、慎重に考え、心の中で何度も自問自答しながら選択を重ねています。
また、良くない知らせを家族に伝えるときも、簡単ではありません。ただ事実を伝えるのではなく、次のようなことを考えながら言葉を選んでいます。
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家族が理解しやすい説明をする
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気持ちが少しでも落ち着くように配慮する
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質問や不安にしっかり耳を傾ける
家族にとっては、どんな小さな言葉も大きな意味を持つことがあります。そのため、医師たちはどのタイミングで、どんな表現で話すかに細心の注意を払っています。
また、看護師や多職種のチームとも協力しながら、家族や子どもの心にも寄り添うようにしています。看護師は、家族の不安な表情や言葉にならない思いを感じ取り、医師に伝えたり、逆に医師の考えをわかりやすく家族に伝えたりします。
心理ケアの専門家やソーシャルワーカーも一緒にサポートすることで、家族が孤独や不安を感じにくいよう、チーム全体で支え合っています。
PICUの現場では、医学的な判断だけでなく、人としての思いやりや心の強さが求められる場面がたくさんあります。医師たちは悩み、迷いながらも、子どもと家族のために、最善を探し続ける毎日を過ごしているのです。
国立成育医療研究センターとは?
国立成育医療研究センターは、東京都世田谷区にある日本最大級の小児医療と周産期医療の専門施設です。ここは、赤ちゃんから子ども、そして妊婦さんまで、幅広い世代を対象にした医療を提供する大切な拠点です。病院と研究所が一体となっていて、目の前の患者さんの治療を行いながら、未来の医療につながる研究も進めています。
この施設の中には、日本最大級となる20床の小児集中治療室(PICU)があり、全国から集まる重症の子どもたちを24時間体制で受け入れています。心臓の手術を受けた後の子や、肝臓に重い病気を抱えた子など、命の危機に直面している子どもたちが集まる場所です。
また、成育医療研究センターは、子どもたちの治療だけでなく、その家族全体を支えるケアにも力を入れています。
たとえば、次のようなサポートがあります。
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妊娠や出産に関する医療サポート
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高度な新生児医療(NICUの設置)
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退院後も安心して生活できるような支援
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家庭での療養が難しい場合の一時的な入所施設
その中でも「もみじの家」は、医療型短期入所施設として知られており、病気や障害を抱える子どもと家族が安心して過ごせる場所として利用されています。医療機器や専門スタッフがそろっているため、家族の負担を減らし、少しでも心に余裕が持てるような工夫がされています。
このセンターは、単なる病院ではなく、子どもたちと家族の未来を支えるための場所です。最先端の医療と、温かいサポートがそろった小児医療の最前線として、全国から注目されています。
放送内容は後日追記予定
この番組は、まだ放送前のため、どんな子どもたちが登場するのか、どんな家族の物語が描かれるのかはわかっていません。実際の放送を見たあとで、この記事にも具体的なエピソードや感想を追記する予定です。
命と心を守る医療の現場がどう映し出されるのか、ぜひ番組をチェックしてください。
番組情報まとめ
番組名 | NHKスペシャル 命を診る 心を診る 〜小児集中治療室の日々〜 |
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放送日 | 2025年7月13日(日) |
時間 | 21:00〜21:50 |
放送局 | NHK総合 |
舞台 | 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区) |
放送を見逃さないよう、ぜひ録画予約やカレンダー登録をしておきましょう。
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