記事内には、広告が含まれています。

【あさイチ】2025年本屋大賞は『カフネ』!阿部暁子が描く再生の物語とは|2025年4月10日放送

趣味

2025年本屋大賞は『カフネ』!ポルトガル語のやさしい言葉がつなぐ“再生”の物語

2025年4月10日(木)放送のNHK総合『あさイチ』では、今年の「本屋大賞」に選ばれた話題作『カフネ』が取り上げられる予定です。本屋大賞は、全国の書店員が「自分の店で一番売りたい本」に投票して決める賞で、読者に本当におすすめしたい作品が選ばれます。2025年の大賞に輝いたのは、阿部暁子さんの小説『カフネ』です。
この作品は、法務局に勤める女性が、亡き弟の元恋人と出会い、家事代行サービス「カフネ」の活動を手伝う中で、食を通じて絆を育んでいくという物語です。

『カフネ』というタイトルに込められた意味

『カフネ』とは、ポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通すしぐさ」を表す言葉です。このやさしい言葉は、作品の中で家事代行サービスの会社名として使われています。
このネーミングには、誰かの心にそっと触れるようなサービスを目指す意味が込められていて、登場人物たちの繊細な関係や、互いに寄り添おうとする姿勢を象徴しています。
読んでいるうちに、この「カフネ」という言葉自体が物語の優しさを包みこむように感じられるのも特徴です。

物語のあらすじと魅力

『カフネ』の主人公は、法務局で働く41歳の野宮薫子(のみやかおるこ)です。薫子は最愛の弟・春彦を突然亡くし、心に大きな喪失を抱えたまま、孤独な日々を送っていました。彼女の生活はどこか乱れがちで、感情も閉ざされがちになっていました。

ある日、弟が遺していた遺言書の手続きをきっかけに、弟の元恋人である小野寺せつな(29歳)と出会います。せつなは家事代行サービス「カフネ」で料理を担当しており、料理を通して依頼人の心に寄り添う仕事をしています。最初は距離のあった二人ですが、せつなの誘いで薫子も「カフネ」の活動を手伝うようになります。

この物語は、

  • 食事という日常の行為が人の心を癒してくれること

  • 誰かと一緒に料理を作る、食べることで、心がほどけていく様子

  • 年齢や過去の関係を乗り越え、少しずつ築かれていく信頼と友情

などが丁寧に描かれています。

弟を通じて知り合った二人が、食の現場で心の距離を縮めていく展開は、静かで優しい感動を与えてくれます。

登場人物の背景と関係性

  • 野宮薫子:41歳。法務局勤務。弟の死と離婚を経験し、生きる力を失いかけていたが、「カフネ」の活動を通して少しずつ前を向こうとします。

  • 小野寺せつな:29歳。薫子の弟・春彦の元恋人。過去を引きずりながらも、人に寄り添う気持ちを大切にし、料理で人の心を癒す家事代行サービスに従事しています。

  • 春彦(故人):薫子の弟で、せつなの元恋人。物語には登場しませんが、二人の関係のきっかけとなり、物語全体を見守る存在です。

この登場人物たちは、表面的には交わることのなかった人生が、やさしい手触りのように交錯していきます。

作品が伝えるテーマと読者の声

この小説は、現代社会の中で孤独を抱えている人に向けた、やさしい物語です。家事代行という現代的な仕事を舞台にしながらも、中心には「人との関係を築くことのむずかしさと尊さ」があります。

書評家・吉田伸子さんは、「雨に濡れた人への、傘のような一冊」と表現しました。この比喩の通り、辛いときにそっと寄り添ってくれる作品です。

読者からも、

  • 「静かだけど胸に響く」

  • 「料理の描写がとても丁寧で、読んでいてお腹がすく」

  • 「読後感がさわやかで、涙が出ました」

  • 「人と人との距離の取り方を優しく教えてくれる」

といった感想が多く寄せられています。特に、食を通じて生まれるつながりや信頼の描写が高く評価されています。

本屋大賞2025の最終順位

2025年の本屋大賞は以下の通りです。

1位:『カフネ』 阿部暁子(講談社)
2位:『アルプス席の母』 早見和真(小学館)
3位:『小説』 野崎まど(講談社)
4位:『禁忌の子』 山口未桜(東京創元社)
5位:『人魚が逃げた』 青山美智子(PHP研究所)
6位:『spring』 恩田陸(筑摩書房)
7位:『恋とか愛とかやさしさなら』 一穂ミチ(小学館)
8位:『生殖記』 朝井リョウ(小学館)
9位:『死んだ山田と教室』 金子玲介(講談社)
10位:『成瀬は信じた道をいく』 宮島未奈(新潮社)

この他にも、以下の部門も発表されました。

  • 翻訳小説部門 第1位:『フォース・ウィング―第四騎竜団の戦姫―』 レベッカ・ヤロス(訳:原島文世、早川書房)

  • 発掘部門「超発掘本!」:『ないもの、あります』 クラフト・エヴィング商會(ちくま文庫)

おわりに

『カフネ』は、誰かの悲しみや孤独にそっと寄り添い、食や手仕事を通して心を癒す物語です。静かで大きな感動があり、多くの読者が「自分の大切な人にも読んでほしい」と感じる作品です。あさイチでは、こうした本の背景や作者の思い、そして本屋大賞として選ばれた理由について、さらに詳しく紹介される予定です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました