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【プロフェッショナル 仕事の流儀】世界一に6度輝いた米農家・関智晴の挑戦と情熱|2024年11月27日放送回まとめ

ドキュメント

一粒青々、己を込める|2024年11月27日放送

2024年11月27日放送のNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』では、世界一に6度も輝いた新潟・南魚沼市の米農家、関智晴さん(39歳)に密着しました。農薬を使わず、自然と共生しながら米作りに挑む関さんは、かつてスノーボードのプロを目指していた異色の経歴の持ち主です。農業を嫌っていた少年が、なぜ今では“米作りのプロフェッショナル”として注目されるようになったのか。自然の厳しさに立ち向かいながら、一粒の米に情熱を注ぐ関さんの姿を詳しく紹介します。

最高の米を生む田んぼには秘密がある

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新潟県南魚沼市。日本有数の米どころとして知られるこの地で、関さんは東京ドーム約4つ分もの田んぼを管理しています。普通の農家と違うのは、その手間のかけ方。肥料は市販のものではなく、複数の有機原料を独自にブレンドし、1年間発酵させて使うという方法。これにより、稲の成長に欠かせないアミノ酸が豊富な土壌をつくり出しています。

苗の育て方にもこだわりがあります。使うのは自家採種したコシヒカリ。しかも、苗箱に敷く土の量を一般的な半分に抑えることで、1本1本の苗が太く、力強く育つようにしています。手間がかかる分、苗箱の数は倍以上になり、作業量も大きく増えます。それでも「稲に良いと思うことは何でもやる」という姿勢を貫いています。

さらに、夜10時という遅い時間に田んぼに出かけ、苗の周囲に10℃以上の水を張るという独自の工夫で、朝方の冷え込みから苗を守ります。こうした一つひとつの丁寧な仕事が、世界に誇る米を生み出しているのです。

米づくりは試行錯誤の連続

関さんの米は炊き上がると、弾力がありながらも、なめらかで心地よい粒感が口の中に広がります。そのおいしさを求めて、県外から直接買いに来るお客さんも多く、全国の名店からの注文も少なくありません。しかし、関さんはそうした注文をあえて断り、地元での販売にこだわっています

品種選びも独特で、全国からあらゆる品種を取り寄せては、自ら味を確かめます。米づくりに“正解”はなく、何度もトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、理想の一粒を追い求める姿勢が関さんの強みです。

あえて遅らせた田植えに込めた狙い

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5月下旬、周囲の田んぼでは田植えがほぼ終わっていましたが、関さんの田んぼにはまだ苗すら植えられていませんでした。それは、9月の日照時間が短い時期に稲を登熟させ、よりきめ細かく、おいしい米にするという計算によるものでした。

ただし、田植えを遅らせると、苗が育つ時期にちょうど酷暑が重なり、病気や害虫のリスクが高まります。それでも関さんは攻めの姿勢を崩さず、田植えを終えたのは6月24日という異例のタイミングでした。

生き物が暮らす田んぼが、米を育てる

関さんの田んぼには、カエルや昆虫、小さな生き物たちがたくさん暮らしています。農薬を使わないため、田んぼ全体に自然な食物連鎖が生まれ、その循環が土を豊かにするのです。こうした環境が、力強い苗とおいしい米を育てる“見えない力”となっています。

周囲からは「農薬を使わないなんて非効率だ」と笑われることもありましたが、関さんは信念を貫き、結果で示しました。2014年には父・博之さんと共に育てた米が世界一に選ばれたのです。

農業を嫌っていた少年がプロになるまで

関さんの原点は岐阜県下呂市。子どもの頃は田んぼが遊び場でしたが、高校時代には「農業は絶対やりたくない」と思っていたそうです。その反動でスノーボードにのめり込み、プロとして活躍するまでになります。

ところが、結婚して子どもを授かったことをきっかけに、実家の農業を手伝うようになります。昼も夜も働いても、日給はわずか9000円。それでも、父の背中を見ていくうちに、「この人にしかできない農業をやっている」「本当にいい米を作っている」と感じるようになりました。27歳でスノーボードの競技を引退し、農業の道を本格的に歩み始めました。

良質な米が収穫できた田んぼに多くの生き物が集まり、子どもの頃に好きだった景色がそこに広がっていたことも、心を動かすきっかけになったと語っています。

異常気象の中で迎えた試練の夏

2024年の夏はとくに厳しいものでした。稲穂に栄養を行き渡らせる大切な時期に、猛暑や天候不順が続き、雑草の勢いも強くなっていました。関さんたちはそれでも丁寧に草を刈り、追肥を行いながら稲を育てました。

お盆を過ぎて暑さが少し和らいだと思った矢先、今度は記録的な豪雨に見舞われました。全国では異常気象による品質低下や買い占め騒動など、いわゆる“令和の米騒動”とも呼ばれるニュースが飛び交います。

そんな中、関さんは例年より早く収穫する決断を下しました。アミノ酸がタンパク質に変わってしまう前に刈り取るためで、収量は減ってしまいますが、味を守るためには必要な選択でした。収穫後、しっかり乾燥させてから店頭に並べた新米は、地元の人たちから「おいしい」と好評。関さんはその声にようやく笑顔を見せました。

自分らしさを貫くことがプロフェッショナル

関さんにとって「プロフェッショナル」とは、「そのことを誰よりも好きで、情熱を持ち続けられる人」だと語ります。かつて農業を嫌っていた彼が、今では誰よりも熱く、米作りに情熱を注ぎ続けています。

今では、関さんを尊敬し、共に米作りを学ぼうとする若い農家も増えてきました。苦しみも楽しさもすべて受け入れながら、自分らしく生きる姿が、多くの人の心を打った今回の放送でした。

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