教えて先輩たち!湊かなえ・坂井真紀・伊達公子が語る悩みとの向き合い方と60代の過ごし方|2025年4月7日放送
2025年4月7日(月)放送の『あさイチ』では、人気企画「教えて先輩たち!」の第5弾が放送されました。今回登場したのは、小説家の湊かなえさん、俳優の坂井真紀さん、元プロテニスプレーヤーの伊達公子さんの3人。それぞれの人生経験をもとに、視聴者の悩みに真剣に答える内容となりました。放送時間は短縮されましたが、心に残る言葉が多く、視聴者の背中をそっと押してくれるような優しさにあふれていました。
湊かなえさんの悩みへのアドバイスと人柄を深掘り
湊かなえさんは、これまで20作品以上が映像化され、「告白」では2009年に本屋大賞を受賞した実力派作家です。今回の『あさイチ』では、「人と比べて落ち込んでしまう」という誰もが経験する悩みに対し、自身がどのように気持ちを切り替えているのかを具体的に語りました。
湊さんのアドバイスは、実践しやすく、少しユーモラスでもあり、多くの視聴者の心に届いたはずです。特に印象的だったのは以下の点です。
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「体が痛いと、対人関係がどうでもよくなる」と話し、身体的な不調が優先されることで、妬みやひがみといった感情が自然と薄れていくことに気づいた経験を明かしました。
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「一休さんの主題歌を歌う」ことで、気持ちをリセットしているとのこと。真面目なテーマの中に、こうした遊び心を取り入れる姿勢が湊さんらしさを感じさせます。
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「外に出ることが大事。足を止めて萎縮するのは良くない」と強調し、気持ちの切り替えには行動が必要だと伝えていました。
こうした考え方の背景には、作家としてだけでなく、田舎の長男の嫁として生活してきた経験も深く関係しています。
湊さんは、自らの新作『C線上のアリア』を通して、介護という重いテーマを扱いながら、「日本では、介護や家事といった行動に、愛や絆といった感情を重ねてしまいがち」だと指摘しました。
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「できないこと=愛がない」と考えてしまうことが苦しさにつながる
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行動と感情は必ずしもセットではないという視点が必要である
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家族という関係であっても、上下関係や主従関係にならず、個人同士としての距離感を大切にすることが精神的な安定につながる
これらの考えは、湊さん自身が家庭での人間関係に悩みながら、距離の取り方や心の持ちようを工夫してきた実体験に基づいています。
また、こうした経験が作品に深く反映されているからこそ、湊さんの描くキャラクターや物語にはリアリティがあり、多くの読者の共感を呼んでいるのだと感じられました。
湊さんの言葉は、感情に支配されがちな日々において、少しでも冷静に自分を見つめ、他者と比較せずに生きるヒントを与えてくれるものばかりでした。
気持ちの切り替えに悩む人にとって、日常に取り入れやすく、すぐに実践できる行動の数々が紹介された今回の内容は、とても意義のあるものでした。
坂井真紀さんの人生観と優しさを深掘り
坂井真紀さんは、モデルとして芸能界に入り、その後俳優として数々の作品に出演してきました。シリアスな役から、宇宙人をテーマにしたドラマのようなユニークな作品まで演じ分ける幅広い表現力を持ち、41歳での出産を経験してからは、仕事と育児を両立する日々を送っています。
「思い通りにいかないとき」について、坂井さんは20代の頃、自分の失敗をいつまでも引きずってしまう性格だったことを振り返りながら、「引きずることは悪いことではない。ちゃんと考えている証拠」と受け止め方を変えてきたことを明かしました。
その考え方には、焦らずに自分の心と向き合う時間の大切さが込められており、視聴者にとっても安心できる視点です。
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「小さな光を見失わなければ大丈夫」という言葉は、目の前が真っ暗に感じるときでも、一筋の希望を見つけて前に進む力を思い出させてくれます。
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この“光”は、大きな成功や派手な出来事ではなく、日々の中にある小さな出来事や気づきであるという点に、坂井さんの温かい人柄が表れています。
また、育児と仕事を両立する難しさについても、具体的なエピソードが紹介されました。
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子育て中の親から「自分だけができていないように感じてしまう」という悩みに対して、坂井さん自身も同じように感じることがあると明かしました。
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「声が出ないとできない仕事をしているから、子どもが咳をしているだけで距離を取ってしまう」という切実な場面も語られ、現実的な苦労がリアルに伝わってきました。
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そうした中でも、「1人ではできない。誰かに助けてもらいながら、感謝できることを探す」という姿勢を大切にしていると話していました。
日々の中で完璧を求めすぎず、周囲に頼ること、そしてその中で感謝の気持ちを持ち続けることが、坂井さんの生き方の軸になっていると感じられました。
さらに、今回の放送では「60代をどう迎えるか」というテーマにも触れ、坂井さんは、「更年期という言葉をあまり意識しないようにしている」「落ち込むことがあっても、感謝の気持ちを忘れずに前向きに過ごしたい」と語りました。
無理に気持ちを上げようとするのではなく、自分の気持ちに寄り添いながら、心の中にある“感謝”に目を向けていくこと。それが、どんな年代でも楽しく生きるためのヒントであると感じられました。
伊達公子さんの強さとしなやかさを深掘り
伊達公子さんは、日本の女子テニス界をけん引してきたトップアスリートのひとりです。ウィンブルドンで4位という成績を収めた後、一度は引退。しかし40歳で現役復帰し、46歳までプロとして世界で戦い続けたという異例のキャリアを持っています。現在はテニスの指導者としても活動しながら、3年前には再婚を経験し、人生の新たなステージも歩んでいます。
結婚については、現役時代とは違った視点で語られました。
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「ケンカをしても2時間以内に終わらせる」というルールを大切にしているとのことで、夫婦間の感情の整理とコミュニケーションの工夫がうかがえます。
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過去の結婚についても「前の夫との関係も否定しない」と語り、過去を受け入れる姿勢や、自分の人生の一部として大切にしていることが印象的でした。
さらに、「思い通りにいかないとき」の捉え方についても、伊達さんならではの考えが示されました。
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「失敗のあとには気づきがある」「とことん考えて、同じ失敗を繰り返さないようにする」という言葉からは、アスリートらしい粘り強さと向き合いの深さが感じられました。
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不妊に悩んだ過去についても率直に語り、「子どもがいない人生は受け入れがたい人もいる」としながらも、同じ境遇の仲間と支え合えたことが救いだったと振り返りました。益子直美さんや陣内貴美子さんと気持ちを共有し合えたことが、心の支えになったとのことです。
身体的な悩みについては、日常生活にも役立つアドバイスが紹介されました。
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「肩甲骨を動かす運動が肩こりに効く」「肋骨が前に出ないように意識して、腕を上下させて動かす」という、シンプルながら効果的な体操が紹介されました。
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さらに、伊達さん自身が「ラジオ体操を週2回やっていたが、真面目にやるときつくて続かなかった」という話も披露。完璧を目指さず、自分のペースで体を動かす大切さを伝えてくれました。
年齢を重ねる中での体との向き合い方にも、伊達さんらしい前向きな姿勢が表れています。
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「衰えを“更年期”と受け止めると老いを意識しすぎてしまう」「体調が悪い日があるだけと思えば、気持ちが楽になる」という考え方は、多くの人にとって励ましになったことでしょう。
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また、「体の自然な衰えのカーブをできるだけ緩やかにするために、代謝を上げる努力をしている」と話しており、年齢に逆らうのではなく、丁寧に体と向き合っている姿勢がうかがえます。
伊達公子さんの言葉からは、勝ち負けだけでなく、自分の体や心の声に耳を傾けて行動することの大切さが強く伝わってきました。力強さの中にしなやかさを併せ持つその生き方は、年齢や立場を問わず、多くの人にとって生きるヒントになったのではないでしょうか。
60代を楽しく生きるためのヒント
番組の後半では、「60代を楽しく生きるには?」というテーマで、それぞれが自分の考えを語りました。
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湊かなえさん:「新しく始める気持ちが出会いにつながる」と前向きな姿勢を強調
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坂井真紀さん:「更年期を気にしすぎない」「落ち込んでも感謝を忘れずに」
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伊達公子さん:「体の不調を“老い”と結びつけない」「代謝を上げ、カーブを緩やかに保つ努力が大切」
どの意見も、“年齢にとらわれない生き方”のヒントにあふれており、視聴者に希望を与える内容でした。
食の話題や宇宙人の話も
少しユニークな話題として、3人の「好きなみそ汁の具」も紹介されました。伊達さんはなめこと豆腐(ただしネギは苦手)、坂井さんはじゃがいも、湊さんはお揚げ。湊さんはいなり寿司用のお揚げも味噌汁に使うほどの“お揚げ愛”を語りました。
また、坂井さんが「宇宙人は信じたい」と語り、ドラマ共演者のUFO体験に触れた場面もありました。科学とは違う視点で語られる話題が、番組に柔らかさと余白を加えていました。
まとめ
今回の『あさイチ』では、人生の先輩たちが悩みや不安に真剣に向き合い、経験から生まれた温かな言葉を届けてくれました。
湊かなえさんのユーモアと観察眼、坂井真紀さんの優しさと強さ、伊達公子さんの行動力と誠実さ。どの言葉にも実感が込められており、多くの人の心に響いたのではないでしょうか。
これから60代を迎える人、今まさに悩んでいる人にとって、「前に進むためのヒントが見つかる40分間」だったことは間違いありません。
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