記事内には、広告が含まれています。

NHK 【クローズアップ現代】被爆者なき時代へ…北海道被爆者協会の解散と“ノーモア・ヒバクシャ会館”の今|2025年8月4日放送

クローズアップ現代

被爆80年“被爆者なき時代”をどう生きるか

広島に原爆が投下されてから80年。2025年8月4日放送の「クローズアップ現代」は、被爆者の高齢化と減少という現実に向き合いながら、私たちがこれからどう記憶を引き継いでいくかを考える特別回です。被爆者の数はついに10万人を下回り、“語り部なき時代”が本格的に迫る今、その声と想いをどう未来に残すかを、広島からの中継で伝えます。

被爆者団体の解散が広がる現実

番組はまず、被爆者による全国組織「日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)」が、12の道県で解散または活動を休止しているという現実からスタートしました。かつて全国に約37万人いた被爆者の数も、今年初めて10万人を下回り、存続そのものが難しくなってきています。北海道ではこの春に被爆者団体が解散し、長年活動拠点だった会館の行方が課題になりました。資料を数多く保管していた会館の継続利用を札幌市など自治体に依頼するも、応じてもらえず、最終的に地元の北星学園が引き受ける形となりました

関心が薄れる中で続く署名活動

新潟県の駅前では、被爆2世の西澤さんが核兵器廃絶を求める署名活動を今も続けています。しかし、若者たちの関心が薄れていることが大きな悩みになっていると紹介されました。通行人の足が止まりにくく、署名も集まりにくい日々。それでも活動を続けてきた背景には、どんな逆境にも負けず、被爆の事実を伝え続けてきた被爆者たちの思いがあるのです。

継承の形骸化という課題

広島平和記念公園からの中継では、慶應義塾大学の小倉康嗣さんが登場し、「継承」が目的化している問題点について指摘しました。小倉さんは「なぜ継承するのか」「何を継承すべきか」が社会全体で語られないまま80年が過ぎてしまったことが、今の危機につながっていると述べました。ただ伝えるだけではなく、その人の思いに寄り添うことこそが本当の継承であるという考え方が番組の根底に流れていました。

学生たちが動き始めている

番組後半では、希望につながる動きとして関西学院大学の学生や卒業生たちによる平和公園でのボランティア活動が紹介されました。彼らは、被爆者の生き方を講話を通じて学び、それを自らの言葉で語り継ぐ力を育てようとしています。このように、若い世代が自発的に関わる動きが少しずつ広がっているのです。

また、広島の高校生たちが被爆者との対話を通じて原爆の絵を描く取り組みも注目されました。半年から1年をかけて、実際の体験者から聞いた言葉をもとに描きあげられるその絵は、数字や事実以上に心に訴える力を持っています。小倉さんはこの活動を15年近く研究しており、事実を正確に伝えるだけでなく、「その事実を背負った思いに関わることが継承だ」と語りました。

北海道・ノーモア・ヒバクシャ会館に託された希望

解散した北海道の被爆者団体が残した「ノーモア・ヒバクシャ会館」を引き継いだ北星学園大学では、学生たちが実際に会館を訪れ、資料に触れながら学びを深める姿が紹介されました。学生たちは、単なる記録としてではなく、そこに込められた声なきメッセージに耳を傾けていることが伝わってきました。こうした動きは、これからの時代に向けた記憶のつなぎ方を考える上で重要なヒントになります。


被爆者が少なくなっていく今、記憶をどう引き継ぐかは私たち全員の課題です。番組を通して、声をあげ続けること、そして「なぜ伝えるのか」をもう一度問い直すことの大切さを改めて感じさせられました。

放送の詳細はこちら(NHK公式ページ)
▶︎ https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/5037/


気になるNHKをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました