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【NHKスペシャル】スマホが“加害の扉”を開く時 教師の性加害・AI盗撮の連鎖と子どもを守るための社会改革|2025年10月26日★

スマホの中に潜む“加害の扉”とは?見えないリスクと、子どもを守る社会の責任

「まさか、うちの学校で」「まさか、うちの子が」――そんな言葉が全国の教育現場で相次いでいます。
2025年、複数の教員が児童を盗撮し、SNSのグループで画像や動画を共有していた事件が発覚しました。さらに、中高生のあいだでは、同級生をスマホで盗撮したり、AIで裸に加工した画像を投稿したりする行為が蔓延しています。
スマートフォンやSNSの普及によって、“誰もが加害者にも被害者にもなり得る時代”が到来しました。

NHKスペシャル『加害の“扉”が開く時 スマホ・SNS・盗撮から子どもを守る』(2025年10月26日放送)は、180人以上の加害者に直接取材し、なぜ彼らが「その一線を越えたのか」、どんなきっかけで“加害の扉”が開いてしまったのかを深く掘り下げます。この記事では、放送のテーマをもとに、事件の背景、社会が抱える課題、そして子どもを守るための対策を多角的に考えます。

教員による盗撮事件が浮かび上がらせた「信頼崩壊」

近年、全国各地で教員による児童への盗撮・画像共有事件が相次いでいます。
2025年には、北海道の中学校教師が女子生徒の着替えをペン型カメラで盗撮し、再逮捕されました。さらに、東京都の小学校では複数の教員が児童の画像を撮影し、SNS上のグループで共有していたとして起訴されています。

教育の場は本来、子どもが安心して学べる場所のはずです。しかし、教師が加害者となったことで、学校という「信頼の象徴」が崩壊したといえるでしょう。
ある事件の被告は「下着姿という秘密を見たことで優越感を覚えた」と供述しており、性的嗜好の問題だけでなく、“支配欲”や“優越感”の心理も見え隠れしています。

さらに深刻なのは、同僚同士でデータを共有していたという構図です。これは個人の逸脱ではなく、閉鎖的な職場文化や監督体制の甘さが背景にある可能性があります。
「誰も止められない」「言い出せない」という空気が、犯罪の温床となっていたのです。

同級生間の“無自覚な加害” 子ども同士が傷つけ合う現実

近年の特徴として、子ども自身が加害者になるケースが増えています。
SNSや動画投稿アプリの普及により、「面白がって」「ふざけて」といった軽い気持ちで同級生を撮影し、共有する行為が広がっています。

中でも深刻なのが、生成AIを使って裸に加工した画像です。
NHKが報じた調査によると、SNS上で少なくとも252件の“AI加工による裸画像”が確認されており、被害者の多くが10代の少女たち。写真の一部をAIが解析し、衣服を消したように“裸に見せる”動画や画像が拡散しているのです。

さらに、日本弁護士連合会も「学校で同級生を盗撮した画像がSNSで拡散している」と警鐘を鳴らしています。
この問題の厄介な点は、加害者の多くが「罪の意識が薄い」こと。
「友達同士の悪ふざけ」「バレなければ大丈夫」――そうした無自覚な行為が、相手の尊厳を深く傷つけているのです。

被害者の中には、学校に行けなくなったり、SNSを見るのが怖くなったりする子どもたちもいます。
しかし、画像や動画はネット上に残り続け、完全に消すことは難しい。
「一度の投稿が一生の傷になる」――その現実を、子どもも大人も正しく理解する必要があります。

技術が進むほど“悪用”も進化する

スマートフォンやSNSが進化する一方で、犯罪の手口も巧妙化しています。
特に注目されているのが、ディープフェイク技術の悪用です。
AIが人の顔や体を合成し、実在しない性的な画像や動画を作り出す。こうした「ノン・コンセンサスな親密メディア(NCIM)」は、本人の同意がなくても“裸に見える”画像を生成できてしまう危険性をはらみます。

情報処理推進機構(IPA)の『情報セキュリティ白書2025』では、生成AIによる児童性的画像の脅威を明記。
また、J-STAGEに掲載された研究では、日本ではディープフェイク・ポルノの法的規制が十分ではなく、被害者が泣き寝入りするケースも多いと指摘されています。

さらに、こうしたAI画像の多くは海外のサーバーや匿名掲示板を経由して拡散するため、追跡が困難。
つまり、技術の進歩そのものが、新しい加害の形を生み出してしまっているのです。

「加害の扉」はどこで開くのか

番組では、180人以上の加害者が「なぜ一線を越えたのか」を語っています。
その多くは、「最初は興味本位だった」「誰も見ていないと思った」と話しているといいます。
SNSの“いいね”や反応の快感が、次第に「もっと刺激的なものを」と欲求をエスカレートさせる。
そしていつの間にか、“他人をモノとして扱う”加害の意識に変わっていくのです。

心理学的には、こうした行動は“デジタル脱抑制”と呼ばれます。
匿名性やオンラインの距離感が、人の良心を鈍らせ、現実の罪悪感を消してしまう現象です。
SNSやスマホは、子どもたちにとって日常の一部。だからこそ、「軽い気持ち」の一歩が深刻な犯罪につながるという認識を持たせる教育が必要です。

子どもを“守る”ために、大人がすべき5つのこと

① 法制度の強化

・同意なしの撮影・共有を禁止する法整備を進める。
AIを使った裸画像の生成・共有も「児童ポルノ等」と同等に扱う規制を検討する。
・学校現場では、スマホの持ち込みルールや撮影禁止エリアの設定を徹底する。

② 教員・大人の倫理教育

・教員への定期的なモラル研修を義務化。
・学校管理職がチェック機能を果たし、「沈黙の文化」を断ち切る
・大人自身がSNSの危険性を理解し、子どもの前で“正しい使い方”を示す。

③ 子どもへの情報リテラシー教育

・「撮る・撮られる・共有する」それぞれの責任を小学生から教える。
・「AI画像も現実の被害」「削除しても残る」というネットの仕組みを具体的に伝える。
・加害行為をした場合の法的・社会的影響を、実例を交えて学ばせる。

④ 被害者支援と早期対応

・SNS上の画像削除を支援する専門窓口の常設。
・被害を受けた子どもには、心理ケア・法的支援・学校復帰支援を一体で行う。
・匿名で相談できるホットラインを全国の学校に設置する。

⑤ 技術的なブロックと企業の責任

・SNSや動画サイトが、AIによる裸画像生成を検出・削除する仕組みを導入。
・「児童・生徒が写った画像の自動警告システム」を設ける。
・プラットフォーム運営者にも法的責任を課す制度が必要。

“子どもを守る社会”とは、監視ではなく信頼の再構築

子どもたちを守るということは、単にスマホを取り上げることではありません。
重要なのは、「見守る信頼」と「話し合える関係」を築くこと。
家庭でも学校でも、
「SNSで困ったことがあったら言っていい」
「間違ってしまっても、一緒に考えよう」
――そんな環境があるかどうかで、被害の拡大を防げるかが決まります。

また、子どもたちが“他人の尊厳”を理解し、自分の中に“倫理のブレーキ”を持てるようになる教育が求められます。
それは、性教育・道徳教育・情報教育が一体となった新しい取り組みです。

まとめ

この記事のポイントは次の3つです。

  1. 教員による児童盗撮AIを使った子ども同士の裸画像生成が社会問題化している。

  2. スマホ・SNS・生成AIの進化により、「被害」と「加害」が交錯する時代になった。

  3. 法制度・教育・技術・支援の総合的な対策が不可欠である。

スマホのレンズ一つで、人の人生が壊れることがある。
けれど同時に、それを防ぐ力も私たちの手の中にあります。
子どもたちを「被害者」にも「加害者」にもしない社会――
そのために、今こそ大人が“責任を持って見つめ直す時”です。

放送では、180人以上の加害者のリアルな声を通じて、“加害の扉”が開く瞬間を追います。放送後には、番組で明らかになる新たな事実や専門家の提言も踏まえて、この記事をさらに詳しく追記します。


出典・参考
・毎日新聞/HTBオンライン/TOKYO MX/Locipo
・NHK特集「卒業アルバムの同級生を裸に…子どもも加害者?」
・弁護士ドットコム/日本弁護士連合会
・情報処理推進機構(IPA)『情報セキュリティ白書2025』
・J-STAGE「ディープフェイク・ポルノをめぐる事例と対策」

(放送後、NHK公式サイトの番組リンクを追記予定)

家庭でできるスマホ安全対策・子どもと話すときのポイント・チェックリストまとめ

しげゆき
しげゆき

ここからは、私からの提案です。家庭でのスマホ利用ルールを整えることは、子どもをトラブルから守る第一歩です。大切なのは「禁止」ではなく「理解と共有」。親子で一緒に考え、納得できるルールを作ることが信頼関係につながります。

まず意識したいのは次の5つです。
利用時間を明確にする
 寝る前1時間はスマホを使わない、食事中は触らないなど、具体的な時間を決めておくことで習慣化しやすくなります。
使う場所はリビング中心に
 個室での使用を避け、家族の目が届く場所で使うことでトラブルの早期発見につながります。
フィルタリング設定を忘れずに
 Googleファミリーリンクi-フィルターなどを使って、アクセス制限を設定しましょう。
SNSの公開範囲を一緒に確認
 投稿を誰が見られるか、プライバシー設定を子どもと一緒に見直すことが大切です。
困ったときの報告ルールを決める
 知らない人からメッセージが来た、嫌な画像を見たときはすぐに相談できるようにしておきます。

文部科学省の調査でも、家庭でルールを共有し、親子の会話を持つ家庭ほど、ネットトラブルの発生率が低いことが示されています。

次に、子どもと話すときに意識したい3つのポイントです。
感情的にならずに話を聞く
 「どうしたの?」「何があったの?」と穏やかに聞く姿勢が大切です。叱るより、まず理解することを優先します。
ルールの理由を説明する
 「危ないからダメ」ではなく、「ネットに載せるとずっと残る」など、現実的な理由を伝えましょう。
ルールは一緒に作る
 親が一方的に決めるのではなく、子どもと話し合いながら作ることで、自分ごととして守る意識が育ちます。

最後に、日常で確認できるチェックリストです。
□ スマホはリビングで使う
□ 就寝前1時間は使用しない
□ フィルタリングを設定済み
□ SNSの公開範囲を定期的に確認
□ トラブル時はすぐ相談できる環境がある
□ 月に一度、スマホの使い方を一緒に見直す

家庭での見守りは、監視ではなく信頼の証。子どもが安心してデジタル社会と向き合えるよう、家庭が“安全基地”となることが何より大切です。


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