横浜開港資料館でたどる開国の記録
2025年7月16日(水)放送の「ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪」では、神奈川県にある横浜開港資料館が登場します。この資料館は、日本が海外とつながりを持ち始めた「開国」の時代を伝える場所。今回の放送では、教科書でおなじみのペリー上陸図や、幕末の浜離宮で撮影された貴重な写真などを通じて、江戸から明治へと時代が大きく動く様子をたどっていきます。リポーターは幕末好きのビビる大木さんです。
ペリー上陸図の実物と向き合う
まず番組で取り上げられるのが、「ペリー提督・横浜上陸の図」という歴史的な石版画です。これは1854年、ペリー提督が率いるアメリカ東インド艦隊が横浜に上陸した場面を描いた作品で、随行していたドイツ出身の画家、ハイネによって現場を目撃した上で制作されたものです。この図は、長く教科書や資料集で紹介されてきましたが、実物は横浜開港資料館に所蔵されており、修復作業を経て2016年から一般公開されています。
この石版画の魅力は、何といってもその細密な描写です。全体のサイズは約66×91センチと大きく、画面には横浜の海岸に上陸するアメリカ兵たちの隊列、その背後に浮かぶ黒船、そして物見高く集まった日本の武士や庶民たちの姿が緻密に描かれています。とくに注目すべきは、画面右手に描かれた大きな「たまくすの木」です。この木は現在も横浜開港資料館の中庭に生きていて、絵と実景が約170年の時を超えて重なることで、見る人に歴史のつながりを実感させてくれます。
また、水兵たちの制服や持ち物、表情までもが細かく再現されており、現場の緊張感や荘厳な空気がそのまま伝わってきます。海岸に立つ人々の中には、驚きや不安、好奇心が入り混じった様子が見てとれ、開国という大きな変化の入り口に立たされた当時の日本の空気を感じることができます。
このように、「ペリー上陸図」はただの資料画ではなく、歴史的な場面の臨場感をそのまま封じ込めた貴重な一枚です。番組では、作品がどのように修復され、どんな環境で保管されているかといった裏側も紹介される予定です。放送では、実物を間近で見ることで新たにわかる発見や、教科書には載っていない細部の意味が明らかになることが期待されます。
番組では裏方の工夫にも注目
今回の放送では、展示室の表だけでなく、ふだんは入ることができない資料館のバックヤードにもカメラが入り、貴重な資料を守るためのさまざまな工夫や作業が紹介されます。石版画や古写真といった歴史資料は、湿気や光、時間の経過によって少しずつ傷んでしまうため、専門のスタッフたちが温度や湿度の管理を徹底しながら、丁寧に保管しています。
とくに古い石版画やガラス乾板でできた写真などは非常に繊細で、紙の裏打ちや色あせを防ぐ処置、さらに必要に応じて破れの補修や台紙の取り替えなど、細かなメンテナンスが欠かせません。番組では、こうした修復作業の一部始終や、資料を痛めないための扱い方、保存環境の工夫なども詳しく映し出される予定です。
また、資料をデジタル化して記録として残したり、コピーを活用して展示替えの際にも原本に負担がかからないようにするなど、現代ならではの保存技術も登場します。目に見える展示の裏では、こうした作業が静かに、しかし確実に積み重ねられているのです。
こうした裏方の仕事を知ることで、資料を見るときの意識も変わってくるかもしれません。一見何気ない展示にも、多くの人の手と時間がかかっていることに気づける、そんなきっかけになる回となりそうです。
放送情報まとめ
番組名 | ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪 |
---|---|
放送日時 | 2025年7月16日(水)22:00〜22:30 |
放送局 | NHK Eテレ(教育) |
訪問地 | 横浜開港資料館 |
リポーター | ビビる大木 |
語り | 中村倫也 |
情報ソース一覧
・NHK 番組公式ページ
・横浜開港資料館公式サイト
・PR TIMES ペリー横浜上陸図に関する公開情報
・Internet Museum 展示紹介
・幕末屋:浜離宮の幕末写真
コメント