「先延ばししているアレが気になる…そのストレス解消します!」
「今年こそあれをやろう」と思っていたのに、気づけばまた後回し。
そんなモヤモヤした気持ちをどうにかしたい人に向けて、スタジオにはお笑いコンビ博多華丸・大吉、俳優の塚地武雅さん、タレントのLiLiCoさんが集まり、自分の先延ばし体験を赤裸々に語ります。
番組が面白いのは、「根性で頑張れ」とは言わないところです。
人にはそれぞれタイプがあって、そのタイプごとにつまずくポイントも、楽になる方法も違う。
だからまずは、自分がどのタイプなのかを知るところからスタートします。
この特集では、臨床心理士の中島美鈴さんが監修したチェックリストを使いながら、
危機感がないタイプ
完璧主義タイプ
面倒くさがりタイプ
誘惑に弱いタイプ
という4つのパターンを、具体的なエピソードを交えて解説していきました。
自分のタイプがわかる先延ばし4タイプチェックリスト
番組の前半では、先延ばしを4つのタイプに分けたチェックリストが紹介されました。
危機感がないタイプは、締め切りギリギリまで平気で構えてしまう人。
完璧主義タイプは、完璧にやろうとしすぎて、スタートラインに立つ前に疲れてしまう人。
面倒くさがりタイプは、「あとでまとめてやろう」と言い訳しながら放置してしまう人。
誘惑に弱いタイプは、スマホや動画、ゲームなど、目の前の楽しさにすぐ心を持っていかれてしまう人です。
チェックリストには、
「ギリギリにならないとやる気が出ない」
「少しでもミスがあるとやり直したくなる」
「準備が多そうなことは先送りにしがち」
「作業中についSNSを見てしまう」
といった項目が並び、その数で自分の傾向が見えてきます。
スタジオでは、塚地武雅さんが「誘惑に弱いタイプ」に多くチェックが入り、
LiLiCoさんは「完璧主義タイプ」に当てはまることが判明。
鈴木奈穂子アナウンサーは、完璧主義以外ほぼすべてにチェックがついてしまい、「しなくていいドタバタを自分で増やしている」と笑いながらも、どこか切実な表情を見せていました。
実は、心理学の研究でも、先延ばしにはいくつかの典型的なパターンがあることが指摘されています。
完璧主義や楽観的すぎる性格、感情のコントロールの難しさなどが組み合わさることで、行動が遅れやすくなることが分かってきています。
危機感がないタイプ 月子さんの「ギリギリ癖」と時間の見える化
最初に取り上げられたのは、「危機感がないタイプ」です。
イラストレーターの月子さんは、仕事の締め切りが迫っても「まだ大丈夫」と思ってしまい、気づけば徹夜続き。
何度ひどい目にあっても、「結局これまでもなんとかなってきたから」と、どこかで楽観視してしまいます。
番組では、月子さんが大学の卒業式に出そびれてしまったエピソードも紹介されました。
その日も、「まだ余裕がある」と思い込み、身支度や移動に必要な時間を甘く見積もってしまった結果、大切な節目に間に合わなかったのです。
そこで取り入れたのが、「時間の見える化」でした。
支度にかかる時間、原稿の下書きにかかる時間、清書にかかる時間。
日常のささいな動作も含めて、ストップウォッチで測り、ノートに細かく記録していきます。
すると、「なんとなく30分で終わると思っていた作業が、実は90分かかっている」といった現実がはっきりしました。
この「現実の数字」を知ったことで、月子さんのなかでようやく危機感が育ち、逆算して動けるようになっていきます。
さらに、あえて「早くやらないと本当に困る状況」を自分で作る工夫も紹介されました。
締め切りより前に人と約束を入れてみたり、提出日を宣言してしまったり。
逃げ道をふさぐことで、行動の優先順位が自然と上がっていくのです。
心理学では、こうした「外部の締め切り」や「人との約束」が、行動を引き出す強いきっかけになることが知られています。
自分の意思だけに頼るより、環境の力を借りた方が続きやすいという考え方です。
完璧主義タイプ 柏倉沙耶さんが語る先延ばしと人類の歴史
次に取り上げられたのが、完璧主義 タイプです。
東京大学大学院の特任研究員・柏倉沙耶さんは、自身もかつてこのタイプでした。
研究テーマを決めるとき、「もっと良いテーマがあるはず」と考えすぎてしまい、決断を先延ばし。
その結果、研究が進まなくなり、休学まで経験したと語ります。
そこから一転、柏倉さんは「先延ばしそのもの」を研究テーマに選びました。
人はなぜ先延ばしをするのか。
その答えを探っていくなかで見えてきたのが、「先延ばしには生き残りの知恵としての側面もある」という視点です。
旧石器時代の人類は、狩りでエネルギーを手に入れたあとは、あえて体力を温存し、余計な動きをしない時間を長く取っていました。
無駄に動き続けると、飢えやケガのリスクが高まるからです。
この「必要なとき以外は動かない」という性質は、現代にも形を変えて残っています。
やらなくていいことはやらない。
それ自体は、もともと身を守るための働きでもあるのです。
柏倉さんたちの研究グループは、「未来に対するストレスの感じ方」と「先延ばし癖」の関係も調べています。
将来に対して「今よりひどいことにはならない」と楽観的に考えている人は、深刻な先延ばしが少ない傾向があることがわかってきました。
番組では、
「先延ばしは完全な悪ではなく、人類が生きてきた歴史の中で育ってきた性質でもある」
「だからこそ、自分を責めるだけでなく、『どう付き合うか』を考える視点が大事」
というメッセージが語られます。
光浦靖子さんがカナダで見つけた「先延ばししない生き方」
特集の中盤では、タレントの光浦靖子さんが登場しました。
光浦さんは、50代でカナダに留学し、語学学校やカレッジに通いながら、現地で手芸のワークショップなどにも挑戦していることで知られています。
かつては、「やらなきゃ」「頑張らなきゃ」と自分を追い込み、なんでも背負い込んでしまうタイプだったそうです。
日本にいた頃は、周りと比べて落ち込むことも多く、「もっとちゃんとしなきゃ」と先延ばしのタスクを抱えたまま、心だけが疲れていたと振り返ります。
そんな光浦さんが、カナダでの暮らしを通して手に入れたのが、
「人と比べない」
「自分は完璧じゃなくていい」
という感覚でした。
知り合いも少ない外国で暮らすには、誰かの助けがなければ成り立ちません。
「1人で何もかもこなす完璧な自分」ではなく、「周りに頼りながら、少しずつ進む自分」を受け入れざるを得なかったのです。
そこから、光浦さんの中で、
「全部できていない自分でも、今日これだけできたなら偉い」
「小さな1歩を積み重ねることに意味がある」
という考え方が育っていきました。
その結果、「先延ばしにしている」という感覚そのものが薄れていきます。
やるべきことの山を見上げてため息をつくのではなく、今この瞬間にできる小さなことを淡々とこなしていく。
そのスタイルが、光浦さんのストレスをぐっと軽くしているのだと伝わってきました。
面倒くさがりタイプ かをりさんの買い物を動かした小さな階段
続いて紹介されたのは、「面倒くさがりタイプ」です。
日用品の買い物をつい先延ばしにしてしまう、かをりさん。
必要なものがなくなりかけても、「まだ大丈夫」と思ってしまい、結局ギリギリのタイミングで慌ててスーパーへ走る暮らしを続けていました。
そこで、中島美鈴さんが提案したのが、「階段を作る」という方法です。
大きなタスクをそのまま「買い物に行く」としてしまうと、
着替えなきゃ
メイクしなきゃ
レジで並ぶのが憂うつ
と、頭の中のハードルが一気に高くなります。
そこで、買い物までの行程を、5段くらいの小さなステップに分解していきました。
たとえば、
1段目 買うものを書き出す
2段目 エコバッグを玄関に出しておく
3段目 チラシやアプリで近所のスーパーを見る
4段目 上着を着て靴を履く
5段目 家のドアを開ける
といった具合です。
加えて、「外出の1時間前にアラームを鳴らす」「出かけられたら、夫に『行ってきたよ』と報告してほめてもらう」といった工夫も取り入れました。
この「ほめてもらう」仕組みは、心理学でいう社会的報酬にあたります。
人は、誰かに認められると脳の報酬系が働き、「また頑張ろう」という気持ちが生まれやすくなることが分かっています。
かをりさんの場合も、「頑張ったね」という一言が、次の1歩につながり、買い物の先延ばしが少しずつ減っていきました。
誘惑に弱いタイプ 気が散るものを手放す工夫
4つ目のタイプは、「誘惑に弱いタイプ」です。
やるべきことがあって机に向かっても、ついスマホを開いてSNSを見てしまう。
動画サイトを1本だけ見るつもりが、気づけば何時間も経っている。
そんな経験は、多くの人に覚えがあるのではないでしょうか。
スタジオでも、塚地武雅さんが「まさに自分」と苦笑いしながら語っていました。
このタイプに大事なのは、「自分の意志を強くする」ことではなく、「誘惑との距離を物理的に離す」ことです。
番組では、
スマホを別の部屋に置いておく
通知をオフにして、1日の中で見る時間を決める
作業場所そのものを図書館やカフェに変える
といった方法が紹介されました。
行動科学の分野でも、習慣を変えるときには「環境のデザイン」が非常に重要だとされています。
見える場所にあるもの、すぐ手に取れるものは、それだけで私たちの注意を強く引きつけるからです。
誘惑に弱い自分を責めるのではなく、「誘惑に勝てないのは当たり前」と認めたうえで、先に仕組みを変えてしまう。
この発想の転換が、心を軽くしてくれると感じました。
臨床心理士・中島美鈴さんが教えるタイプ別の向き合い方
特集全体を通して、案内役を務めたのが、臨床心理士の中島美鈴さんです。
中島さんは、成人期の発達障害や時間管理、集団での認知行動療法を専門とし、先延ばしに悩む人の相談にも長く関わってきた専門家です。
番組の中で印象的だったのは、
「先延ばしは、“ダメな性格”ではなく、“うまく機能していない行動の習慣”です」
という言葉でした。
危機感がないタイプには、時間の見える化と、締め切りを自分以外にも共有する方法。
完璧主義タイプには、「完璧にやらなくてもいい」と自分に許可を出し、小さく始める練習。
面倒くさがりタイプには、階段を細かく分けて、「とりあえず1段目だけやる」アプローチ。
誘惑に弱いタイプには、誘惑そのものを遠ざける環境づくり。
それぞれのタイプに合わせて、具体的なやり方が示されたことで、視聴者も「自分の場合はどれを試そうかな」とイメージしやすかったのではないでしょうか。
中島さんは、「先延ばしをゼロにする必要はありません」とも語ります。
大事なのは、「本当に大切なこと」が先延ばしでつぶれないようにすること。
そのために、行動を小さく分け、環境を整えていく作業だと伝えていました。
まとめ 今日からできる先延ばしストレスの軽くし方
今回の特集は、「先延ばしをやめなさい」と叱る内容ではありませんでした。
むしろ、
「先延ばし は、人類の歴史や性格の特徴とも関係している、誰にでも起きうる現象」
「だからこそ、自分を責めるより、『どう付き合うか』を一緒に考えましょう」
という優しいスタンスで、一貫して進んでいきます。
危機感がないタイプなら、時間を測ってみる。
完璧主義タイプなら、「6割でも出してみよう」と決めてみる。
面倒くさがりタイプなら、階段を5段に分けて、まず1段目だけやる。
誘惑に弱いタイプなら、スマホを別の部屋に置いてみる。
どれも、今日から試せる小さな工夫ばかりです。
そしてもう1つ大切なのは、「未来を少しだけ明るく想像してみる」こと。
研究でも、未来に希望を持てる人ほど、深刻な先延ばしが少ないことが示されています。
未来の自分は、今より少しだけ落ち着いていて、少しだけ余裕がある。
そう信じて、小さな1歩を積み重ねていけば、先延ばしの山も、いつかちゃんと越えられる。
「あさイチ」のこの特集は、そんな前向きな気持ちを、朝の時間にそっと届けてくれる回だったと感じました。
NHK【総合診療医ドクターG NEXT(6)】なぜ“検査異常なし”なのに続く?PPPDの原因とストレス・不安の関係とは|2025年12月6日
臨床心理士・中島美鈴さんについて紹介します

(画像元:臨床心理士 中島 美鈴(@rin_rinnak)さん / X)
中島美鈴さんは、先延ばしや時間管理の研究と支援に力を注いできた専門家です。番組で語られた内容をより深く理解するために、中島さんの背景を知っておくと、番組の説明がいっそう身近に感じられます。ここでは、中島さんがどのような道を歩み、どんな実績を積み重ねてきたのかを紹介します。
経歴と専門分野
中島美鈴さんは九州大学大学院で心理学を学び、心理学博士としての知識を土台に長く臨床現場に携わってきました。大学院での研究では、人の行動や考え方の変化に注目し、日常生活の中で抱える悩みにどう向き合うかを探り続けてきました。これまでに国立病院機構の肥前精神医療センターや東京大学大学院での研究活動に携わり、教育と臨床のどちらにも深く関わってきました。現在は中島心理相談所の所長として相談支援を行うほか、九州大学大学院の学術協力研究員として研究を続けています。こうした経験から、先延ばしや時間管理の悩みを実生活に近い形で理解し、わかりやすい方法に落とし込む力を持っています。
代表的な実績
中島さんの活動は多岐にわたり、大学での講義や企業研修、地域講座など幅広い場面で心理学を伝えてきました。一般の人にも心理学が役立つようにと、新聞や雑誌の記事の執筆にも積極的に取り組んでいます。テレビではあさイチをはじめとした番組に出演し、専門的な内容を日常の言葉で説明する姿が印象的です。こうした発信は、心理学が難しい学問ではなく、生活の中で活かせる知恵だということを伝える役割を果たしています。
代表作の紹介
中島美鈴さんの著書の中でも、特に多くの人に読まれているのが『先延ばしグセ、やめられました! 書いてみるとうまくいく』です。この本では、先延ばしが起こる理由を心理学の視点から丁寧に説明し、日常の行動を変えるための具体的な方法が紹介されています。書くことで頭の中を整理し、小さな行動へつなげていく流れがわかりやすくまとめられており、先延ばしに悩む人にとって心強い手助けになる内容です。
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