記事内には、広告が含まれています。

NHK【総合診療医ドクターG NEXT】左胸の痛みの正体は胃潰瘍?ストレスと薬が招いた病とは|2025年5月6日放送

健康

左胸の痛みの正体は“胃潰瘍”?ストレスと薬が引き起こした驚きの関連痛とは

2025年5月6日(火)19時30分からNHK総合で放送された『総合診療医ドクターG NEXT』第3回では、「左胸が痛い」という40代女性の実際の症例をもとに、再現ドラマと診断カンファレンスで真の病名に迫りました。見た目や一時的な症状だけでは分からない身体のサインを、総合診療医や若き研修医たちがどう読み解いていくのかが丁寧に描かれ、最終的な病名が“胃潰瘍”という意外な結末にたどり着いた今回の放送は、大きな気づきを与える内容となりました。番組では、検査では見つけづらい関連痛の存在、ストレスとの深い関係、そして薬の使用による副作用といった要素が、どのように組み合わさって病気を引き起こすのかを、わかりやすく紹介していました。

ゲストには俳優の田中美佐子さんサッカー解説者の松木安太郎さんが出演。MCの藤井隆さんと、NHKアナウンサーの佐藤あゆみさんが進行を務め、症例の解説と指導を行ったのは、千葉大学医学部の鋪野紀好(しきの・のりよし)医師です。

左胸の痛みの原因がわからない…見逃されがちな症状の再現ドラマ

番組冒頭では、「左胸が痛い」と訴える40代女性の症例が再現ドラマとして紹介されました。この女性は、家庭と仕事の両立に追われる毎日を送っていました。ある日、突然胸の左側に鋭い痛みを感じ、病院を受診。しかし心電図や血液検査などでは異常が見つからず、「原因不明」とされてしまいました。

その後も痛みは断続的に続き、不安を感じながら生活する様子が描かれます。表面上は元気そうに見えるものの、心の中には「本当に何でもないのか?」という不安がずっと残り続けていたのです。

このようなケースは実際の医療現場でも多く、特に女性はストレスや不調を我慢しがちで、「体の声」が見逃されやすい傾向にあると言われています。番組では、このような見えにくい症状こそ、総合診療医が丁寧に拾い上げていくことの重要性が強調されていました。

スタジオで行われた診断カンファレンスと研修医たちの推理

再現ドラマのあと、スタジオでは研修医たちによる診断カンファレンスが行われました。番組に参加した若手医師たちは、それぞれ異なる診療科や地域で活躍しており、幅広い視点を持っています。

・研修医の1人は「帯状疱疹」を疑いました。胸の痛みの原因として、皮膚に出る発疹が初期には見えにくいことがあるからです。
・別の研修医は「心身症」を挙げました。ストレスが原因で身体に症状が出るケースです。
・もう1人の研修医は「胸膜炎」を予想。呼吸と連動して起きる痛みを想定しました。

また、田中美佐子さんは「パニック症」など、精神的な要因による症状の可能性に注目していました。実際に、心の状態が身体に影響を与えることは少なくなく、医師の鋪野紀好先生もこの視点の重要性を解説。ストレスや不安が身体の痛みとして現れることがあると説明されていました。

詳細な検査と「関連痛」というヒント

次に紹介されたのは、医師による詳細な検査の流れです。聴診器を使って心臓や肺の音を確認したり、皮膚の発疹の有無、体温、血圧、腹部の圧痛など、身体の全体を幅広くチェックしていきます。

この中で注目されたのが「関連痛」という現象です。関連痛とは、実際の原因とは別の場所に痛みを感じること。今回の症例では、胃の不調が脳によって「左胸の痛み」として認識されていた可能性が浮かび上がりました。

この発想にたどりつくには、身体の仕組みと神経の伝達経路についての深い理解が必要で、総合診療医ならではの視点だと言えます。単なるデータでは分からない、患者の「感覚」や「表現」にしっかり耳を傾けることで、病気の正体が明らかになっていきます。

最終診断は「胃潰瘍」その原因はストレスと薬の影響

カンファレンスの最後、研修医たちは改めて診断を予想しました。結果は全員一致で「胃潰瘍」。そして、最終的な病名もその通りとなりました。

左胸の痛みは、実は胃潰瘍による関連痛だったのです。さらに原因を探ると、女性は以前から頭痛に悩み、痛み止めを繰り返し服用していたことが判明。この痛み止めが胃に負担をかけ、潰瘍を悪化させていたのではないかと鋪野医師は説明していました。

また、彼女の生活には強いストレスや慢性的な疲労があり、胃の粘膜がダメージを受けやすい状態にあったことも見逃せません。仕事、育児、家事のすべてを1人で抱え込むような日々が、身体に負担をかけていたことは明らかです。

胃潰瘍とストレスの関係、そして総合診療の力

「胃潰瘍」は、胃の粘膜が傷つき、内部に深い炎症を起こす病気です。放置すれば出血や穿孔といった重い症状に発展することもあります。

主な原因は以下の通りです。

  • ストレスによる自律神経の乱れと胃酸分泌の増加

  • 痛み止め(NSAIDs)などの薬剤の過剰使用

  • ピロリ菌感染など

今回の症例は、ストレスと薬の“ダブルリスク”によって症状が現れた代表的なケースといえます。心と体の両面を総合的に診ることの大切さを、番組は再現ドラマとカンファレンスを通じて視聴者に伝えていました。

診断力の高さはもちろん、「人を診る医療」としての総合診療の大切さが深く感じられる回でした。

この記事は、2025年5月6日放送『総合診療医ドクターG NEXT』第3回「左胸が痛い」の放送内容をもとに構成しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました