記事内には、広告が含まれています。

【NHKスペシャル】古代エジプトを救ったブラックファラオとは?スーダン・クシュ王国の真実(2025年8月20日放送)

「堺雅人が巡る古代エジプト!謎の王ブラックファラオの実像に迫る」

古代エジプトは3000年以上もの長い歴史を誇る文明ですが、紀元前11世紀頃には混乱期に入り、国が分裂し存亡の危機に直面しました。その危機を救ったのが、エジプトの南にあったクシュ王国から現れた黒人の王たちです。彼らはブラックファラオと呼ばれ、80年にわたりエジプトを支配しました。番組では俳優の堺雅人さんがエジプトやスーダンを巡り、ブラックファラオの実像に迫りました。

クシュ王国とピラミッドの秘密

ブラックファラオを生み出したのは、現在のスーダンに存在していたクシュ王国です。この国にはなんと250基以上のピラミッドが点在しており、その数は有名なエジプトのピラミッドよりも多いという驚きの事実があります。形は先端が鋭く尖っており、高さや角度も独特で、遠くから見ても一目でクシュのものと分かる特徴を持っていました。番組では、アリゾナ大学の調査チームが最新の技術を駆使してピラミッドの地下へと潜入し、調査を進める様子が描かれていました。水に浸かっていたことで盗掘の被害を免れた王の石棺が発見され、その内部からは純度の高い金や多くの副葬品が見つかりました。これらの発見は、クシュ王国がただの周辺国ではなく、豊かな資源を持つ黄金の王国であったことを強く示しているのです。

エジプトを支えたクシュの黄金

クシュ王国は古代から非常に豊富なを産出する土地として知られており、その貴重な資源をナイル川を通じて大量にエジプトへと運びました。ツタンカーメン王の黄金のマスクや精巧なをはじめ、エジプト文明を象徴する豪華な金製品の多くは、実はこのクシュからもたらされた金なくしては実現できなかったのです。つまり、きらびやかなエジプト文明の繁栄の背景には、常に南方に位置するクシュ王国の存在があり、その資源と力が陰で支え続けていたのです。

軍事と文化での交流

クシュ王国は豊かな資源だけでなく、強大な軍事力を誇っていました。戦場では巨大な象の部隊を率いて敵に突進させ、さらに熟練した弓兵が遠方から矢を放つことで圧倒的な力を見せつけました。一方で、エジプトは武力でクシュを支配下に置こうとしましたが、同時に宗教や文化の面では巧みに融合を進めました。とくにクシュの聖地であるジュベル・バルカルを、エジプトの最高神アメンと結びつける神話を広めることで、人々の信仰を一体化させようとしたのです。その結果、クシュの人々は自然にエジプト文化を受け入れ、やがて自らがファラオとなり王座に就く道を切り開いていきました。

ブラックファラオの登場と改革

エジプトが分裂し混乱と危機に包まれていた時代、初代ブラックファラオであるピイが立ち上がり、強力なを率いて各地の勢力を打ち破り、ついにエジプトを再び一つに統一しました。その後も4代にわたるブラックファラオたちは、荒れ果てていた神殿の修復や新たな礼拝堂の建設を進め、人々の信仰心を取り戻すことに力を注ぎました。特にテーベにあるカルナック神殿には、高さ22メートルに及ぶ巨大なをそびえ立たせ、エジプト復興の象徴としました。さらに彼らは衰退していたピラミッド建設を復活させ、故郷クシュの地でおよそ500年にわたり継続して建造を行った点も大きな特徴といえます。

女性の活躍と宗教的役割

ブラックファラオの時代には、当時としては珍しく女性の地位が非常に高く評価されていました。特にファラオの妹がアメン神の妻という神聖な立場に就き、宗教界全体を統率していたのです。政治や軍事の分野を男性が担い、一方で宗教や祭祀の中心を女性が導くという体制は、まさにクシュ王国ならではの独自の特徴でした。この仕組みは社会に安定をもたらし、エジプトの秩序維持に欠かせない大きな役割を果たしていたのです。

アッシリアとの戦いと古代エジプトの終焉

紀元前7世紀、強大なアッシリア帝国がついにエジプトへ侵攻してきました。勇敢なブラックファラオたちは繰り返し戦いに挑み、象の部隊や弓兵を駆使して侵略を撃退することに成功しましたが、圧倒的な軍事力を誇るアッシリアの前に最終的には敗北し、故郷であるクシュへと退却せざるを得ませんでした。その後、エジプトはアッシリアをはじめ、さらにペルシャ帝国、そして後にはローマ帝国といった異民族の支配を受け続け、紀元前30年、ついに独立した王国としての歴史に幕を下ろしました。しかし、ブラックファラオが復興させた神々への信仰や豊かな文化は絶えることなく受け継がれ、人々の心に生き続けていったのです。

クシュの末裔・ヌビア人の存在

俳優の堺雅人さんが旅の最後に訪ねたのは、エジプト・アスワンに暮らす一軒のヌビア人の家庭でした。彼らは古代クシュ王国の末裔とされ、現在も誇りを持って自らの文化を守り続けています。家の中を彩るのは「ヌビアンブルー」と呼ばれる鮮やかな青色で、この色はナイル川の流れを思わせる神聖な色として代々愛されてきました。さらに食卓には伝統料理が並び、家族は代々伝わるを口ずさみます。文字を残さなかったクシュの人々にとって、こうした歌や口承こそが文化をつなぐ最も大切な手段であり、今もその精神が生き続けているのです。

古代エジプト文明の強さとは?

番組の最後に専門家の大城道則さんが語ったのは、古代エジプト文明が驚くほど長く、実に3000年ものあいだ続いた理由についてでした。その秘密は、強い武力や資源だけではなく、周囲の異なる民族文化を積極的に受け入れ、柔軟に共存する力を持っていたことにあると説明されました。現代の社会では分断や争いが絶えず起きていますが、このエジプトの姿勢は今を生きる私たちにとっても大きなヒントとなると感じさせられました。

まとめ

今回のNHKスペシャルは、古代エジプト文明の知られざる一面を明らかにしました。ブラックファラオは征服者ではなく、エジプトを復興へ導いた救世主でした。彼らを支えたクシュ王国の黄金や文化、そして現代まで続くヌビア人の伝統が、エジプト文明の奥深さを物語っています。3000年続いた理由は「多様性を受け入れる強さ」にあり、その知恵は今の時代にも通じるメッセージだといえます。


気になるNHKをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました