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NHK【大追跡グローバルヒストリー】幕末イギリス密航!謎のサムライチームを追う|1月6日放送

はじめに

2025年1月6日放送のNHK総合「大追跡グローバルヒストリー」では、「幕末イギリス密航!謎のサムライチームを追う」と題し、江戸時代末期に密航しイギリスで学んだ“薩摩スチューデント”の歴史的エピソードが紹介されました。薩英戦争後、薩摩藩が密かに留学生を派遣した背景や、現地での学び、長州藩との交流、さらには“ワイン王”長沢鼎の波乱万丈の人生までを深く掘り下げています。本記事では、番組で紹介された内容をより詳しく解説します。

薩摩スチューデントとは?幕末密航の驚くべき背景

薩摩スチューデントとは、1865年に薩摩藩から密航でイギリスに渡った14人の若きサムライのことです。当時、日本は鎖国政策を敷いており、海外渡航は原則死罪とされていました。しかし、1863年の薩英戦争でイギリス艦隊の近代兵器に敗れた薩摩藩は「負けた相手から学ぶべき」と考え、極秘裏にイギリス留学を計画しました。密航のため、サムライたちは本名を隠し、ロンドン大学の学籍簿には「アサクラ」「ウエノ」「マツムラ」「シオダ」「スギウラ」などの偽名が記載されていました。

彼らの目的は単なる語学学習ではなく、最新の軍事技術や科学技術、政治体制の習得でした。密航を決断した背景には、薩摩藩の近代化への強い意欲と、今後の国づくりに必要な知識と技術を得る使命感があったのです。

薩摩スチューデントの密航ルートと現地での生活

1865年4月、サムライたちは密かに薩摩を出発し、約2か月の船旅を経てイギリスへ到着。当時のイギリスは産業革命の最盛期であり、急速に発展した工業都市の姿がサムライたちの目に映りました。

ロンドン到着後、サムライたちはベイズウォーター地区のアパートに共同で暮らしていました。言葉も文化も異なる中で、生活費を切り詰めながら勉学に励んでいたことが畠山義成の日記からも伺えます。

ロンドン大学での学びと極秘ミッション

薩摩スチューデントの中にはロンドン大学に正式に入学した者もいました。彼らは化学者アレキサンダー・ウィリアムソン教授の指導の下、分析化学を中心に学んでいました。ウィリアムソン教授は、日本のサムライたちの熱意に感銘を受け、自宅に宿泊させたり、日本人向けの特別授業を嘆願するなど、厚い支援を行っていました。

一方で、リーダー格の新納久脩(にいろひさのぶ)は、ロンドン大学に籍を置かず、スコットランド・グラスゴーの造船会社に潜入して軍艦の設計図を極秘に入手するというミッションに従事していました。これは、薩摩藩が将来的に最新鋭の軍艦を建造するために必要な情報を得るための任務であり、極めて危険で機密性の高いものでした。

長州藩との歴史的邂逅 ロンドンで生まれた薩長同盟の原点

ロンドンで学んでいたのは薩摩藩のサムライだけではありませんでした。同時期に、長州藩からも「長州ファイブ」と呼ばれる5人の若きサムライが同じロンドン大学で学んでいました。両藩は国内では敵対関係にあり、激しい対立の歴史がありましたが、ロンドンでは異例の友情が生まれていました。

畠山義成の日記には、薩摩スチューデントが長州藩の山尾庸三のために生活費から1人1ポンドずつカンパしたことや、両藩の若者が5時間にわたり語り合ったエピソードが記されています。さらに、当時の留学生同士の交流が、後の薩長同盟成立への布石となり、日本の近代化へとつながったのです。

最年少サムライ・長沢鼎の波乱万丈の人生

薩摩スチューデントの中でも特に注目すべき存在が、最年少の長沢鼎(ながさわかなえ)です。わずか13歳でイギリス留学に参加した長沢は、ロンドン大学ではなくスコットランドの中学校へ入学し、地理・ラテン語・英文法で優秀な成績を収めるなど、学業に励みました。

しかし、薩摩藩の財政悪化により留学資金が途絶え、長沢を含む6人のサムライはイギリスからアメリカへ渡る決断をします。アメリカでは農園で働きながら勉学を続け、やがてワイン造りに魅了されることになります。
長沢は、接ぎ木技術を独自に開発し、ぶどうの病害であるフィロキセラからアメリカのワイン産業を救う偉業を成し遂げました。1882年にはワイン販売会社を設立し、カリフォルニアワインを世界的に普及させ、「ワイン王」と称されるまでになりました。

幕末イギリス密航がもたらした日本の近代化への影響

薩摩スチューデントと長州ファイブのイギリス留学は、日本の近代化に大きな影響を与えました。

  • 技術革新への貢献:新納久脩が持ち帰った軍艦設計図は、日本の近代海軍創設の基礎となりました。
  • 教育改革の先駆け:長州ファイブの伊藤博文や井上馨らは、帰国後に近代的な教育制度を導入し、日本の教育改革に尽力しました。
  • 外交意識の向上:薩摩と長州の若者がロンドンで互いの違いを乗り越えたことが、後の薩長同盟成立と明治維新の推進力となりました。

まとめ

2025年1月6日放送のNHK「大追跡グローバルヒストリー」では、薩摩スチューデントと長州ファイブの密航留学の背景、イギリスでの学びが日本の近代化にどのように貢献したかが詳しく紹介されました。命をかけて得た学びと国際交流が、後の日本の近代化にどれだけ大きな影響を与えたかが伝わる貴重な内容でした。

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