“最もなりやすい”大腸がんの予防と治療最新情報|3月18日放送
日本で最も診断されるがん、それが大腸がんです。毎年15万人近くが新たに診断され、その数は増加傾向にあります。2023年のがん死亡数では約5万3,000人が大腸がんで亡くなっており、非常に身近ながんであることがわかります。
では、大腸がんにならないためにはどうすればいいのか?もし診断された場合、どのような治療法があるのか?最新の研究では、個別化医療という患者ごとの遺伝子情報を活用した治療も進んでいます。大腸がんのリスク要因や予防法、治療の最前線について詳しく解説します。
大腸がんのリスク要因
大腸がんの発症にはさまざまな要因が関係していますが、特に影響が大きいとされるのは以下の4つです。
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食生活の影響
食事の内容は大腸がんのリスクに直結します。肉類や脂肪分の多い食事、加工食品を頻繁に摂ると、がんのリスクが高まるといわれています。特に赤身肉や加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコンなど)は要注意です。一方で、食物繊維を多く含む野菜や果物、発酵食品を積極的に摂ることで、リスクを減らすことができます。 -
運動不足
運動が不足すると、腸の動きが鈍くなり、便秘になりやすくなります。これが長期的に続くと、大腸がんのリスクが上がると考えられています。デスクワークが多い人や運動習慣がない人は特に注意が必要です。 -
飲酒と喫煙
アルコールを大量に摂取すると、大腸がんのリスクが高くなることがわかっています。特に1日2杯以上の飲酒は、大腸がんのリスクを大幅に上昇させる可能性があります。さらに、タバコに含まれる有害物質が大腸の細胞を傷つけ、がんを引き起こす原因になるともいわれています。 -
遺伝的要因
家族に大腸がんの既往がある場合、遺伝的な影響で発症リスクが高くなります。特定の遺伝子変異を持つ人は、がんの発症率が通常よりも高いとされています。このため、家族歴がある人は、特に定期的な検診を受けることが大切です。
大腸がんの予防方法
大腸がんは、日頃の生活習慣を意識することで予防できる可能性が高まります。
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定期的な検診を受ける
大腸がんは早期発見すれば治療の成功率が非常に高いとされています。特に50歳以上の方は年に1回の大腸がん検診を受けることが推奨されています。便潜血検査や大腸内視鏡検査を受けることで、がんやポリープの早期発見が可能になります。 -
食生活を改善する
食物繊維を多く含む食品(玄米、野菜、果物、豆類、海藻類)を意識的に摂取することが重要です。また、発酵食品(納豆、ヨーグルト、味噌)を取り入れることで腸内環境を整え、がんのリスクを下げる効果が期待できます。 -
適度な運動を習慣化する
軽い運動を毎日続けることが、大腸がん予防に役立ちます。例えばウォーキングやストレッチを日課にするだけでも、腸の動きが活発になり、がんのリスクを減らすことができます。 -
禁煙・節酒を心がける
タバコを吸わない、飲酒を控えることも大腸がんの予防には欠かせません。特に喫煙は、多くのがんの原因となるため、可能な限り避けるのが望ましいです。
最新の治療法
大腸がんと診断された場合、現在はさまざまな治療法があります。
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内視鏡治療(早期がん向け)
がんが早期に発見された場合、内視鏡を使ってがんを切除する治療(EMR・ESD)が行われます。これにより、開腹手術をせずに治療が可能になります。負担が少なく、回復も早いのが特徴です。 -
外科手術(進行がん向け)
進行した大腸がんでは、がんがある部分と周囲のリンパ節を外科手術で切除する方法が取られます。最近では、体への負担を軽減する腹腔鏡手術も増えており、術後の回復が早くなるメリットがあります。 -
化学療法(抗がん剤治療)
手術後の再発予防や進行がんに対して、抗がん剤による化学療法が行われます。最近では、副作用を抑えながら高い効果を発揮する新しい薬も開発されています。 -
分子標的療法(個別化医療)
最近注目されているのが、遺伝子情報を活用した「個別化医療」です。患者ごとの遺伝子変異に合わせて、最も効果的な治療薬を選択する方法です。例えば、BRAF V600E変異を持つ大腸がんには、エンコラフェニブとセツキシマブの併用療法が有効とされています。 -
放射線治療(直腸がん向け)
特に直腸がんでは、手術前後に放射線治療を組み合わせることで治療成績が向上しています。がんの大きさを小さくして手術をしやすくする効果もあります。
まとめ
大腸がんは日本で最も多く診断されるがんのひとつですが、早期発見と適切な治療で生存率を大きく向上させることができます。
日常生活でできることとして、定期的な検診、食生活の改善、適度な運動を心がけることが重要です。特に個別化医療が進んでおり、一人ひとりの体質や遺伝情報に基づいた治療が可能になりつつあります。
早期発見を心がけ、適切な治療を受けることで、大腸がんを克服できる可能性が大きく広がっています。
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