8人の台所から見える暮らしのかたち
NHK・Eテレで放送されていた「心おどる あの人の台所」が、7月29日放送回でついに最終回を迎えました。今回はこれまで登場した8人の台所とそのこだわりを振り返る総集編です。料理を作る場所というだけでなく、暮らしそのものが映し出される“台所”をテーマに、登場者それぞれの生き方や日々の過ごし方を再発見する内容となっていました。
雅姫さんの丁寧な暮らしが息づく台所
モデルでありながら、日常の家事にも誠実に向き合う雅姫さん。彼女の台所には、季節ごとの器や布が丁寧に並び、日々のごはんを楽しむ工夫が詰まっていました。シンプルで清潔感のある空間に、料理を楽しむ心が自然に表れていました。
【心おどるあの人の台所(1)】モデル雅姫の“美しすぎる台所”初公開|2025年6月3日放送
ピーター・アイビーさんの工房のような台所
ガラス作家・ピーターさんの台所は、作品と暮らしが融合したような空間。アメリカの工房のような雰囲気のなかで、道具ひとつひとつにも意味があることが伝わってきました。機能性だけでなく、心が落ち着く場所としての台所のあり方が印象的でした。
【心おどる あの人の台所(2)】富山の古民家で暮らすガラス作家・ピーター・アイビーの台所に密着|2025年6月10日放送
横山タカ子さんが守る郷土の味
信州の郷土料理研究家・横山さんの台所には、味噌や干し野菜など、季節の手仕事がしっかり根づいています。伝統を守るだけでなく、それを日常に取り入れた暮らし方に、自然と背筋が伸びる思いでした。保存食づくりの工程も紹介され、暮らしと自然とのつながりが伝わりました。
【心おどる あの人の台所(3)】横山タカ子の信州保存食と受け継がれる母の味|2025年6月17日放送
渡辺康啓さんの“余白”を大切にした台所
料理家・渡辺さんの台所は、必要最小限の道具が整然と並び、静けさの中に集中力が宿っているようでした。料理をする時間だけでなく、何もしていない時間も大切にしている様子が印象的で、台所が心を整える場所であることがよく伝わってきました。
【心おどる あの人の台所(4)】渡辺康啓の美しいキッチン術と収納の工夫|2025年6月24日放送
田中ナオミさんが照らす子どもとの時間
4人の子育てをしながら、食卓を通じて家族の絆を育んできた田中さん。にぎやかな家族の日常が感じられるキッチンは、料理と会話が同時に進む場所。手作りのおやつや、子どもたちが手伝えるような工夫が散りばめられていました。
【心おどる あの人の台所(5)】田中ナオミ流!遊び心と暮らしやすさが詰まった機能的キッチン|2025年7月1日放送
寒川一さんが語る「心地よさ」
スタイリスト・寒川さんの台所は、素材感のある木の家具や古道具が使われていて、温かみのある空間でした。自分にとって心地よいと思える道具を選ぶことが、毎日の台所仕事を楽しくしてくれるという考え方が心に残りました。
【心おどる あの人の台所(6)】アウトドア防災の極意!寒川一さんの屋外台所とサボる哲学とは?|2025年7月8日放送
口尾麻美さんが旅先から持ち帰ったエッセンス
エスニック料理の研究を続けている口尾さんの台所には、世界各国で出会った調味料や器が所狭しと並んでいます。旅先の空気感がそのまま詰まったような空間は、食への好奇心をそのまま映し出していて、日々の料理が世界とつながっていることを教えてくれました。
【心おどる あの人の台所(7)】世界の市場をキッチンに再現?口尾麻美さんの暮らしと旅の記録|2025年7月15日放送
マスミツケンタロウさんとセトキョウコさんの「作ること」を中心にした暮らし
最後に紹介されたのは、作家夫婦のマスミツさんとセトさん。自分たちで作ったテーブルや道具を使い、ものづくりと暮らしが自然に寄り添った台所風景でした。ふたりの息が合ったリズムや、食事をする時間の豊かさが、画面からもしっかりと伝わってきました。
【心おどるあの人の台所(8)】東京から山梨へ 移住夫婦が手がけた石窯と小麦の暮らし|2025年7月22日放送
これまで紹介されてきた8人の台所には、それぞれの暮らしのかたちが表れていました。道具の並べ方、手作りの工夫、食材の選び方など、一つ一つにその人らしさが詰まっています。最終回となる今回は、そのすべてを振り返ることで、台所の奥深さと温かさをあらためて感じる時間になりました。誰かの台所を覗くことは、その人の人生をそっと見せてもらうこと。そんな体験を通じて、自分の暮らしも少しだけ見つめ直したくなるような、優しい番組でした。
自分の台所にある“らしさ”を見つけるヒントに

ここからは、私からの提案です。番組を見終えたあと、自分の台所にはどんな特徴や個性があるのかを振り返る時間が生まれます。「ただ料理する場所」ではなく、「自分らしさがにじむ空間」として、どこにその特徴が出ているのかを見つめ直すことで、毎日の暮らしがより楽しくなるきっかけになります。
10項目のチェックリストで「自分らしさ」に気づく
以下は、番組の視聴後に自分の台所を見つめ直すためのチェックリストです。道具の置き方や色使い、小物の選び方など、細かなところに暮らしの哲学があらわれているかもしれません。ひとつひとつ丁寧に見ていくことで、普段は気づかない自分のスタイルが浮かび上がってきます。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
好きな色や素材が使われているか | 木・陶器・金属など、落ち着く素材に囲まれているか |
調理器具や器が使いやすく整っているか | 無理なく手が届く配置になっているか |
季節感のある飾りや小物があるか | 花や果物など、季節を感じる要素があるか |
自分らしい照明や明るさになっているか | 光の色や窓からの自然光で落ち着く空間か |
ものが溢れていないか | 余計なものを置かず、すっきりしているか |
家族や来客に対応できる空間があるか | 複数人で動きやすいレイアウトか |
道具の位置が調理の流れと合っているか | 料理中に迷わず動ける工夫があるか |
思い出やこだわりの道具があるか | 贈り物や旅先で買った器などが使われているか |
明るさが作業や気分に合っているか | 料理中にも落ち着ける照明があるか |
食べる以外の時間も心地いいか | お茶を飲む、手紙を書くなどもしたくなる空間か |
このリストを使って、自分の台所を眺めてみると、何か新しい発見があるかもしれません。8人の出演者たちの台所のように、誰の家にも「その人らしさ」がそっと息づいています。どんなに小さな要素でも、それは立派な暮らしの表現です。自分の台所にも、そんな“語るもの”があると気づくことが、豊かな暮らしへの一歩になります。
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