青森・十和田の“梁がカンガイ深い”古民家カフェを訪ねて
NHKの人気番組「ふるカフェ系 ハルさんの休日」で今回紹介されたのは、青森県十和田市にある古民家カフェ「段ノDe」。奥入瀬渓流のすぐ近くに佇むこのカフェは、築98年のケヤキ造りの家を活かしたレトロな空間で、太く重なる梁の存在感が目を引きます。放送では、歴史的な建物の魅力と、それを受け継ぐ店主の思いにハルさんがじっくり触れていきました。
幕末の手掘りトンネルで始まる青森の旅
旅の最初に訪れたのは、幕末の時代に手作業で掘られたトンネル。現在も利用されているこのトンネルは、周囲の岩肌につるはしの跡がはっきり残っており、当時の人々の苦労が伝わってきます。機械がなかった時代に人の力だけで山を貫いた技術と情熱に、ハルさんはじっと見入っていました。この場所から、カフェ「段ノDe」への物語が静かに始まります。
風格ある古民家「段ノDe」の魅力
出し桁造りと6重の梁が作り出す壮麗な空間
「段ノDe」は昭和2年(1927年)に建てられた家を活用した古民家カフェです。出し桁造りと呼ばれる構造で、屋根を外側に張り出しているのが特徴です。中に入るとまず目に飛び込んでくるのが、6層に組まれた梁(はり)。まるで神社仏閣のような迫力で、天井を見上げるだけでも圧倒されます。
この梁は、単に建物を支えるためだけではなく、煙を逃すために屋根を高くした工夫でもあるそうです。加えて、建設に関わった人物がかつてのお札に描かれた歴史的人物と関係があるという興味深い話も登場。建物の風格は、その背景にある歴史の深さを物語っています。
家を守りたい店主の決意と地域への思い
この家をカフェとしてよみがえらせたのは、店主の椿千鶴さん。八戸から移住し、曽祖父の家を残したいという思いで2023年に「段ノDe」をオープンしました。家具や装飾は、当時使われていたものをそのまま活かしており、明治・大正期のポスターや昭和の雑誌、そして店内に流れる昭和歌謡が懐かしい雰囲気を演出しています。
また、椿さんは地元で採れた野菜や素材を使い、地域と一緒に歩む店づくりを大切にしています。店そのものが、歴史や家族の記憶、そして地域愛に満ちた場所となっているのです。
カフェで味わう昔ながらのやさしいごはん
名物は母から受け継いだ「五目おこわ御膳」
カフェの看板メニューは、「五目おこわ御膳」。これは店主の母から受け継いだ家庭の味で、1日15食限定で提供されています。おこわには野菜の煮物や鶏の唐揚げ、茶碗蒸しなど十数品のおかずが彩りよく並び、手間ひまかけたやさしい味わいが特徴です。見た目にも美しく、食べる人の心と体をほっとさせてくれます。
発酵あんこを使ったスイーツも人気
もうひとつの人気メニューは、砂糖不使用の発酵あんこを使った厚切りトースト。甘酒でつくった自然な甘さのあんこをたっぷり塗り、ドリンクと果実がセットになっています。ほかにも、発酵あんこシェイクや懐かしい味わいのカレー、ナポリタンなど、メニューも豊富です。
以下に人気メニューを表でまとめました。
メニュー名 | 内容と特徴 | 価格(税込) |
---|---|---|
五目おこわ御膳 | 煮物・唐揚げ・茶碗蒸し付き、1日15食限定 | 1700円 |
発酵あんこトースト | 甘酒仕込みのあんこ+ドリンクと果実付き | 1100円 |
発酵あんこシェイク | 砂糖不使用、自然な甘さが楽しめる | 要確認 |
ナポリタン・カレー各種 | 昭和レトロな味わい、懐かしさが人気 | 要確認 |
利用ガイドとアクセス情報
項目 | 内容 |
---|---|
店名 | 大正・昭和ロマン喫茶 段ノDe |
住所 | 青森県十和田市法量川口平49‑1 |
営業時間 | 水〜日 10:30〜16:00(L.O.15:00) |
定休日 | 月・火 |
予約 | 可(公式サイトより) |
駐車場 | あり |
週末は混雑するため、平日または事前の予約がスムーズです。特に梁の見学をじっくりしたい方には、落ち着いた時間帯の訪問がおすすめです。
おわりに
今回の放送では、家族の思いが込められた建物の力強さと、手作りの料理のあたたかさが丁寧に描かれていました。ただの古民家ではなく、歴史、家族、地域の記憶が重なった場所。それが「段ノDe」の魅力です。青森を旅する際は、この一風変わった梁に会いに、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
参考ソース一覧
奥入瀬渓流とカフェ「段ノDe」を楽しむ1日モデルコース
青森県十和田市を訪れるなら、自然の美しさと歴史ある古民家カフェをセットで楽しめる1日プランがおすすめです。奥入瀬渓流の澄んだ空気と水の音に癒され、そのあとは築98年の古民家カフェ「段ノDe」で、手作りのごはんとあたたかい空間に包まれるという流れです。移動時間や食事のタイミングもしっかり考えられており、無理なく、のんびりと満喫できる内容になっています。
朝は奥入瀬渓流からスタート
朝は早めに十和田市中心部を出発し、奥入瀬渓流へ向かいます。石ヶ戸から雲井の滝までの約7kmの区間は、苔むした岩や清流の流れ、滝のしぶきが間近で感じられる人気の散策ルートです。遊歩道は歩きやすく整備されており、ゆっくり歩いても約2時間。時間に余裕がある場合は、自転車を借りてサイクリングで巡ることもできます。途中には阿修羅の流れ、九段の滝、白糸の滝など見どころが点在しており、四季の自然をたっぷりと感じられます。
十和田湖で休憩と食事
渓流を楽しんだあとは、子ノ口(ねのくち)に移動し、十和田湖のほとりでランチタイム。湖を眺めながら、ヒメマス料理や地元名物「十和田バラ焼き」などを味わうのも良いでしょう。遊覧船に乗ることもでき、湖上からの風景はまた違った魅力があります。のんびり過ごしたら、段ノDeへの出発時間に合わせて十和田市法量地区へ車で向かいます。
午後は段ノDeで梁のある空間と五目おこわに癒される
13時頃に段ノDeに到着するのが理想です。お昼のピークを少し外しているため、比較的落ち着いて店内を楽しめます。まず目に入るのが、6重に組まれた太く立派な梁。まるで神社のような荘厳さがありながらも、木のぬくもりがやさしく包み込むような空気が流れています。店主が母から受け継いだ「五目おこわ御膳」は、十数品ものおかずが一つ一つ丁寧に盛られており、地域の食材と家庭の味が調和した特別な一皿です。
カフェ周辺の散策で締めくくり
食後は、店の裏手に広がるのどかな田園や、法量地区の小道を歩いてみるのもおすすめです。遠くには山の稜線が見え、静けさの中に鳥の声が響くような風景が広がっています。段ノDeを出発するのは15時半頃が目安で、夕方前には市街地に戻ることができます。
このコースは、自然と建物、そして人の思いがひとつにつながる内容になっており、青森・十和田の魅力をぎゅっと詰め込んだ1日になります。観光客だけでなく、地元の人にも新たな発見がある時間になるはずです。
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