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【新プロジェクトX】白鷺城はよみがえった!姫路城「平成の大修理」6年間の壮大な挑戦とは【2025年2月8日】

ドキュメント

400年の歴史を未来へつなぐ!姫路城「平成の大修理」の壮大な挑戦

姫路城は、日本で初めて世界文化遺産に登録された国宝です。白い漆喰に包まれたその美しい姿から「白鷺城」とも呼ばれ、多くの人に愛されています。しかし、長年の風雨や台風の影響で壁や屋根が傷み、歴史的建造物としての価値を守るため、2009年に大規模な修理が始まりました。これが「平成の大修理」です。
この修理には約1万4,000人もの職人が関わり、日本の伝統技術を駆使して姫路城をよみがえらせました。今回の「新プロジェクトX」では、その壮大な修復の舞台裏が紹介されます。

平成の大修理とは?目的と概要

「平成の大修理」は、2009年6月から2015年3月にかけて行われた姫路城の保存修理工事です。主な目的は以下の通りです。

  • 劣化した屋根瓦の全面葺き直し
    姫路城の屋根には約7万5千枚もの瓦が使用されており、それらをすべて取り外して検査し、再利用できるものは戻し、損傷が激しいものは新たな瓦に交換しました。瓦の下に敷かれた土も劣化していたため、新しく詰め直し、雨漏りしにくい構造に改良しました。また、瓦の固定には従来の手法に加えて、より耐久性の高い固定方法を採用し、台風や豪雨に強い屋根へと補強しました。
  • 外壁の漆喰塗り直し
    姫路城の美しい白壁を支える漆喰は、雨風や紫外線の影響を受けやすく、50年に一度は塗り替えが必要とされています。今回の修理では、漆喰の厚みを適正にし、より耐久性の高い配合の漆喰を使用しました。これにより、見た目の美しさだけでなく、壁の耐久性も向上しました。特に、塗り直しの作業では、熟練の左官職人が手作業で塗り上げ、400年前と変わらない技法を用いることで、姫路城の伝統的な雰囲気を守りました。
  • 耐震補強と構造補強
    姫路城は築城当時の木造構造をそのまま残しているため、地震に対する補強が必要でした。今回の修理では、柱の接合部分に鋼板を設置し、耐震性を強化しました。さらに、構造材の一部に補強材を追加し、城全体の強度を高める工夫が施されました。特に、木材の修復では、できる限り元の木材を再利用し、伝統的な「木組み」の技術を活かして補修が行われました。
  • 鯱(しゃちほこ)の新調
    天守閣の最上部には、一対の鯱(しゃちほこ)が設置されています。これは、火災から城を守るとされる縁起物ですが、長年の風雨によって劣化が進んでいました。今回の修理では、従来の技法を踏襲しつつ、新たな技術も取り入れて、より耐久性のある材質で新調されました。

これまで何度も修理が行われてきた姫路城ですが、今回は特に「400年前の姿をそのまま残す」ことを重視し、可能な限り元の材料を活かす工法が採用されました。そのため、修理に携わった職人たちは、一つひとつの作業を丁寧に行い、歴史を受け継ぐという使命感を持って取り組みました。姫路城の美しさと強さを未来へつなぐための、壮大な修復プロジェクトだったのです。

修理期間中の姫路城「天空の白鷺」

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工事中、大天守は巨大な鉄骨構造の「素屋根(覆屋)」で覆われました。この素屋根は、高さ52メートル、重さ6,000トンという規模で、姫路城の天守をすっぽりと覆う形になっていました。覆屋の外壁には姫路城の絵が描かれ、遠くから見ても美観が損なわれないよう工夫されていました。

また、この修理工事では、見学者向けの特別施設として「天空の白鷺」が設けられました。この施設の特徴は以下の通りです。

  • エレベーターで最上部まで上がれる構造
    修理現場の最上部までエレベーターで移動できるようになっており、普段は立ち入ることのできない高さから姫路城を眺めることができました。これは観光客にとって貴重な体験となり、多くの人が訪れました。
  • ガラス越しに修復作業を間近で見学できる
    作業員が瓦を葺き直したり、漆喰を塗り直したりする様子を、ガラス越しに間近で見ることができました。職人たちが伝統技術を駆使して姫路城を修復していく様子は、多くの見学者の感動を呼びました。
  • 詳細な解説パネルや映像展示
    修復工事の目的や工程を詳しく紹介するパネル展示があり、姫路城の歴史や修理の意義について学ぶことができました。また、映像コーナーでは、過去の修理の様子や職人のインタビューが上映され、姫路城の保存にかける情熱が伝えられました。
  • 来場者数は約184万人
    「天空の白鷺」は2011年から2014年の約2年10ヶ月間で運営され、その間に訪れた見学者は約184万人にも上りました。これは文化財修復の現場を公開する試みとしては異例の成功例となり、文化財保存への関心を高めるきっかけにもなりました。

このように、修理工事を単なる工事としてではなく、「貴重な歴史的体験の場」として活用する試みが、多くの人々に支持されました。「平成の大修理」をきっかけに、文化財の修復作業がより身近なものとして捉えられるようになったのです。

伝統技術と最新技術の融合—瓦と漆喰の修復

姫路城の屋根瓦は約7万5千枚使用されており、今回の修理では、それらをすべて取り外して状態を確認しました。その上で、再利用可能なものは丁寧に元の位置に戻し、劣化が激しいものは新しい瓦に交換されました。

  • 瓦の一枚一枚を職人が手作業で検査
    瓦の表面には細かなひび割れや欠けが生じており、耐久性を確保するために1枚ずつ慎重に確認されました。その際、伝統的な技法を守りつつ、最新の技術を活用した検査方法も導入されました。
  • 防水性を高めるため、下地の改良も実施
    瓦の下には「土葺き工法」と呼ばれる伝統的な工法が採用されていますが、劣化した土が雨水を吸収しやすくなっていました。そこで、新しい土を敷き直し、水はけをよくすることで防水性を向上させました。また、台風や大雨にも耐えられるよう、瓦の固定方法を強化しました。
  • 漆喰の塗り直しで白亜の輝きを取り戻す
    姫路城の特徴である白壁は、雨風や紫外線の影響を受けやすいため、50年に一度の塗り替えが必要です。今回の修理では、従来よりも耐久性の高い漆喰を使用し、より長持ちする白壁へと仕上げました。
  • 職人の手作業による緻密な仕上げ
    漆喰の塗り直しは、熟練の左官職人が行い、一つひとつ手作業で仕上げました。厚みを均一に保ちつつ、城の美しさを損なわないようにするため、何度も塗り重ねる作業が行われました。
  • 細部までこだわった色調の調整
    新しく塗られた漆喰は、時間が経つにつれて独特の風合いを帯びるため、城全体の色合いが均一になるよう調整されました。白すぎると人工的な印象になってしまうため、できる限り自然な仕上がりになるように職人が調整を重ねました。

このように、伝統的な技術と最新の工法を融合させることで、姫路城の美しさを守りながら、耐久性も向上させることができました。修理が完了した現在、その白亜の輝きはより一層際立ち、多くの観光客を魅了しています。

修理に携わった職人たちの想い

今回の修理には、日本全国から集まった1万4,000人以上の職人が携わりました。中には数十年の経験を持つ熟練職人もいれば、これから技術を学び成長しようとする若手職人も多くいました。彼らは伝統技術を守りながら、新しい世代へと技術を継承するという大きな役割を担っていました。

  • 瓦職人たちの挑戦
    瓦の修復では、約7万5千枚の瓦を一度取り外し、再利用可能なものを厳選して戻す作業が行われました。職人たちは一枚一枚を手作業で検査し、微細なヒビや割れを見逃さないように慎重に確認しました。また、雨風に強い屋根を作るために、瓦の固定方法を見直しながら伝統的な技法を活かした工法を採用しました。
  • 左官職人による漆喰の塗り直し
    姫路城の美しい白壁を維持するため、漆喰職人たちが活躍しました。漆喰は、雨風や紫外線に弱く、50年に一度の塗り直しが必要とされています。塗る厚さや仕上げの滑らかさによって、壁の強度や美観が左右されるため、職人たちはミリ単位で調整しながら塗り重ねました。特に天候の影響を受けやすい外壁では、乾燥時間を計算しながら慎重に作業を進める必要がありました。
  • 耐震補強を担当した大工職人たち
    姫路城は木造建築のため、地震対策として耐震補強も重要なポイントでした。柱の接合部分には鋼板を埋め込み強度を向上させる補強が施されましたが、その工程では伝統的な「木組み」の技法を守りながら、目立たないように補強材を組み込む工夫がなされました。修理に携わった大工職人たちは、「400年前の技術を壊さずに耐震性を高める」という難しい課題に向き合い、試行錯誤を重ねながら作業を進めました。
  • 若手職人の成長と技術継承
    この修理には、若手職人たちの育成という目的もありました。経験豊富な職人が若手に技を伝え、一緒に作業をしながら伝統工法を学ぶ貴重な機会となりました。特に、漆喰の塗り方や瓦の配置などは、実際に手を動かしながら学ぶことでしか習得できない技術であり、次世代へと受け継ぐことができました。

職人たちは皆、「この城を未来に残す」という強い思いを持ち、作業に臨んでいました。彼らの丁寧な仕事によって姫路城はよみがえり、これからの世代にも受け継がれていくことになります。歴史を支えるのは、こうした職人たちの努力と誇りに満ちた技術の結晶なのです。

修理後の姫路城—美しさを取り戻した白鷺城

2015年3月27日、姫路城はついにグランドオープンを迎えました。長期間にわたる「平成の大修理」を終えた城は、見違えるほど美しくなり、かつての白亜の輝きを取り戻しました。修理前は経年劣化による黒ずみが目立ち、漆喰の剥がれもあった白壁ですが、漆喰の塗り直しにより、まるで新築のような鮮やかな白さが復活しました。

  • 屋根瓦の輝きが増し、全体の調和が向上
    屋根瓦の修復により、光を受けた際の反射が美しくなり、白壁とのコントラストがより際立ちました。以前は、部分的に変色した瓦が混在していましたが、修理後は統一感が増し、全体の印象がより洗練されたものになりました。
  • 大天守からの眺望もクリアに
    修理前は汚れや傷みが目立っていた窓枠や木部も丁寧に補修され、大天守からの景色もよりクリアに楽しめるようになりました。天気の良い日には、遠く瀬戸内海まで見渡すことができ、訪れる人々に感動を与えています。
  • 春の桜と白壁のコントラストが圧巻
    姫路城は、桜の名所としても知られています。春になると約1,000本の桜が咲き誇り、満開の桜と白壁の組み合わせはまさに圧巻の美しさです。青空の下で白壁とピンク色の桜が映える風景は、一生に一度は訪れたい絶景として多くの観光客を魅了しています。
  • 夜間ライトアップで幻想的な雰囲気に
    修理後の姫路城では、夜間ライトアップが行われるようになり、日中とは異なる幻想的な姿を楽しめるようになりました。特に、桜の季節には「夜桜会」として特別ライトアップが実施され、白く輝く天守閣と夜桜の組み合わせが幻想的な雰囲気を演出します。

修理が完了したことで、姫路城は再び「世界に誇る名城」としての輝きを取り戻しました。現在も国内外から多くの観光客が訪れ、改めてその歴史的価値と美しさを実感しています。これからも姫路城は、未来へと受け継がれながら、多くの人々を魅了し続けていくでしょう。

まとめ

「平成の大修理」は、姫路城を未来へ残すための壮大なプロジェクトでした。伝統技術と最新技術を駆使し、多くの職人の手によって白亜の名城はよみがえりました。

「新プロジェクトX 白鷺城はよみがえった」では、職人たちの情熱や修理の舞台裏が紹介されます。姫路城の美しさを守るために奮闘した人々の物語を、ぜひご覧ください。

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