骨粗しょう症「検診で女性を救え!早期発見で骨折回避を」
2025年6月2日(月)20時30分から放送されるNHK Eテレ『きょうの健康』では、女性に多い病気として知られる「骨粗しょう症」を特集します。タイトルは「検診で女性を救え!早期発見で骨折回避を」。15分という短い放送時間の中で、骨粗しょう症のリスクや検診の重要性について解説される予定です。
骨粗しょう症とはどんな病気?
骨粗しょう症は、骨の中のカルシウムやたんぱく質などの成分が減少して、骨の密度と強度が低くなる病気です。健康な骨は内部に網目のような構造を持っていて、適度な硬さとしなやかさがありますが、骨粗しょう症になるとその網目構造がスカスカになり、ちょっとした衝撃でも簡単に折れてしまうようになります。
特に注意が必要なのは閉経を迎えた女性です。閉経によって女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少すると、骨を守る働きも弱まり、急激に骨密度が下がってしまいます。この影響で、同じ年齢の男性に比べて女性の方が骨粗しょう症になりやすいといわれています。
実際、番組内でも紹介されるように、50歳以上の女性の約3人に1人が骨粗しょう症を発症しているとされており、高齢になるにつれて骨折のリスクが大きくなります。骨折が原因で寝たきりになる人も多く、生涯の生活の質に大きな影響を与える病気として問題視されています。
また、骨粗しょう症は自覚症状がほとんどないため、次のような状況で初めて気づかれることも多いです。
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転んで手や足の骨を折ったときに検査で見つかる
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背中が曲がってきたり、身長が縮んでいることに気づいたときに異常が判明する
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背骨の圧迫骨折による腰の痛みで受診したときに診断される
このように、日常生活の中で気づきにくい病気であるため、早期発見と予防が非常に大切です。特に、骨粗しょう症による骨折は、手首や背骨、大腿骨の付け根(股関節)などに起こりやすく、回復までに時間がかかるうえに再発することもあります。
日常生活に支障をきたさないためにも、骨の健康を守る意識を早いうちから持つことが重要です。検診や生活習慣の見直しを通じて、骨を強く保ち、安心して年を重ねられるようにしたいですね。
骨粗しょう症の検診はいつ受ける?
骨粗しょう症を予防するためには、定期的な検診を受けることがとても大切です。特に女性の場合、40歳から70歳までの間に5年ごと(40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳)に検診を受けることが推奨されています。これは厚生労働省の方針として多くの自治体でも取り組まれており、病気の早期発見と骨折の予防に役立っています。
この検診では、主に次のようなことが行われます。
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問診:ふだんの生活習慣、これまでにかかった病気、親や兄弟が骨粗しょう症だったかどうかなどを確認します
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骨密度測定:骨の強さを調べる検査です。X線や超音波などを使い、腰の骨(腰椎)や足の付け根の骨(大腿骨)、手首などの骨密度を測定します
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必要に応じて血液や尿検査:骨の新陳代謝がどうなっているか、栄養の状態やホルモンのバランスを調べます
検査はとてもシンプルで、短時間で終わるうえ、痛みもなく、身体への負担もほとんどありません。多くの自治体では、指定の年齢になると案内が送られてきたり、健康診断の一環として実施されたりすることもあります。
骨粗しょう症は気づかないうちに進行しやすい病気なので、症状が出る前に自分の骨の状態を知ることが、将来の骨折や寝たきりを防ぐ第一歩になります。特に閉経前後の女性は、骨密度が急に低下しやすくなるため、検診を受けるタイミングを逃さないことが大切です。
一生、自分の足で歩くために。骨の状態を定期的にチェックし、必要な対策をとることが安心につながります。
骨粗しょう症になりやすい人の特徴とは?
骨粗しょう症は誰にでも起こり得る病気ですが、特になりやすい特徴を持つ人がいます。これらに当てはまる場合は、より早い段階からの意識と予防が必要です。
まず最も大きな要因は、閉経後の女性です。閉経を迎えると、骨を守る働きのある女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少し、骨密度も急速に低下します。これは年齢に関係なく、女性にとって避けて通れない変化です。
さらに、次のような体質や生活習慣もリスクを高めます。
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やせ型で体重が軽い人:体重が軽いと、骨にかかる負荷が少ないため、骨が弱くなりやすいです
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家族に骨折歴や骨粗しょう症の人がいる:遺伝的な影響で、骨密度が低くなりやすい体質を持つ場合があります
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カルシウムやビタミンDの不足がある人:これらの栄養素は、骨をつくる材料です。不足すると骨の再生がうまくいかなくなります
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運動習慣がない人:骨は適度に刺激を受けることで強くなります。運動不足は骨の老化を早めます
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たばこを吸う人、過度に飲酒する人:喫煙や飲酒は、骨をつくる細胞の働きを弱めるといわれています
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ステロイドなどの薬を長期間使用している人:これらの薬は骨の代謝に影響を与え、骨をもろくすることがあります
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糖尿病やリウマチなどの慢性疾患がある人:病気そのものや治療薬の影響で、骨密度が下がることがあります
このような条件に一つでも当てはまる人は、骨粗しょう症のリスクが高まると考えられます。
だからこそ、自覚症状がなくても「私は大丈夫」と思わずに、定期的に骨密度検査を受けることが大切です。検診によって骨の状態を知ることで、食事や運動、治療によって早めに対策をとることができます。
将来の骨折や寝たきりを防ぐためにも、リスクがある人ほど“早めの行動”がカギになります。
早期発見で骨を守る!治療と予防法
骨粗しょう症は、早いうちに見つけて適切な治療を始めることで、将来の骨折を防ぎ、健康な生活を長く続けることができる病気です。特に女性にとっては、閉経後に骨密度が急激に下がるため、定期的な検診と早期対応がカギとなります。
治療や予防には、次のような方法があります。
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薬物療法
骨の壊れやすさを防ぐために、医師の判断で薬が処方されます。
例として、骨の破壊を抑える薬(ビスホスホネート系)や、骨の形成を促す薬(副甲状腺ホルモン製剤など)があります。これらは骨折のリスクを下げる効果が認められており、継続的な服用が大切です。 -
栄養管理
カルシウムやビタミンDをしっかり摂ることが、骨を強く保つための基本です。
乳製品や小魚、緑黄色野菜、きのこ類などを日々の食事に取り入れるほか、日光を浴びてビタミンDの生成を助けることも大切です。 -
運動療法
骨に適度な負荷をかけることで、骨の再生が促されます。
ウォーキングや階段の昇り降り、スクワットなど軽い筋トレを無理のない範囲で続けることが効果的です。高齢者でも安全にできる体操も推奨されています。 -
生活習慣の見直し
喫煙や過度の飲酒は、骨の健康に悪影響を与えることが知られています。禁煙を心がけ、アルコールも適度に控えることが予防につながります。
また、今回の番組では、「骨折リスクを数値で“見える化”できる計算ツール」も紹介される予定です。
年齢や体重、骨密度などの情報をもとに、10年以内に骨折する確率を知ることができるツールで、自分のリスクを明確に把握できます。リスクを数字で確認することで、「今すぐに対策しよう」という行動につながりやすくなります。
骨粗しょう症は放っておくと、骨折や寝たきりにつながる危険性があります。でも、早期に見つけて対策すれば、防げる病気でもあります。自分の骨を守るために、「知る」「調べる」「動く」の3つが大切です。今からできることを、少しずつ始めていきましょう。
生涯、自分の脚で歩くために
番組では、「生涯自分の脚で歩く人生を目指しましょう!」というメッセージが込められています。骨折は寝たきりや要介護のきっかけになることもあり、骨を守ることは人生の質を守ることにもつながります。
『きょうの健康』では、帝京大学ちば総合医療センター病院長の井上大輔先生が講師として出演し、わかりやすく骨粗しょう症のリスクと対策を解説してくれる予定です。キャスターは岩田まこ都さんと小郷知子さん。
※実際の放送内容と異なる場合があります。
ご質問や気になる点があれば、コメント欄からどうぞ。
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