日本橋で江戸の風を感じる街歩き
2025年7月27日(日)午後1時5分から放送予定のNHK総合「首都圏いちオシ!」では、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の舞台となる日本橋に注目します。案内人は、ドラマで蔦屋重三郎の弟子「みの吉」を演じている俳優・中川翼さん。今回は、江戸のにぎわいが今も息づく日本橋の町を歩き、出版文化や食の伝統、そして街の風景をたどる旅に出かけます。
蔦屋重三郎が生きた江戸の息吹をたどる旅へ
ドラマの世界と実際の町が重なる日本橋の散策は、江戸の雰囲気を感じるにはぴったりの場所です。番組では、江戸時代に出版業を大きく発展させた蔦屋重三郎が歩いたであろう道を、中川翼さんが現代の視点で巡ります。ビルの間に歴史的な建物が残る日本橋では、江戸と令和が共存する景色に出会えます。旅の始まりから、まるで時代をタイムスリップしたような感覚が味わえるでしょう。
今も盛り上がる“べらぼう”な日本橋のにぎわい
中川さんがまず歩いたのは、現在の日本橋の中心地。ここではドラマの影響もあって「べらぼう」の文字が掲げられた旗や展示が行われており、まちぐるみで盛り上がっています。近代的な商業ビルの一角に歴史的モチーフが並び、訪れる人々に江戸の文化を自然に届けています。
趣味で再現された耕書堂が語る出版への情熱
店構えから内装まで、江戸の空気を忠実に再現
次に訪ねたのは、蔦屋重三郎が営んでいたとされる「耕書堂」を、趣味で再現したという人物の元。建物の外観や内装には、古地図や当時の資料を参考にしたこだわりが詰まっており、一歩中に入るとまるで江戸時代に戻ったような感覚に包まれます。
蔦重の仕事ぶりを今に伝える空間
この再現空間では、出版物を収納する棚や木版、筆や硯などの道具が置かれ、出版にかける熱意や工夫を肌で感じることができます。蔦屋重三郎のような版元が、単なる印刷ではなく企画・編集・販売まで一手に担っていたという事実に触れられる貴重な場となっています。
版元の老舗で見た浮世絵と出版文化の歴史
現存する老舗の一角に残る出版の記録
続いて中川さんが訪れたのは、かつて版元だったという日本橋の老舗。この場所では、蔦屋重三郎が関わった出版物や、当時実際に流通していた浮世絵や草双紙が展示されています。商売と芸術の接点であるこの場所は、出版の街・日本橋を象徴する存在です。
書物に刻まれた職人たちの手仕事
展示されていた書物や浮世絵には、絵師、彫師、摺師がそれぞれの技術を持ち寄って仕上げた形跡が残っており、分業制の重要性が伝わってきます。現代ではあまり見られない、丁寧な手作業の魅力を再発見できる場所でした。
絵師・彫師・摺師の技が生んだ浮世絵の世界
チームで作られた芸術作品の裏側を知る
浮世絵は一人の芸術家だけで作られるものではなく、複数の職人が協力しながら仕上げていく作品です。番組ではその裏側に注目し、一枚の絵に込められた職人たちの連携が紹介される予定です。
現代にも受け継がれる技術
今も浮世絵の技法を受け継ぐ現代の職人たちが、日本橋に残る工房などで活動しており、番組内ではその現場も映し出されるかもしれません。過去から未来へとつながる技として、視聴者に感動を与える場面になることが期待されます。
老舗が守る伝統の味・やまいも入りはんぺんの秘密
軽さとコクを両立させた江戸の知恵
日本橋の老舗店では、江戸時代から受け継がれてきた「はんぺん」が作られています。中でも注目されたのが、やまいもを練り込んで作られる製法。魚のすり身だけでは出せない軽さとふわっとした弾力が特徴です。
その味わいの背景にある工夫
このやまいも入りはんぺんは、蒸しても煮ても崩れず、味が染み込みやすいことから、江戸の庶民にも愛された定番料理だったと考えられています。番組では、その作業風景や材料の紹介にも触れる予定です。
店舗名 | 特徴・見どころ |
---|---|
老舗はんぺん店 | やまいもを加えた、ふんわり食感の伝統製法 |
元版元の店 | 蔦重ゆかりの書物や浮世絵の実物展示 |
耕書堂再現の家 | 江戸の空気感を伝える趣味の再現スペース |
クルーズで見つめ直す日本橋の姿
船上から見上げる橋と街並み
旅の締めくくりは、クルーズ船から眺める日本橋の景色。普段は気づかない橋の下部や石造りのアーチ、川辺に並ぶ建物の姿が、水面からの視点で印象的に映ります。中川さんも、街を違う角度から見ることで、新しい発見があったようです。
橋がつなぐ時代と文化の象徴
このクルーズは、江戸から令和まで続く日本橋の歴史を象徴する時間にもなりました。橋そのものが多くの人々の暮らしや物流を支えてきた存在であり、まちの変化を静かに見守る存在として語られていました。
ソース:
・NHK 番組公式ページ:首都圏いちオシ!|NHK
・番組情報掲載:NHK総合1・東京|2025年7月27日(日)13:05〜13:35
・参考:神茂(はんぺん)公式サイト https://www.hanpen.co.jp/
首都圏いちオシ!べらぼう旅 江戸が息づく日本橋をゆく|感想
今回の放送は、とにかく「日本橋って奥が深いな」と思わせてくれる30分でした。大河ドラマの舞台になった江戸の日本橋を、中川翼さんが歩きながら体感していく様子を見ていると、自分も一緒に散策しているような気分になります。普段は現代的なビルやおしゃれな商業施設のイメージが強い日本橋ですが、その裏側に300年以上続く商いの歴史や、江戸の人々の暮らしが色濃く残っていることに驚かされました。
特に印象に残ったのは、創業300年以上の刷毛専門店です。浮世絵を作るための刷毛が、馬や豚など用途に合わせて今も職人の手で作られているという話には、思わず背筋が伸びました。大量生産ではなく、摺り師一人ひとりの好みに合わせて仕立てるという丁寧さは、まさに江戸の職人気質を現代に残しているようで感動します。
耕書堂の再現スペースも素敵でした。葛飾北斎の絵を参考に作られた空間は、江戸の版元がどんな場所で仕事をしていたのかを想像させてくれますし、そろばんを使った商談の駆け引きの話は面白く、当時の商人の知恵と機転の良さに思わず笑ってしまいました。こういう細かい生活感のあるエピソードが、江戸の街をぐっと身近に感じさせてくれます。
水運の歴史をクルーズ船で辿るシーンも、映像がとても気持ちよかったです。川面から見る街は、現代の景色の中にも確かに江戸の面影があって、「この場所で1日千両が動いていたのか…」と想像するだけでワクワクします。江戸橋倉庫の存在が、まさにその歴史を物語っていました。
老舗のはんぺん屋さんのエピソードも心に残ります。サメを無駄なく使うという発想は、昔の人の知恵と環境への優しさが詰まっています。試食シーンを見ていると、画面越しに香りや食感まで伝わってきそうでした。
最後のうちわ・扇子店では、浮世絵の版元だった歴史や、歌川広重・国芳の作品がうちわとして息づいていることに感動。役者のスキャンダルを遠回しに描いた浮世絵なんて、江戸の人々の洒落っ気とユーモアを感じさせてくれます。
全体を通して、日本橋という街がただの歴史的な名所ではなく、今も息づく“江戸の精神”を持った場所であることを強く感じました。見終わった後、「日本橋を歩いてみたい」という気持ちが自然と湧き上がってくる、そんな素敵な回でした。
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