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【NHKスペシャル】地球温暖化の脅威を訴えるスノーマンレース|天空の秘境ブータンからの警鐘【1月19日放送】

ドキュメント

秘境ブータン 天空を駆ける|2025年1月19日放送の全内容まとめ

2025年1月19日に放送された「NHKスペシャル『秘境ブータン 天空を駆ける』」は、ヒマラヤ山脈を舞台にした超過酷なレース「スノーマンレース」を追いながら、ブータンの美しい自然とそこに潜む気候変動の脅威を世界に伝える特別なドキュメンタリーでした。ブータンの秘境で行われたこのレースは、ただのスポーツイベントではなく、選手たちが自然と向き合い、地球の未来を考えるための重要なメッセージが込められたものです。

ヒマラヤの大地を走る「スノーマンレース」とは?

スノーマンレースは、ブータン国王が考案した世界的にも珍しいレースで、全長186kmにおよぶ道のりを5日間かけて走り抜けるという超高地レースです。

  • 平均標高は4200mにも達し、空気中の酸素は平地の半分ほど

  • 参加者はブータン人選手7名と、海外から集まったトップ選手9名(アメリカ、ドイツ、ノルウェー、バングラデシュなど)

  • 合計30名が参加したが、初回大会では12名がリタイア

  • コースは標高5000mを超える峠や谷を含む非常に厳しい地形

1日目には、標高5180mのカルチェン峠を通過するなど、序盤から難所が続きます。それでも、選手たちは自らカメラを持ち、体験を記録しながら走り続けました。彼らの走るそばには氷河がとけてできた氷河湖が広がり、その風景の美しさとは裏腹に、気候変動による災害の危険性が潜んでいます。

氷河湖の決壊がもたらすブータンの危機

氷河湖は、ヒマラヤの水源として人々の暮らしを支えていますが、近年は温暖化によりその湖が決壊する危険が高まっています。実際に1994年には、氷河湖の決壊によって100キロ離れた寺院までが破壊され、21人の命が奪われたという大災害が発生しました。

  • 氷河湖は美しいが、気候変動で年々リスクが高まっている

  • スノーマンレースは、こうした現実を世界に知らせるために企画された

  • 国王ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク自らが発案

1日目は全員が無事に完走しましたが、参加者たちはこの地の自然が持つ力と脆さを、身をもって感じ取った様子でした。

2日目:キリマンジャロから来た選手の決意と地元の声

2日目のレースは朝6時にスタート。選手たちは標高7000m級の山々に囲まれた谷を進みます。この日、注目されたのがタンザニアから来たサイモン選手の存在です。

  • サイモン選手はキリマンジャロのふもとで育ち、氷河の消失と水不足の問題に直面してきた

  • ブータンの氷河湖と同じような問題を抱えていることに気づき、レースを通じてその声を届けたいと参加

彼はレースの途中で自ら現地の映像を撮影し、気候変動についてのリポートを発信していました。地元の人々も彼の行動を歓迎し、2日目のゴール地点ではルナナ小学校の子どもたちが温かく出迎えました。校長先生は、「世界中の人に気候変動の問題を伝えてほしい」と選手たちに訴えました。

3日目:5000mの高地を走る最難関ルートと危険な氷河湖

3日目はこのレースでもっとも過酷とされるコースで、標高5000mの高地を12kmにわたって走ります。酸素が薄く体力の消耗が激しいため、選手の体調に異常が出た場合にはヘリコプターで緊急搬送する体制が取られていました。

道中では村人が温かいお茶を持って待っていて、選手たちは自然の厳しさと人の温かさを同時に感じながら進みました。

この村の背後には3つの氷河湖があり、ひとたび決壊すれば村が水没する可能性があります。ブータン国内には、同様に危険性の高い氷河湖が少なくとも17ヶ所存在しており、とくに「トルトミ湖」と「ラフストレン湖」は危険度が高いとされています。

  • 土手の地下で氷が溶けており、内側から崩壊が進行中

  • このままでは土手が崩れ、かつてない規模の洪水が発生する恐れ

3日目も全員が無事に走りきり、参加者の間には達成感とともに、自然への畏怖の念が深まりました。

最終日:レースの結末とその先にあるメッセージ

レース4日目、ついに最後の区間を迎え、完走した選手たちは互いに健闘をたたえ合いました。

  • 総合優勝はサンゲイ・ワンチュク選手(ブータン)

  • 女子1位はロザンナ・ブハワー選手

この過酷な5日間を通じて、選手たちは自らの体験を通じて気候変動を実感し、それを世界へ伝えようという強い想いを持つようになりました。レース後、参加者たちはSNSなどを使って、ブータンの自然が直面する問題や自分たちの体験を広く発信し続けています。

ブータンでは2024年の年平均気温が観測史上最高となり、今世紀末までに氷河の75%が消失するという予測も出ています。スノーマンレースは、そうした現実に目を向けるための大切なメッセージを、選手の走る姿を通して届けていました。

おわりに

「秘境ブータン 天空を駆ける」は、ただのドキュメンタリーではなく、自然の美しさと同時にその脆さを伝える深い意味を持った番組でした。スノーマンレースという極限の挑戦を通して、ブータンの自然環境と、私たちが直面する気候変動の現実が浮き彫りになりました。走ることを通して地球の未来を考えるこの番組は、子どもから大人まで、多くの人の心に届く内容となっていました。

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