「死にたい」と子どもが言ったらどうする?親の寄り添い方と距離感とは
2025年7月24日(木)放送予定のNHK教育番組「おとなりさんはなやんでる。」では、子どもからの「死にたい」という言葉に対して、親がどのように接すればよいのかがテーマとして取り上げられます。出演はタカアンドトシさんをはじめ、モデルのよしあきさん、精神科医の松本俊彦さん、教育評論家の高橋聡美さんら。子どもの自殺が過去最多となっている現代、家庭でどのように心の変化に気づき、支えていけばよいのかを深く掘り下げます。
よしあきさんの体験から見える「声にならないSOS」
番組の中心となるのは、ゲスト・よしあきさんの実体験です。小中学生のころ「死にたい」と思っていたという自身の過去を明かしながら、娘から「消えたい」と言われたときにどう対応すべきだったのかというおとなりさんの悩みに向き合います。番組ではこのエピソードをもとに、親が子どもの気持ちにどう寄り添い、どこまで関わるべきかを考えていきます。
親の「寄り添いすぎ」が子どもを追い詰めることも
子どもがつらい気持ちを打ち明けたとき、多くの親はなんとか助けたいと思います。しかし、過剰な心配や管理は、子どもに「自分は信頼されていない」と感じさせることがあります。また、気持ちを受け止めるだけでは解決にはつながらず、「じゃあ、どうしたらいいのか」が見えないままになる場合もあります。
「寄り添う」だけでは足りない理由
実際に、話を聞いてもらえることで一時的に安心する子どもは多いですが、それが本当の意味での「支え」になっているとは限りません。寄り添いすぎることで、子どもが自分で問題を解決する力を育てにくくなることもあるのです。
TALKの原則とは?安心感を生む4つの対応ステップ
番組内では、専門家が推奨する「TALKの原則」も紹介される予定です。これは、子どもの心に寄り添いながらも、冷静で安心できる関わり方をするための手がかりになります。
TALKの原則の内容と実践方法
原則 | 意味 | 実践の例 |
---|---|---|
Tell | 心配していることを正直に伝える | 「君のことがすごく気がかりなんだよ」 |
Ask | 具体的にいつ・どこで感じたか聞く | 「どんなときにそう思ったの?」 |
Listen | 否定せずに話を聞き切る | 「そっか、つらかったんだね」 |
Keep safe | 安全を守る、必要なら専門家と連携 | 「一緒に相談できる先生や人を探そうか」 |
この原則を守ることで、子どもは「自分の気持ちが受け止められている」と感じやすくなり、親も安心してサポートする道筋が見えてきます。
高校生たちが語る「死にたい」気持ちの背景にも注目
番組では、実際に高校生たちが自分の本音を語る場面もある予定です。思春期の「死にたい」という気持ちは、実は大きなきっかけよりも、小さな悩みや日々のストレスが積み重なった結果であることが多いと言われています。
小さなサインを見逃さないことが大切
「お腹が痛い」「学校に行きたくない」といった言葉に、実は心の不調が隠れていることもあります。親や教師がその小さな変化に気づけるようにすることが、命を守る第一歩です。
信頼できる「人」と「場」の存在が命を支える
番組では、友人や教師、カウンセラーなど周囲の人たちが「支え手」となれる環境づくりの大切さにも触れます。特に高校生どうしが支え合うような関係ができることで、「自分は一人じゃない」と感じられるようになるのです。
番組から見える親の役割と、子どもとの向き合い方
「おとなりさんはなやんでる。」は、家庭で子どもとどう向き合うかに悩む多くの親にとって、大切なヒントをくれる内容となりそうです。親の気持ちが先走ってしまいがちな場面で、どうすれば子どもの心の声を受け止められるのかを、ゲストや専門家の話から学ぶことができます。
ソース一覧
親のNG行動と子どものSOSサイン、TALK原則の具体例まとめ

ここからは、私からの提案です。番組内容をより深く理解し、家庭での実践につなげるために、親のNG行動、子どもが発するSOSのサイン、そしてTALK原則を使った具体的な声かけ例を詳しく整理しました。どれも日常で起こりうる場面ばかりで、少しの気づきが大きな安心につながります。
親のNG行動チェックリスト
子どものためを思ってやっているつもりでも、結果的に心を追い詰めてしまう言動があります。以下の表では、知らずにやってしまいがちな行動とその影響を具体的にまとめています。
NG行動 | 内容と理由 |
---|---|
過剰に干渉・管理する | 毎日の予定を細かく聞いたり、進路をすべて親が決めるなどの行為は、子どもにとって「信じてもらえていない」と感じさせ、自立心や安心感を奪ってしまいます。 |
すぐに答えを与える | 子どもの悩みに「こうすればいい」とすぐ助言すると、子どもは「自分の考えは役に立たない」と思い込み、自信を失うことがあります。 |
「大丈夫?」を何度も繰り返す | 心配な気持ちから出る言葉でも、しつこく何度も聞かれることで、子どもは「面倒くさい」「また言われた」と感じてしまい、距離を置こうとします。 |
深刻さを軽く受け止める | 表面上は話を聞いても、「でも若いから大丈夫だよ」などと話を終わらせると、子どもは「理解してもらえなかった」と感じ、もう話すのをやめてしまいます。 |
子どもが出すSOSサインの具体例
子どもは「死にたい」とストレートに言う前に、さまざまな形でサインを出していることがあります。体調、言葉、行動、それぞれの視点で見ていくことが大切です。
【体の不調として表れるサイン】
・頭痛や腹痛が続く、または病院では異常がないのに不調を訴える
・睡眠のリズムが崩れる(極端に早起き・夜更かし・寝すぎ)
・食欲に極端な変化が出る(まったく食べない/食べ過ぎる)
【言葉に出るサイン】
・「消えたい」「いなくなりたい」などの表現を使う
・「何のために生きてるんだろう」と、自分の存在価値を疑う発言が増える
【行動で見えるサイン】
・急に友達との交流がなくなる、SNSの更新が止まるなど孤立傾向が強まる
・学校に行きたがらない/成績が急に下がる
・暴言や無気力など感情の起伏が激しくなる、もしくは無表情が増える
TALKの原則を使った家庭での声かけ例
親子の対話において、子どもの心を守りながら寄り添う方法として「TALKの原則」があります。この原則に沿った例文を使うことで、いざというときでも冷静に対応しやすくなります。
【例1:元気がない様子に気づいたとき】
親が「最近元気ないように見えるよ」と伝え(Tell)、
「いつからそんな風に思っていた?」と具体的な場面を尋ねます(Ask)。
子どもが「…なんとなくしんどい」と答えたら、
「つらかったんだね」と受け止め(Listen)、
「一人にはしないから、相談できる先生も一緒に探そう」とつなげます(Keep safe)。
【例2:子どもが「死にたい」と言ったとき】
「あなたのその言葉がとても心配だよ(Tell)」
「どうしてそう思ったのか教えてほしい(Ask)」
「気持ちを話してくれてありがとう。わかってくれてる人は必ずいるよ(Listen)」
「今、誰かに一緒に相談しに行こうか。一人じゃないよ(Keep safe)」
【例3:何気ない日常での対話】
「今日、何かあった?ちょっと元気なさそうに見えたよ(Tell)」
「放課後に何か嫌なことあったのかな?(Ask)」
「話してくれてうれしい。つらいことがあれば、また話してね(Listen)」
「今度、カウンセラーに相談してみようか。私も一緒に行くよ(Keep safe)」
このように、子どもの気持ちを頭ごなしに否定せず、穏やかに受け止める関わり方は、子どもに「ここにいてもいい」と思ってもらえるきっかけになります。TALKの原則は、日々のちょっとした会話にも取り入れることができます。
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