はじめに
2024年12月31日、大晦日の夜、NHK総合で放送された「ゆく年くる年」は、全国各地の寺社や名所を中継で結び、祈りと感謝の時間を共有する日本の年越し文化を象徴する番組です。放送時間は23:45から0:25まで、わずか40分間ながら、その内容は日本各地の伝統と希望に満ちていました。今年のテーマは「祈りと希望」であり、自然災害や世界的な課題が続いた2024年を振り返りつつ、新たな年に向けて平和を願うメッセージが込められています。以下では、中継された各地の様子を詳しくお伝えします。
大晦日に食べてはいけないものとして、牛や豚など四足歩行の動物のお肉があります。 これは『正月から殺生をするものではない』という意味があるようです。 豚肉や牛肉は食べてはいけないといわれていましたが、鶏肉は食べても問題なかったようです。2023/12/14
【番組内容】2024年を振り返り、2025年への願い
2024年は多くの出来事があり、日本の社会や自然にも大きな影響を与えました。1月には能登半島地震が発生し、震度7を記録する被害がありました。また、台風や豪雨などの自然災害が相次ぎ、多くの人々が避難や復興に追われた1年でした。一方で、パリオリンピックとパラリンピックでは、日本選手たちの輝かしい活躍が注目され、大谷翔平選手が大リーグでのプレーで世界中に感動を与えました。
2025年は日本にとって特別な節目の年です。終戦から80年という歴史的な年であるとともに、ラジオ放送が日本で始まってから100年を迎える年でもあります。この重要な年を迎えるにあたり、「ゆく年くる年」は全国12か所を中継でつなぎ、日本各地の人々の新年に込める願いや思いを共有します。伝統的な鐘の音や祈りの姿は、視聴者に日本文化の深さを再認識させるでしょう。
【中継地点と詳細】全国12か所の祈りの光景
奈良・長谷寺
奈良県桜井市にある長谷寺は、古くから多くの参拝者に親しまれてきた名刹です。本堂へと続く399段の登廊は、灯籠の柔らかな明かりで照らされ、訪れる人々を新年の祈りへと誘いました。この登廊を上る光景は「人々の心の道」を象徴するものとされ、多くの人々が感謝と願いを込めて本堂へ足を運びました。本尊である十一面観世音菩薩像の前で手を合わせる人々の姿は、1年の締めくくりと新年への希望を強く感じさせます。特に長谷寺の鐘の音は、「どんな願いも叶う」と古くから信じられ、祈りの時間に特別な彩りを与えました。
香川・善通寺
香川県善通寺は、弘法大師空海の生誕地として知られ、四国八十八箇所霊場の一つでもあります。この善通寺では、新年を迎える恒例行事として「年明けうどん」の準備が進められていました。讃岐うどんが長寿を祈る縁起物であることを紹介しながら、訪れる人々が新しい年の健康と繁栄を願いました。除夜の鐘が響く中、御影堂では空海の生誕地としての歴史的背景が語られ、過去と現在が交差する深い空間が映し出されました。讃岐うどんの文化と空海の歴史が融合した善通寺は、多くの参拝者の心を魅了しました。
東京・増上寺
東京都港区にある増上寺は、徳川家の菩提寺としての歴史が紹介されました。境内には多くの参拝者が集まり、東京タワーを背景にした壮観な新年の祈りの光景が広がりました。本堂は、第二次世界大戦の東京大空襲によって焼失したものの、戦後に全国からの寄付で再建されました。この復興の歴史は、戦後日本の力強い再生の象徴とも言えます。深夜の鐘の音と共に、参拝者たちは平和で穏やかな新年を祈り、新しい1年への希望を胸に抱きました。
石川・須須神社
石川県珠洲市にある須須神社では、能登半島地震の被災者たちへの祈りが込められた奉納神楽「浦安の舞」が披露されました。今年は例年通りの祭りが中止されましたが、境内に灯る灯籠の明かりと絵馬の奉納が訪れる人々の心を温めました。須須神社の鐘の音が響く中で、復興への願いが多くの参拝者に共有され、地域全体の結束を感じさせる光景が印象的でした。
宮崎・大塚八幡神社
宮崎市の大塚八幡神社は、五穀豊穣や家内安全を祈る地域信仰の中心として1200年の歴史を持ちます。今年の中継では、居合の演舞が披露され、多くの参拝者が厄払いを願いながらその厳粛な雰囲気に包まれました。自然災害に見舞われた宮崎県において、この神社の祈りは地域の希望を象徴するものであり、参拝者たちに深い感動を与えました。
広島・原爆ドーム
広島の原爆ドームからは、市民によるキャンドルライトの明かりが届けられ、核兵器廃絶への願いが発信されました。戦後、この場所が平和の象徴として語り継がれてきた歴史は、世界中に強いメッセージを伝え続けています。被爆者たちの平和への思いが改めて語られ、視聴者にとっても核のない世界への願いを共有する時間となりました。
北海道・上富良野町
北海道上富良野町では、新年の風物詩「北の大文字」が夜空に浮かび上がり、さらに花火が打ち上げられる華やかな演出が行われました。300本の松明に火が灯され、厳冬の中、多くの人々がその光景に見入る姿は、新年の到来を象徴する特別なひとときでした。
大分・宇佐神宮
大分県の宇佐神宮では、10年に一度の勅使の訪問が行われる特別な年越しとなりました。参拝者を迎える仲見世では、宇佐市の特産品や伝統の宇佐飴が販売され、多くの人々で賑わいました。宇佐飴は、砂糖を一切使わない伝統製法で作られており、その歴史的背景が語られる中で、多くの参拝者に感動を与えました。
兵庫・神戸ポートタワー
兵庫県神戸市にある神戸ポートタワーでは、阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとしてライトアップが行われました。震災から奇跡的に損傷を免れたこのタワーは、町の希望の象徴として多くの人々を見守り続けています。その明かりは、新年の訪れとともに地域の復興への決意を感じさせるものでした。
大阪・関西万博会場
大阪市夢洲の関西万博会場では、会場中心部を取り囲む「大屋根リング」が紹介されました。この世界最大級の木造建築物は、日本の伝統的な工法を基に設計され、万博終了後には再利用される予定です。未来を見据えた設計が、新しい年への希望を感じさせるシーンとなりました。
宮城・箟峯寺
宮城県涌谷町の箟峯寺では、農家の人々の1年を象徴する五穀豊穣や家内安全を祈る護摩祈祷が行われました。この祈祷は、農業と密接に関わる地域の信仰を感じさせるものであり、新年への感謝と希望が交差する重要な場面でした。
広島・多聞院
広島市の多聞院では、被爆で焼失した鐘楼が改めて紹介されました。爆心地付近の砂を用いて鋳造された鐘が響き渡り、平和への祈りが込められた時間は視聴者に深い感動を与えました。
【まとめ】
2024年の「ゆく年くる年」は、全国各地の多様な祈りの姿を通じて、視聴者に深い感動を与えました。それぞれの中継地点で伝えられた祈りと希望の光景は、日本の伝統と未来への願いを象徴するものでした。来年も新たな希望を胸に迎える準備ができたのではないでしょうか。
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