日本の町工場に光る“世界レベル”の技術とお金のヒミツとは
2025年4月20日(日)放送の『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(NHK総合・18:05~18:45)では、日本の“ものづくり”の力を支える「町工場」に注目。今回は、大阪・八尾市の鍋工房、神奈川県相模原市の自動串刺しマシーン、さらには全国の町工場が自作のコマでぶつかり合う「コマ大戦」に密着。どれも一見地味だけど、実は世界レベルの技術が詰まった内容ばかりで、普段の生活ではなかなか知ることのできない、町工場の“お金のヒミツ”をわかりやすく紹介してくれました。
職人が1日3万回叩く!注文数か月待ちの行平鍋とは?
町工場が集まる地域として有名な大阪府八尾市と東大阪市。このエリアで100年以上続く老舗鍋工房を受け継ぐのが、3代目の姫野寿一さんです。姫野さんが製造しているのは、行平鍋(ゆきひらなべ)。煮物をおいしく仕上げる鍋として昔から親しまれていますが、姫野さんの鍋は一味違います。
・加工前の鍋はツルツルの丸い金属板
・それを同じ角度・同じ力で、1日3万回もハンマーで叩き続けて形にする
・表面には美しい槌目模様(つちめもよう)が現れ、見た目の美しさと機能性を両立
・鍋1つの価格は1万4300円。一方、一般的な行平鍋は約700円と、20倍以上の価格差
この鍋の魅力は、熱伝導率の高さと温度の均一性。日本料理の料理人・橋本幹造さんも「火の通り方、甘みの出方が全く違う」とコメントしていました。煮崩れしにくく、素材の旨みを活かすことができるため、プロの料理人にも支持されており、今では外国人観光客や一流レストランでも使用される人気商品になっています。
さらに注目されたのは、町工場に弟子入りした20代女性の2人組。三村茉由さんと薬師寺千誉さんが技術を継承したいと自ら申し出て、鍋作りの世界に飛び込みました。こうして次の世代に技術がつながっていく様子は、町工場の未来に希望を感じさせてくれました。
世界40か国で大活躍!相模原市の自動串刺しマシーンの実力
神奈川県相模原市の町工場「コジマ技研工業有限会社」も、番組で大きく取り上げられました。創業1981年、従業員12人という小さな工場ながら、開発したのは自動串刺しマシーン。焼き鳥やおでん、フランクフルトなど、さまざまな串商品を効率よく製造できるこのマシーンは、今や国内シェア9割、世界40か国に輸出されるヒット製品です。
・手作業で1時間に刺せる串の数は約50本
・自動串刺しマシーンなら、1時間に1500本も生産可能
・串の波打ちや深さの調整も、まるで職人のように精巧
・価格は約800万円と高額ながら、大量生産により短期間でコスト回収が可能
このマシーンは、焼き鳥だけでなく、団子やフランクフルト、おでんなどにも対応。食文化の違う国でも導入しやすく、インド、スペイン、ギリシャなど多くの国で使用されています。汎用性と安定性の高さが認められ、導入が相次いでいます。
これを開発したコジマ技研工業は、常に現場の声に耳を傾けながら改良を重ねており、今後も新たな需要に対応できる体制を整えています。まさに日本の小さな町工場が世界に誇る技術を持っている証明です。
職人のプライドが激突!町工場の“コマ大戦”とは?
番組の後半では、「全日本製造業コマ大戦」に密着。これは、町工場の職人たちが自作の直径20mm以下のコマを持ち寄り、土俵上で1対1の勝負を行う大会です。勝利の条件は、相手より長く回り続けること。また、相手をはじき飛ばしてもOKというルールがあり、白熱した戦いが繰り広げられます。
・トーナメント形式で優勝者が決定
・勝ったチームは出場した全コマを“総取り”できる仕組み
・材質・重さ・形は自由、アイデアと技術勝負
・2025年3月には東京・大田区で公式大会が開かれ、22チームが参戦
過去の大会では、棍棒型コマ、開閉するコマ、モーター搭載コマなど個性豊かな作品が登場し、単なる遊びの枠を超えた職人の技術力が披露されました。部品加工や精密機械を扱う町工場が、自社の技術をアピールする場としても注目されており、企業のブランディングにもつながっています。
町工場の技術者にとって、このコマ大戦は「技術力の証明の場」であり、遊びのようで本気の戦い。若い世代の職人やエンジニアにとっても刺激的な経験となっており、技術継承の手段としても期待されています。
今回の『カネオくん』では、普段は表に出てこない町工場の努力と工夫、そしてそこに潜むお金のリアルが丁寧に紹介されました。1万回以上鍋を叩き続ける職人の根気、世界市場を相手にするマシーン開発、さらにはコマ1個に詰められた創意工夫。日本のものづくりの真髄を感じられる、濃密な40分でした。
次世代に受け継がれる技術と、世界へ広がる町工場の挑戦。これからも日本の“ひとづくり・ものづくり”に注目です。
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