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NHK【ダーウィンが来た!】水鉄砲を撃つ謎の新種イルカ・オーストラリアカワゴンドウが世界初登場|2025年4月6日放送回まとめ

ドキュメント

世界初解明!オーストラリアカワゴンドウの水鉄砲の秘密に迫る|2025年4月6日放送まとめ

2025年4月6日放送の『ダーウィンが来た!』では、「超キュート 追跡!謎の水鉄砲イルカ」と題して、2005年に新種登録されたオーストラリアカワゴンドウの知られざる暮らしに迫りました。可愛らしい見た目と驚きの行動「水鉄砲」に注目し、取材班がオーストラリア・ローバック湾で徹底取材。世界初となる貴重な行動や親子の絆、繁殖の瞬間まで、すべてが見どころの30分でした。

第1章 世界初解明!謎の水鉄砲イルカ

番組が始まったのは9月のローバック湾。取材班はホエールウォッチングの船に乗り、ベテラン船長キャメロン・バーチさんの案内で調査をスタートしました。船を進めてまもなく、海面に姿を現したのはオーストラリアカワゴンドウです。カワゴンドウ属の中でも2005年にオーストラリア北部で新種として登録された非常に珍しいイルカで、今回が詳しく映像で記録されるのは世界初の試みです。

このイルカはアジアに生息するカワゴンドウと似ていますが、最大の特徴はクチバシのない丸い頭。その構造のおかげで、他のイルカでは見られないような水鉄砲の動作が可能になっているのです。実際に観察された水鉄砲の飛距離はおよそ5メートル。イルカが泳ぎながら、口から一気に水を吹き上げる様子は、とても印象的でした。

この水鉄砲にははっきりとした目的があります。オーストラリアカワゴンドウは、ほかのイルカに比べて泳ぎが得意ではありません。そこで、

  • 群れで動く魚に追いつくのが難しい

  • 一匹ずつ小魚をねらって狩りをしている という事情があります。

水鉄砲は、その小魚を狙う際にとても役立つ技です。水流を使って魚を驚かせたり動きを止めたりし、獲物をしっかり捉えるのです。そしておでこから発するソナーで、魚の位置を正確に把握し、無駄のない動きで仕留めます。

このソナーは、反射して返ってくる音の違いで周囲のものを認識するしくみです。しかし、

  • 複数のイルカが近くでソナーを使うと混線してしまう という問題があるため、オーストラリアカワゴンドウは単独で狩りを行うことが多いということも、今回の取材で明らかになりました。

狙っている獲物には、

  • 海底にいるゆっくりした動きの魚

  • 泥の中に隠れているカニやエビ といった、素早く逃げる心配のない相手が多く、そういった獲物を中心に食べているようです。ただし、小魚もときどき“おやつ”のように食べている姿も見られました。

また番組では、自然界の他の「飛ばし屋」たちにも注目が集まりました。

  • テッポウウオ:水の弾を口から発射して木の上の虫を撃ち落とす

  • カメレオン:長い舌を素早く飛ばして虫を捕らえる

  • ナゲナワグモ:糸を空中に飛ばし、空中で獲物を絡めとる

このように、「飛ばす」行動はさまざまな生き物に共通する狩りの工夫として進化してきたことが紹介され、オーストラリアカワゴンドウの行動もその一種であることが示されました。

番組は、これらの動物たちの動きをハイスピードカメラや音響機材で記録し、飛ばす技術の進化とその機能を詳しく解説していました。中でも、水を飛ばして獲物を制する行動を海の哺乳類が行っているという事実は、視聴者にとっても新鮮な驚きだったはずです。

第2章 一子相伝?水鉄砲ワザの秘密

ローバック湾で穏やかに暮らすオーストラリアカワゴンドウたちは、観察を続ける中でさまざまな行動を見せてくれました。ある日、海面に浮かぶ海藻を見つけたカワゴンドウが、体に巻き付けたりしながら楽しそうに遊んでいる様子が記録されました。この行動は遊び心の現れであり、自然の中で安心して暮らしていることを示しています。

湾の中では、別の種類であるバンドウイルカと一緒に泳ぐ場面も複数回確認されました。種を越えた交流が見られるのは、外敵が少なく、比較的安全な環境で暮らしているからこそ可能になる行動です。お互いに気を許し合って並んで泳ぐ姿からは、海の中での平和な時間が感じられました

オーストラリアカワゴンドウは、2〜3年に1頭というゆっくりとしたペースで子どもを産みます。そして母イルカは、約2年間にわたって赤ちゃんを育て上げるという非常に丁寧な子育てを行います。この間、親子の絆はとても強く、時には

  • 上の子どもが成長しても、しばらく母イルカのそばを離れず行動する といった行動も見られます。こうした家族単位での長い時間の共有が、親から子へ技や知識を受け継ぐ基盤になっていると考えられています。

実際、番組では水鉄砲のような行動を練習している若いカワゴンドウの姿が映し出されました。水面に向かって小さく水を吹き上げてみたり、頭の角度を変えてタイミングを工夫している様子などから、この特技が一朝一夕では身につかないものであることがよく分かりました。

さらに10月には、これまでにない数のカワゴンドウが一か所に大集合する場面が撮影されました。この異例の集結では、

  • オスとメスが腹を合わせる動きを何度も繰り返す という行動が見られ、これは繁殖の前兆行動であると解説されました。通常は小さな群れで行動する彼らが、一時的にでも大きな集団を形成するのは、繁殖期特有の行動といえるでしょう。

番組の終盤では、生後わずか1週間ほどの赤ちゃんカワゴンドウと母イルカの姿がカメラに収められました。赤ちゃんはまだ上手に呼吸することができず、

  • 母イルカが赤ちゃんを支えて水面まで浮かばせる

  • 赤ちゃんは小さな口を開けて一生懸命に息継ぎをする といった、命の誕生直後の感動的な光景が展開されました。このような映像は極めて貴重であり、自然の中で生きるイルカたちの“家族の時間”を丁寧に捉えた記録として価値の高いものです。

こうした親子の濃密な関係と穏やかな環境の中で、水鉄砲という独特な技が一子相伝のように代々受け継がれている可能性が見えてきました。今回の観察を通じて、技の習得にかかる時間と、それを支える家族の絆が密接に関わっていることがよく分かる内容となっていました。

まとめと今後の期待

今回の『ダーウィンが来た!』では、オーストラリアカワゴンドウの水鉄砲という特異な行動の意味や、狩りの工夫、親から子へ技が受け継がれる様子などが、世界で初めて詳細に記録されました。

研究には、日本のチームが最新機材を持ち込み、個体ごとのキズや模様から行動を細かく観察。こうした努力によって、まだまだ謎の多いこのイルカの暮らしが少しずつ明らかになりつつあります。

オーストラリアカワゴンドウは数が少なく、限られた場所でしか見られない貴重な生きものです。海洋汚染や人間の活動による影響から守るためには、今回のような映像を通じて多くの人がその存在を知ることが第一歩となります。

『ダーウィンが来た!』は、かわいさだけでなく、命のつながりや自然の奥深さを伝える番組として、今回も非常に充実した内容でした。次回の放送にも期待が高まります。

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