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横浜流星出演!NHKスペシャル「新ジャポニズム 第1集 MANGA」徹底解説|2025年1月5日放送

ドキュメント

はじめに

日本で生まれた“マンガ”はなぜこれほどまでに世界に刺さるのか?2025年1月5日放送のNHKスペシャル「新ジャポニズム 第1集 MANGA わたしを解き放つ物語」では、日本の漫画文化が世界中でどのように受け入れられ、影響を与えているのかを深掘りしました。横浜流星さんのナビゲートのもと、「ダンダダン」「進撃の巨人」「ONE PIECE」といった人気作品を例に挙げながら、その普遍的な物語性や世界への広がりについて紹介されました。

日本の漫画は絵柄やコマ割りの繊細さ、大人にも通用するストーリーの面白さなどから、海外でも高い人気を誇っています。 セーラームーンやドラゴンボール、ナルトやワンピースといった漫画には熱狂的なファンも多く、漫画を通して日本文化や日本語に関心を持つ人もいるのです。2024/11/07

海外で人気の日本の漫画とは?ブームの発端はあの伝説の少女 …

番組の概要

NHKスペシャル「新ジャポニズム」シリーズは、日本の文化が世界的な影響を与えている現状に迫る特集番組です。第1集「MANGA」では、マンガが世界で受け入れられている理由を徹底検証します。番組ではアニメも含め、推計10億人ものファンがいるとされるマンガの魅力について、専門家やファンへの取材を交えて紹介しています。

「ダンダダン」×世界的ヒットの背景とは?

「ダンダダン」は4年前に連載を開始した漫画で、オカルト、SF、バトル、青春という異なるジャンルを独自の形で融合した作品です。昨年アニメ化され、190の国と地域で配信されると、瞬く間に世界第2位の人気を記録しました。物語は妖怪や地縛霊など、日本の都市伝説をモチーフにした世界観が特徴的で、独特のストーリー展開がファンを魅了しています。

この驚異的な成功に関して、漫画家の龍幸伸氏と編集者の林士平氏は「海外を意識した打ち合わせは一切していなかった」と語っています。実際、原作の時点から自然に海外での評価が高かったことが印象的です。作品自体の個性とストーリーテリングの強さが、文化圏を超えて多くのファンの共感を呼び起こしたと言えるでしょう。

「ダンダダン」は、ジャンルの垣根を超えた斬新な設定と、独特のビジュアル表現が世界的なヒットに繋がった代表例として、今後もさらなる注目を集めそうです。

「進撃の巨人」×ウクライナ ー 戦火の中で響く共鳴

ウクライナの首都キーウで開催された日本のアニメソングコンサートは、戦火の続く状況下でも日本の最新アニメや漫画が人々に希望と勇気を与えていることを象徴していました。

コンサートに参加したアローナさんは、父と祖父母を残してキーウに避難していましたが、前夜に父のお店が焼失するという悲劇に見舞われました。そんな中、「進撃の巨人」の音楽が流れると、彼女は現実と重なる強い共鳴を感じたと語ります。特に、主人公エレンが巨人を殲滅することだけに囚われ、自分自身を見つめ直すシーンが心に深く響いたとのことです。

アローナさんは「この物語に自分を重ねることで、同じ痛みや葛藤を抱える他者と対話しているような感覚を覚えた」とコメントしています。「進撃の巨人」の描く葛藤と人間の内面が、現実の困難と戦う人々に寄り添い、励ましを与えていることが伝わるエピソードでした。

このように、日本の漫画が国境や文化を超え、人々の心に深く響いていることが「新ジャポニズム」の中で印象的に描かれていました。

「ONE PIECE」×ジンバブエ ー 希望の象徴となった物語

ジンバブエの地域集会場には、「ONE PIECE」のキャラクターに扮した若者たちがコスプレ姿で集結し、日本の最新漫画作品について語り合っていました。かつてイギリスの植民地だったジンバブエは45年前に独立を果たしましたが、黒人社会の形成を目指す中で孤立し、経済的混乱に直面しました。2000年代後半にはハイパーインフレーションにより深刻な物資不足が発生し、人々は日夜行列を作り続けるような状況に陥りました。

そんな厳しい現実の中で、「ONE PIECE」は多くの人々に勇気を与えています。漫画家のビルさんは長年、日本のアニメの作画を手がける一方で、「ONE PIECE」を読み続けてきました。彼が最も心を打たれたシーンは、ニコ・ロビンが「生きたい!」と叫ぶ場面です。経済混乱の最中、食料や生活必需品が不足し続けた状況下で、このシーンが脳裏に浮かび、強く生き抜く勇気を与えられたと語っています。

「ONE PIECE」は60以上の国と地域で翻訳され、世界累計発行部数は5億1000万部を超えるなど、圧倒的な人気を誇ります。その普遍的な物語性と希望を与えるメッセージが、多くの困難を抱えた地域でも響いているのです。

また、番組では40年以上にわたり日本文化を研究してきたスーザン・ネイピア氏のコメントも紹介されました。彼女は「近年の世界的混乱の中で、アメリカ中心だったエンターテインメントの在り方が変化し、日本のカルチャーへの注目度が高まっている」と指摘しています。日本の漫画が描く多様で共感しやすいキャラクターは、文化や国境を超えて人々に希望を与え続けているのです。

浮世絵×手塚治虫 ー 日本独自の表現文化の進化

浮世絵と江戸時代の創作文化

江戸時代の吉原には、家計を支えるため借金を背負い、遊女として働く女性が2000人以上いました。そんな時代に、庶民は「狂歌」と呼ばれる和歌を用いた風刺的な歌で本音を表現し、日常の鬱憤を晴らしていました。この庶民文化の中で革新的だったのが蔦屋重三郎です。

蔦屋重三郎は、多数の狂歌の中から優れた作品を厳選し、浮世絵を組み合わせて本として出版しました。このアプローチは、身分に関係なく個々の才能を引き出し、創作者を表舞台へ押し上げるものだったのです。その結果、浮世絵の表現技法は多様化し、絵師たちの技術は格段に向上しました。

この独自の視覚表現は、19世紀に海外の芸術家たちに衝撃を与えます。エドガー・ドガクロード・モネフィンセント・ファン・ゴッホなどの印象派画家は、浮世絵の影響を受けて日常生活や自然の風景を描くようになり、「ジャポニスム(Japonisme)」と呼ばれる文化ムーブメントが誕生しました。

戦後漫画の原点「手塚治虫」の革新性

戦後、手塚治虫は漫画表現に革命を起こしました。彼の代表作『新宝島』は、映画的なコマ割りと躍動感のある描写で、従来の漫画表現を一新しました。当時、日本の出版物はGHQの検閲下にありましたが、手塚治虫は赤本(廉価な漫画本)で自由に創作活動を続けます。

この赤本の登場が、日本漫画の新たな創造の場を生み出しました。のちにこの赤本を手にした無名の漫画家たちトキワ荘に集まり、後の日本漫画史を代表する名作が次々と誕生していったのです。

手塚治虫は自身の漫画作りについて、「テーマとは、自分自身が本来持っている主張を作品で表現すること。アイデンティティを確かめるために描かざるを得なかった」と語っており、自己表現の手段としての漫画の可能性を追求していました。

「ダンダダン」成功までの苦難と編集者の支え

「ダンダダン」は、漫画家の龍幸伸氏が7年もの間、連載を持てなかった苦難の時期を乗り越えて生み出された作品です。その背後には、編集者の林士平氏の支えがありました。

林氏は、龍氏自身の中から物語が自然に湧き出してくるまで、辛抱強く待ち続けたと語っています。編集者として、無理に作品を生み出させるのではなく、作家の内面から出てくるアイデアを尊重する姿勢を貫いてきました。

また、林氏はこれまで多くのヒット作に関わってきた実績がありながらも、「このエンタメ業界は本当にうまくいかないことだらけ」と率直に語ります。それでも「漫画家が良い作品にたどり着けると信じて続けるしかない」と、作家への強い信頼と情熱を持ち続けています。

さらに林氏は、「僕自身はマンガの神様に嫌われるような行いはしないでおこうと思っている」と、編集者としての誠実な姿勢を示しています。作品の完成度だけでなく、漫画家との信頼関係や誠意を大切にする姿勢が、「ダンダダン」の世界的ヒットを生み出す土台となったのです。

新ジャポニズム×世界の新たなクリエーター

インドネシアのコスプレ文化とBLマンガの波

人口の約9割がイスラム教徒のインドネシアでは、厳しい宗教的戒律の中でも、日本のマンガやアニメ文化が根付いています。特に、女性が髪の毛や肌を露出することが禁止されている中で、コスプレ文化が広がりを見せています。

各地のショッピングモールでは毎週のようにマンガ・アニメイベントが開催され、WIBU(ウィブ)と呼ばれる熱狂的なファン層も誕生しています。2024年11月にはジャカルタでインドネシア最大級のイベントが開催され、日本のマンガに影響を受けた同人誌が注目を集めました。

特に話題となったのが、Boys Love(BL)ジャンルの人気上昇です。BLマンガはイスラム教の価値観ではタブー視される同性愛表現を含んでいるため、特に性的描写のある作品は規制対象とされています。それでも、BLマンガを描き続けるカイさんは、日本の作品「佐々木と宮野」に触れたことをきっかけにBL創作を始めました。

カイさんは12歳の頃から自身の性的指向に悩み続けていたといいます。しかし、BL作品の存在が自分の気持ちを肯定的に受け入れられるきっかけとなり、「幸せに生きられる場所をようやく見つけた」と語りました。宗教的制約の中でも新しい価値観が広がりつつあり、「世代が変われば、世界も変わる」と前向きに語っています。

ジンバブエの新たなマンガ雑誌創刊の挑戦

ジンバブエでも、日本のマンガ文化に影響を受けた新たな動きが生まれています。3年前、自費出版で9人の漫画家が参加した新しいマンガ雑誌が創刊されました。現在も投稿希望の作家が次々と現れ、ローカルな創作活動が活発化しています。

この動きの中心人物の一人が、漫画家のオーウェンさんです。彼の地元ズバラセクワはジンバブエ国内でも特に貧しく、過去には差別を受け続けてきた地域です。オーウェンさんは自分の地域の伝承や文化に誇りを持ち、「ズバラセクワの物語をマンガで表現したい」という想いから創作を始めました。

彼が描いた最初のマンガは、ズバラセクワの伝承を題材にした作品でした。オーウェンさんは「自信を持てない人々を鼓舞したい」と語り、マンガを通じて強いメッセージを伝え続けています。登場人物の感情表現やストーリーテリングを通じて、多くの人に希望と勇気を与える作品作りを目指しているのです。

MANGA×未来 ー デジタル化がもたらす新たな可能性

紙からデジタルへの移行と林士平氏の挑戦

漫画編集者の林士平氏は、6年前に雑誌編集からデジタル版の編集担当に転向。従来の紙媒体と異なり、デジタルプラットフォームではより多くの作家の作品を同時に掲載できるため、多様な作品と作家にスポットライトを当てることが可能となりました。

林氏は「まだプロになっていない作家たちを、どうやってプロに育て上げられるかが大きな挑戦」と語り、デジタルの特性を活かした新たな創作の場を築こうとしています。

韓国のWebtoon成功とグローバル戦略

一方、韓国ではスマホ特化型の縦スクロールマンガ(Webtoon)が急速に普及しています。徹底したマーケティング戦略とデジタル最適化により、韓国のWebtoonはグローバル市場を席巻しており、マンガの新たな表現手法として注目を集めています。

日本でもデジタル化の波が押し寄せる中で、林氏は「商業的成功だけでなく、作家一人ひとりが自分の描きたい作品を発表できる環境作りが大切」と語り、デジタルの特性をクリエイター支援に活用しています。

京都精華大学での教育活動と次世代育成

林士平氏は、日本国内で数少ないマンガ専門学部を持つ京都精華大学にも招かれ、次世代の漫画家育成にも積極的に取り組んでいます。学生たちに対しては、「日常の中で描きたいものを自分の内側から湧き出させることが重要」とアドバイスしています。

さらに、林氏は2025年4月から新人漫画家のためのクリエイター支援アパートの運営を開始します。創作活動に集中できるよう、生活費のサポートを提供し、作家が経済的な不安を抱えずに自由に表現できる環境を整備しています。

「理想は、作家が自分の描きたいものを自由に表現しながら生活していける環境を作ること」と語り、漫画文化の未来を見据えた取り組みを続けています。

グローバル展開とアメリカの動向

さらに、アメリカのロサンゼルスでは、日本の人気漫画を原作とした新作アニメの製作が進められており、日本のコンテンツが国際的な広がりを見せています。

まとめ

NHKスペシャル「新ジャポニズム 第1集 MANGA わたしを解き放つ物語」は、日本の漫画が持つ普遍的な物語性と表現の自由が世界中の人々に影響を与えていることを紹介しました。ダンダダン、進撃の巨人、ONE PIECEなど、ジャンルを超えた作品の魅力や、手塚治虫の創作背景、浮世絵の歴史まで、多面的に解説された内容でした。

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