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【NHKスペシャル】サラームの戦場▽独自映像で迫るガザの740日 報道の限界と“生きる希望”を見つめて|2025年10月19日★

NHKスペシャル

ガザ740日、サラームのレンズがとらえた“生きる”ということ

戦争のニュースを見ていて、「現地の人々は、いまどんな日常を送っているのだろう」と思ったことはありませんか?爆撃の瞬間や会談の速報は伝わっても、その“向こう側”にいる普通の人の暮らしは、ほとんど知られることがありません。
2025年10月19日放送のNHKスペシャル『サラームの戦場 独自映像で迫るガザの740日』は、ガザで避難生活を続けながら撮影を続けているカメラマン・サラームの視点から、戦闘開始から2年を迎えたガザの「生きる記録」を伝えます。彼のカメラには、爆撃だけでなく、瓦礫の中でパンを焼く母親、子どもを抱いて歩く父親、静かに祈る人の姿が映ります。
この記事では、放送に先立ち、サラームが見つめ続けた“報道の限界”と“人間の尊厳”、そして破壊の中で光る“希望”を通して、世界が見落としてきたガザの現実を考えます。

サラームが見た“報道の限界”と“人間の尊厳”

サラームは、ガザの現場で「報道とは何か」という問いを突きつけられ続けてきました。戦闘が続く中、ニュースとして伝えられるのは「爆撃」「停戦交渉」「死者の数」といった象徴的な情報。しかし、瓦礫の下で泣き叫ぶ母親や、壊れた家の前で静かに座る老人といった“個々の人間の現実”は、短いニュース枠では伝えきれません。
サラームは語ります。「この惨状を本当に伝えられているのか」。報道者として冷静でいようとするほど、人間としての心が傷ついていく。命を守るためにカメラを置く瞬間もあれば、恐怖に震えながらシャッターを切る夜もある。彼にとって報道は、記録であると同時に“祈り”のような行為になっていきます。

それでもサラームは、カメラを向け続けます。なぜなら、そこに生きる人々の存在を、世界が見なくなってしまうことが最も恐ろしいからです。彼の映像には、子どもの笑顔や、パンを焼く手のしぐさ、互いを支え合う避難所の人々など、戦争の中でも失われていない“人間の尊厳”が息づいています。それは「生き延びる」というより、「人間であり続ける」ことへの意思。サラームのレンズは、その静かな強さを見逃しません。

破壊の中に残る“生きる”という希望

爆撃で街が壊れても、人々の営みは止まりません。サラームの映像には、朝日を背に水を汲みに行く少女、倒壊した建物の壁にもたれて休む高齢者、手作りの釜でパンを焼く母親の姿が映ります。彼らの動作ひとつひとつが、希望の象徴です。
瓦礫の中で咲いた小さな花を見つけて笑う子ども。空を見上げて「もう一度学校に行きたい」と話す少年。その一瞬に、戦争では奪えない“未来への意志”が込められています。

炊き出しを続けるボランティアや、物資の届かない地域で自分たちの手で食事を分け合う人々。混乱の中でも「助け合う文化」は息づいており、サラームはその姿に“希望の根”を見いだしています。報道が「被害」を伝えるのではなく、「生きる力」を描くこと。その挑戦が、彼のカメラワークの根底にあるのです。

子どもたちは、壊れた教室の中でも学び続けています。机がなくても床にノートを広げ、折れた鉛筆で文字を書く。その姿は未来を信じる力そのもの。サラームの映像は、絶望の中に光るその“生の瞬間”を丁寧に刻み続けています。

世界が忘れかけているガザの“時間”

世界が停戦合意や政治交渉に注目する一方で、ガザでは“続いている時間”があります。報道が途絶えても、そこには毎日の呼吸、涙、そして祈りがあります。
瓦礫の中で暮らす人々にとって、時間は戦闘の終わりでは止まりません。家族を失った悲しみを抱えながらも、明日を生きる準備をする。その繰り返しこそが、サラームが見つめる“ガザの時間”です。

サラームは、停戦が発表された日にも撮影を止めませんでした。なぜなら、「停戦」はニュースであっても、「平和」ではないからです。爆撃が止んでも、心の傷や飢え、生活の再建は続く。世界が「終わった」と報じるとき、現地の人々は「まだ始まってもいない」と感じている。サラームのカメラは、そのズレを映し出します。
この“忘れられた時間”を記録することこそ、彼の使命。ニュースが過ぎ去っても、映像が残ることで、誰かの現実が確かに“この世界の一部”として刻まれるのです。

サラームの独白が伝える“報道の原点”

番組の中で、サラームの独白が流れます。それはただのナレーションではなく、心の叫びでもあります。「私はいま、カメラを通して何をしているのか」「伝えることで、本当に誰かを救えているのか」。
彼の言葉は、記者としての責任を超え、人としての苦悩を含んでいます。それでも、彼は“伝えること”をやめない。それは、戦争の真実が「数字」ではなく「人の声」であることを知っているからです。
映像を通して浮かび上がるのは、戦争を「伝える」ではなく、「人間の記憶として残す」という新しい報道の形。サラームの作品は、ニュースの枠を超えて、私たちに「生きるとは何か」を問いかけます。

まとめ

この記事のポイントは以下の3つです。
ガザで740日間、NHKカメラマン・サラームが撮影した“人間の記録”が放送される
爆撃や避難ではなく、“生きる力”と“人間の尊厳”がテーマとして描かれる
停戦の陰で続く“忘れられた時間”を映し出し、報道の意味を問い直す

『サラームの戦場』は、戦争の映像を“現実の断片”ではなく、“生きる証”として見せてくれる特集です。報道の限界を超え、人間の光を見つめ続けたサラームのカメラ。その静かなまなざしを通して、私たちは「遠い戦争」を「自分の世界の一部」として感じることができるはずです。

放送後には、さらに深く追記予定です。

出典:NHK公式番組情報
https://www.nhk.jp/p/special/


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