デジタル終活とは?家族が亡くなった後のネット銀行やサブスクの対応方法|3月13日放送
デジタル社会が進む中で、新たな終活の形として「デジタル終活」が注目されています。スマートフォンやパソコンを使う機会が増えた今、個人が持つデジタル資産も増えてきました。しかし、これらを整理しないまま亡くなると、家族が困ることが多いのです。特にネット銀行の口座やサブスクリプションサービス(サブスク)は、手続きをしない限りそのまま残ってしまうため、注意が必要です。
今回の「あさイチ」(3月13日放送)では、デジタル終活の重要性や、家族が亡くなった後に必要な手続きについて詳しく取り上げられました。この記事では、番組で紹介された内容をもとに、デジタル終活の具体的な方法や注意点について詳しく解説します。
デジタル終活が必要な理由
デジタル終活をしないまま亡くなると、家族がデジタル資産の管理や手続きに苦労するだけでなく、トラブルにつながることもあります。現代では、ネット上で管理される資産が増え、SNSやサブスクなども広く普及しています。そのため、何も準備しないままだと遺族が何をどう処理すればよいか分からず、余計な手間や費用がかかることになります。ここでは、デジタル終活をしないことで起こる具体的な問題について、さらに詳しく見ていきます。
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ネット銀行や証券口座の資産が分からない
- 近年、ネット銀行をメインに使う人が増え、通帳がないため家族が口座の存在を知らないケースが多いです。
- 故人がネット銀行を利用していた場合、パスワードが分からないとログインすらできず、残高を確認することもできません。
- 口座情報が不明なまま長期間放置されると、「休眠口座」扱いになり、一定期間後に資産が凍結されてしまうこともあります。
- 証券口座の場合、保有している株式や投資信託の情報が分からないと、相続手続きが進まず、株価が変動して損をする可能性もあります。
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サブスクリプションの自動課金が続く
- 映画や音楽のサブスク、電子書籍、オンラインゲーム、クラウドストレージなど、解約しない限り料金が自動で引き落とされるサービスが多くあります。
- クレジットカードが登録されている場合、故人の銀行口座やクレジットカードの解約手続きをするまで課金が続くため、無駄な出費がかさみます。
- 家族が気づかずに放置すると、数カ月から数年にわたって不要な課金が続くこともあり、総額でかなりの金額になることもあります。
- 一部のサービスでは、解約にはログインが必要なため、IDやパスワードが分からないと手続きできず、さらに時間がかかることもあります。
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SNSやクラウドストレージがそのまま残る
- FacebookやInstagram、X(旧Twitter)、YouTubeなどのSNSアカウントは、放置すると故人の情報がネット上に残り続けてしまいます。
- これにより、亡くなった人のアカウントに「誕生日のお知らせ」や「友達のおすすめ」として表示され、家族が複雑な気持ちになることもあります。
- SNSによっては、「追悼アカウント」に変更できるものもありますが、手続きをするには故人のアカウント情報や身分証明書が必要になるため、準備がないと手間がかかります。
- GoogleドライブやiCloud、Dropboxなどのクラウドストレージに保存されている写真や書類も、家族がログインできなければアクセスできず、大切な思い出や重要なデータが失われる可能性があります。
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デジタル決済サービスの残高が使えない
- 最近は現金を使わず、PayPayや楽天ペイ、d払いなどの電子決済をメインに利用する人が増えています。
- しかし、これらのサービスの残高は、パスワードが分からないと引き出せず、そのまま使えなくなってしまうことがあります。
- 仮想通貨(ビットコインやイーサリアムなど)を保有している場合、ウォレットのアクセス情報がなければ、資産を取り出すことが不可能になり、完全に失われるリスクもあります。
- クレジットカードや銀行と紐づいている場合、不正利用の危険もあるため、すぐに対応が必要になります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、デジタル終活を進めておくことが大切です。生前に情報を整理し、家族がスムーズに対応できるようにしておくことで、不要な負担を減らし、安心して暮らせる環境を作ることができます。
整理すべきデジタル遺品
デジタル終活を進めるには、まず自分がどのようなデジタル資産を持っているのかを明確にすることが大切です。普段何気なく利用しているサービスも、いざ整理しようとすると意外と多く、把握しきれていないこともあります。以下のようなデジタル遺品を整理し、家族が困らないように準備しておきましょう。
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ネット銀行や証券口座
ネット銀行を利用している人は、通帳がないため、家族が存在に気づかないことがあります。特に証券口座や投資信託のように口座が複数に分かれている場合は注意が必要です。- ゆうちょ銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行などのネット専用銀行
- 証券口座(楽天証券、SBI証券、松井証券など)
- FXや仮想通貨の取引所(コインチェック、ビットフライヤーなど)
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SNSアカウント
SNSは個人のつながりや思い出が詰まった場所ですが、亡くなった後に放置されると不正アクセスのリスクもあります。遺族がアカウントを削除できるように情報を整理しておくと安心です。- Facebook(追悼アカウントにする設定あり)
- X(旧Twitter)、Instagram、LINE、YouTubeなど
- TikTokやブログサイト(アメブロ、はてなブログなど)
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クラウドストレージ
スマートフォンやパソコンのデータをクラウドに保存している人は、パスワードを共有しないとアクセスできなくなる可能性があります。特に写真や仕事関連のファイルが多い場合、家族にとって重要なデータが含まれているかもしれません。- Googleドライブ、Dropbox、OneDrive、iCloudなど
- NAS(ネットワークストレージ)を自宅で運用している場合はその情報も必要
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メールアカウント
メールはネット銀行やサブスクの登録情報が紐づいていることが多いため、メールアカウントにアクセスできるかどうかで、他のデジタル資産の管理がスムーズに進むかが決まることもあります。- Gmail、Yahoo!メール、Outlook(旧Hotmail)
- プロバイダ提供のメールアドレス(OCN、nifty、BIGLOBEなど)
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サブスクリプションサービス
定期課金のサービスは、解約しないと支払いが続きます。利用しているサービスを一覧にしておくと、家族が無駄な出費を防ぐことができます。- 動画配信サービス(Netflix、Amazonプライム、Hulu、U-NEXTなど)
- 音楽配信(Spotify、Apple Music、LINE MUSICなど)
- 電子新聞・雑誌(日経電子版、dマガジンなど)
- AdobeやMicrosoft 365などのソフトウェア利用料
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オンラインショッピングのアカウント
ネット通販をよく利用する人は、未発送の注文や貯まっているポイントの確認も重要です。クレジットカード情報が登録されている場合、不正利用のリスクもあるため、早めに対処する必要があります。- Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング
- メルカリ、ラクマ、ヤフオクなどのフリマアプリ
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デジタル決済サービス
キャッシュレス決済が普及し、多くの人がスマホ決済を利用するようになりました。しかし、これらの残高は放置すると使えなくなる可能性があります。スマホのロックが解除できないと、アプリにログインできず残高が確認できないこともあります。- PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY
- Apple PayやGoogle Pay
- 仮想通貨ウォレット(メタマスク、コインチェック、バイナンスなど)
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スマートフォンやパソコン内のデータ
スマホやパソコンには、多くの個人情報が詰まっています。写真や動画、大切な連絡先が保存されていることも多く、パスワードが分からないと家族が中身を確認できず困ることになります。- スマートフォンのデータ(写真、動画、連絡先、アプリのログイン情報など)
- パソコンのデータ(仕事の書類、プライベートな日記、家計簿データなど)
これらのデジタル遺品を生前に整理しておくことで、家族がスムーズに手続きを進められるだけでなく、不正利用のリスクも減らすことができます。一覧にまとめておくと、万が一の時にも慌てず対応できるので、少しずつ準備を進めていきましょう。
家族が亡くなったら…ネット銀行の資産はどうなる?
ネット銀行を利用している人が亡くなると、家族は口座の存在や残高を把握できず、資産を引き出せないまま放置されるケースが多くなります。特に、ネット銀行は紙の通帳がなく、店舗もないため、すぐに確認するのが難しいことが特徴です。家族が口座の存在を知らなければ、相続の手続きが進まず、資産が凍結されることもあります。そのため、生前にどの銀行を利用しているか記録しておくことが大切です。
- ネット銀行の口座が見つからない場合のリスク
- 家族が口座の存在を知らず、資産が未請求のまま放置される
- 長期間放置すると、休眠口座扱いになり、資産を引き出す手続きがより複雑になる
- 不正アクセスのリスクが高まり、勝手に引き出される可能性がある
ネット銀行の口座を確認する方法
ネット銀行は、紙の通帳がないため、口座情報を調べるには工夫が必要です。まずは、以下の方法で故人のネット銀行の利用履歴を探しましょう。
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故人のスマートフォンやパソコンを確認
銀行アプリがインストールされている場合は、利用していたネット銀行を把握できます。スマホの「メモ」アプリや「メール」フォルダに銀行関連の記録が残っていることもあります。 -
クレジットカードの明細や銀行の取引履歴をチェック
ネット銀行の口座に資金を移動した記録がないか、クレジットカードや他の銀行の取引履歴を調べてみましょう。定期的な引き落としがある場合、その銀行の口座を利用している可能性が高いです。 -
金融機関に問い合わせる
故人が取引のあった銀行に問い合わせると、預金があるかどうかを確認できる場合があります。ただし、口座の有無を教えてもらうには、故人の死亡証明書や相続人であることを示す書類が必要になります。 -
ネット銀行の公式サイトで検索する
一部のネット銀行では、相続手続き専用の問い合わせ窓口を用意していることがあります。口座の有無を確認するために、公式サイトをチェックしてみましょう。
ネット銀行の解約・相続手続き
ネット銀行の口座を発見できたら、正式な手続きを進めることで資産を相続できます。ただし、故人の口座は死亡が確認されると凍結されるため、相続人が正式な手続きをしない限り、出金や解約はできません。以下の手順で進めましょう。
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金融機関に死亡届を提出し、口座を凍結
- まず、銀行に故人が亡くなったことを連絡し、口座を凍結してもらいます。
- この時点で、口座の資金の引き出しは一時的にできなくなります。
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相続人が必要書類を準備する
- 戸籍謄本(故人の生年月日・死亡が記載されているもの)
- 故人の通帳(ある場合)やキャッシュカード
- 相続人の本人確認書類(免許証、マイナンバーカードなど)
- 遺言書(ある場合)や相続関係を証明する書類
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銀行の指示に従い、相続手続きを進める
- 各銀行の相続手続きのルールに従い、必要な書類を提出します。
- 手続き完了後、資産が相続人に分配されます。
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不要な口座は解約し、トラブルを防ぐ
- 相続した口座が不要な場合は、そのままにせず、解約の手続きを行いましょう。
- 放置すると、将来的に不正利用されるリスクがあります。
事前にできる対策
ネット銀行の手続きをスムーズにするために、生前に対策をしておくことが重要です。特に、以下の点に注意して準備を進めましょう。
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ネット銀行の一覧を作成しておく
- どの銀行に口座を持っているのか、リスト化して家族に伝えておくと、相続の手続きがスムーズになります。
- 銀行名・支店名・口座番号・残高・ログイン方法をメモしておくと、家族が探しやすくなります。
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エンディングノートに記録する
- 書面やデジタルデータで、ネット銀行の情報を整理しておくと、家族が困らずに対応できます。
- ログインパスワードは直接記載せず、ヒントを残しておくと安全です。
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信頼できる家族に情報を共有しておく
- 万が一のときに、家族が口座の存在を知っていれば、資産が取り戻せなくなるリスクを減らせます。
- ただし、情報の管理には注意し、第三者に悪用されないよう対策を講じることが大切です。
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不要なネット銀行口座は生前に整理する
- 長期間使っていない口座があれば、生前に解約しておくことで家族の負担を減らせます。
- 複数のネット銀行に資産を分散させると、相続手続きが複雑になるため、できるだけまとめておくとよいでしょう。
ネット銀行の相続は、通帳がないため手続きが複雑になりやすいですが、事前の準備次第でスムーズに進めることができます。万が一のときに家族が困らないよう、早めに整理を始めておくことが大切です。
サブスクリプションサービスの対応方法
サブスクリプションサービス(サブスク)は、解約しない限り自動的に料金が引き落とされ続けるため、故人がどのサービスを契約していたのかを早めに確認し、不要なものを解約することが大切です。サブスクには動画配信や音楽配信だけでなく、電子書籍やクラウドストレージ、オンラインゲーム、ビジネス向けのツールなどさまざまな種類があります。放置すると、数カ月から数年間にわたって不要な料金を払い続けることになりかねません。
- サブスクを解約しないと発生する問題
- 亡くなった後もクレジットカードや銀行口座から料金が引き落とされ続ける
- 契約していたサブスクが遺族に知られず、そのまま支払いが続く
- 一部のサブスクでは解約に死亡証明書が必要な場合があり、すぐに手続きできない
- Apple IDやGoogleアカウントに紐づいた定額課金はアカウント削除で解約されることもあるが、削除しないと請求が続く
サブスクを解約する手順
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故人のスマートフォンやパソコンを確認する
- まず、スマートフォンやパソコンにインストールされているアプリをチェックし、契約しているサブスクの一覧を把握します。
- iPhoneの場合は「設定」→「Apple ID」→「サブスクリプション」から登録状況を確認できます。
- Androidの場合は「Google Playストア」→「お支払いと定期購入」→「定期購入」から確認できます。
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クレジットカードや銀行の明細書を確認する
- サブスクの多くはクレジットカードや銀行口座からの自動引き落としになっているため、故人の利用履歴をチェックします。
- 毎月、同じ金額が引き落とされているものがあれば、それがサブスクの可能性が高いです。
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各サービスのサポート窓口に問い合わせる
- サブスクの公式サイトやカスタマーサポートに問い合わせ、解約の手続きを確認します。
- 例えば、NetflixやAmazonプライムなどの大手サービスは、ログインしてアカウント設定から解約可能ですが、ログインできない場合はサポートに問い合わせる必要があります。
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解約時に必要な書類を準備する
- サービスによっては、死亡証明書や相続関係を証明する書類の提出を求められることがあります。
- 特に有料のクラウドストレージ(GoogleドライブやiCloudなど)は、所有者が亡くなったことを証明しないと解約できない場合があるため注意が必要です。
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Apple IDやGoogleアカウントの定額課金の対応を確認する
- Apple IDやGoogleアカウントに紐づいている定額課金は、アカウント自体を削除することで自動的に解約される場合があります。
- ただし、アカウントを削除するとデータも消えてしまうため、必要なデータをバックアップしてから削除するのが望ましいです。
事前にできる対策
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サブスクの一覧を作成しておく
- どのサービスに登録しているのかをエンディングノートに記録すると、家族が手続きしやすくなります。
- 料金の支払い方法(クレジットカード、銀行引き落とし、電子マネーなど)もメモしておくと、解約の手がかりになります。
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不要なサブスクは生前に整理しておく
- 使っていないサブスクは、早めに解約しておくことで、家族の負担を減らせます。
- クレジットカードの明細を定期的にチェックし、知らないうちに課金されているサブスクがないか確認することも大切です。
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家族と情報を共有しておく
- 信頼できる家族に主要なサブスクの情報を共有しておくことで、万が一のときもスムーズに手続きができます。
- ただし、セキュリティ対策として、パスワードを直接共有するのではなく、ヒントを残すなどの方法を取ると安全です。
サブスクは、日常的に使っていると意識しにくいですが、いざというときに家族が解約できないと、余計な出費が発生する可能性があります。特に、NetflixやSpotifyなどのエンタメ系サブスクだけでなく、仕事で使っていたツールやクラウドストレージの契約も忘れずに整理しておくことが大切です。
デジタル終活の具体的な対策
デジタル終活をスムーズに進めるためには、以下の対策が有効です。
- デジタル資産のリスト化:ネット銀行やサブスクなどのアカウント情報を一覧にまとめておく
- エンディングノートの活用:パスワードや重要な情報をノートに記録しておく
- 信頼できる人と情報を共有:家族や弁護士など、信頼できる人に重要な情報を伝える
- 不要なサービスは生前に解約:利用しなくなったサブスクやネットサービスは、できるだけ早めに整理する
デジタル遺品を放置すると、遺族が大きな負担を抱えることになります。元気なうちに少しずつ整理を進めることで、家族の手間を減らし、安心して暮らせる準備ができます。
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