新たな“軍拡時代”到来か トランプ政権が揺さぶる世界|2025年4月8日放送まとめ
2025年4月8日放送のNHK「クローズアップ現代」では、トランプ政権の復活によって揺れる世界の安全保障と、それに直面するウクライナやヨーロッパの動きが取り上げられました。放送時間は19時30分から19時57分までの27分間。テーマは「新たな“軍拡時代”の到来」です。アメリカの支援縮小、ウクライナの危機、ヨーロッパの再軍備。今、世界は大きな転換点に立たされています。放送後にはさらに詳しい情報をお届けする予定です。
トランプ政権の“政策転換”で深まるウクライナの危機
アメリカのトランプ大統領は、各国への関税措置を相次いで打ち出し、世界の市場に大きな影響を与えました。その矛先は、戦争のただ中にあるウクライナにも向けられています。
アメリカはウクライナへの支援を一時停止する動きを見せ、これまで頼ってきた資金や物資が止まる事態が起きています。
東部のシェフチェンコボ地区では、復興の柱となっていたUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)による支援が停止されました。この地区では昨年だけでもおよそ1億5000万円が提供され、インフラや学校の復旧に使われてきましたが、今は資金が尽きています。
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学校の再建には約2億円が必要ですが、地区の予算では足りずに工事が中断
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ロシア軍が残した地雷の撤去も、人員や機材の不足で作業が遅れ
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地域の生活再建も進まず、避難した住民の大多数が戻れていない
こうした状況の中で、アメリカの軍事支援にも陰りが見えています。今年2月にはトランプ大統領とゼレンスキー大統領が会談を行いましたが、会談は口論に発展。その直後、アメリカは軍事支援と機密情報の提供を一時停止しました。
戦場に直接の影響が出るなか、不安の声が広がっています。支援がなければ、ロシアに対して抵抗を続けることは難しくなるという見方が強まっているのです。
武器不足と脱走兵、ウクライナ兵士たちの厳しい現実
ウクライナでの戦いは長期化し、兵士たちにかかる負担も限界に達しています。特に前線では、武器や弾薬が慢性的に不足し、兵士たちはロシア軍の圧倒的な攻撃力の前に苦しんでいます。
番組では、侵攻直後に志願した元女性兵士の現実が紹介されました。彼女の部隊でも装備は足りず、次第に精神的にも追い詰められ、今年2月に軍の許可なく前線から離脱しました。
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このような兵士の離脱は、現在では10万人以上にのぼるともいわれています
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ウクライナ軍の平均年齢は43歳。若い志願者が減り、高齢化が進行中
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精神的にも体力的にも限界の中で、戦い続けることへの疑問と葛藤が募る
しかし、その女性兵士は軍を離れた今も、部隊の仲間のことを思い続け、「また軍で働きたい」という気持ちを持ち続けているそうです。戦場に立つ兵士一人ひとりが、自分の中にある矛盾と戦いながら過ごしています。
ヨーロッパ各国が踏み出した“再軍備”の決意
トランプ政権の方針転換により、**ヨーロッパ諸国はアメリカ依存からの脱却を急ぎ、安全保障体制を自ら構築する動きを強めています。**先月にはフランスとイギリスが合同で軍事訓練を実施し、鉄道の奪還といった都市戦を想定した実戦的な内容が行われました。
また、EUは総額127兆円規模の再軍備計画を発表し、防衛力の強化に本腰を入れ始めました。マクロン大統領は「ヨーロッパ独自の安全保障を築く」と宣言し、フランス国内では軍需工場の稼働が加速。国防費も前年比2割増と大幅に拡大しています。
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フランスは現在、約300発の核弾頭を保有しているとされ、それをヨーロッパの安全保障に活用する方針も
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マクロン政権のもと、核を含めた抑止力をヨーロッパ内に確保する意志が鮮明
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フィンランドはロシアとの国境に200キロにわたるフェンスを建設中
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国防費は1兆円に増加し、福祉・医療費を2000億円削減してでも防衛を優先
これらの動きは、「平和な時代は終わった」というヨーロッパ全体の危機感を反映しています。EU内では、対人地雷やクラスター弾の使用を再検討する国も出てきており、現実路線へのシフトが加速しています。
価値観の違いとアメリカの“孤立化”
今回の番組で強調されていたのは、アメリカとヨーロッパの間に生まれた価値観のズレです。ヨーロッパ各国は、ここ3年にわたりアメリカと歩調を合わせてウクライナ支援を行ってきましたが、トランプ政権の発足からわずか3か月でその足並みが崩れました。
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フランスはアメリカへの投資停止を呼びかけ
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イタリアのメローニ首相は関税措置に懸念を示しつつも、慎重な対応を求める立場
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EUは報復関税も視野に入れつつ、まずは対話を重視
兵頭慎治さんは、「ヨーロッパの安全保障は長年アメリカ主導のNATOが担ってきたが、それに依存せず自分たちで守る体制を本気で考えなければならない」と述べています。アメリカの国際社会への関与が低下する中で、今後どこまでその動きが広がるのかが注目されます。
戦争を終わらせるために、元兵士が語った想い
番組の最後には、元兵士が語った心の内が紹介されました。軍を離れた今でも、仲間の姿が忘れられないと話し、停戦については「亡くなった仲間に恥じないように、この戦争を終わらせなければならない」と強い想いを口にしていました。
停戦はただの終戦ではなく、犠牲を乗り越えた責任ある決断。その重みを、一人ひとりが背負っているのです。
放送後にはさらに詳しい内容を反映した続報をお届けします。ヨーロッパ、ウクライナ、そして世界全体が迎えているこの転機を、私たちも真剣に見つめていく必要があります。
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